5月下旬~7月にかけて、日本では梅雨がやってきますよね。
頻繁に雨が降り、どんよりと湿った空気が続く梅雨は、苦手なシーズンに感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、梅雨という気候は、世界でも一部の地域にしかないものだというのを知らない方も多いでしょう。
アメリカやヨーロッパには梅雨がなく、英語でぴったりあてはまる言葉もないのだとか。
では、英語で「梅雨」は何と表現するのでしょうか。
今回は、梅雨を表現する英語や、関連するフレーズについても紹介していきます。
そもそも「梅雨」って海外にもある?
春の終わりごろになると、天気予報で「梅雨」という言葉を耳になるようになりますよね。
梅雨は、日本や朝鮮半島、中国の沿岸部、台湾など、東アジアのみでみられる特有の気候です。
日本の北東・オホーツク海から流れてくる“冷たく湿った空気”と日本の南東から小笠原気団という“暖かく湿った空気”がぶつかることで、「梅雨前線」を発生させます。
梅雨前線は停滞前線と呼ばれ、移動スピードが遅いのが特徴。
梅雨前線はゆっくりと北上しますが、梅雨前線のかかっているエリアには雨や湿った空気を発生させます。
つまり、梅雨前線ができることで日本を含む東アジア各国で雨が頻繁に降るようになるのが梅雨なのです。
そのため、世界各地で梅雨が発生するわけではなく、東アジアの限られた地域でのみ発生する珍しい気候です。
また、梅雨前線は徐々に北上しまずが、北海道には到達しないため梅雨が存在しません。
ただ、近年では気候変動により、一部地域で梅雨のような現象がみられるようになっています。
「梅雨」と「雨季」の違い
梅雨が東アジアの限定されたエリアにしか発生しないのはわかりましたね。
ただ、梅雨と似たような言葉に雨季があり、意味の違いを知らない方も多いでしょう。
雨季は1年間の中で最も降水量が多くなる時期を指します。
雨季が全くない国もありますが、梅雨よりも多くの国でみられ、対義語は乾季といいます。
一方、梅雨はよく雨が降るシーズンという点では雨季と同じであり、梅雨は雨季の一種です。
ただし、梅雨は先ほども解説したように、東アジアの限られた地域でしか見られない5月下旬~7月限定の気候です。
雨季:1年間の中で最も降水量が多くなる時期
梅雨:雨季の一種。東アジアの限定された地域でのみ発生する、降水量の多い時期。日本は毎年5月下旬~7月が梅雨のシーズン。
「梅雨」を表す英語表現4選
梅雨はアメリカやヨーロッパではみられない気候のため、ぴったりと当てはまる英語がありません。
しかし、いくつかの表現を使えば、梅雨のシーズンを伝えられるでしょう。
ここでは、梅雨を表現するのに使える4つのフレーズを紹介していきます。
rainy season
梅雨も表現するのに最もよく使われるのが”rainy season”です。
rainy seasonは言葉の通り、直訳して「雨季」となります。
ただ、rainy seasonという言葉で表現できるのは、「雨が1年の中で最もよく降るシーズン」ということのみです。
雨季は世界各国に存在するため、スコールのような雨が頻繁に降るのを雨季と捉えている人もいれば、しとしとと雨が降り続くのを雨季と捉えている人もいるのです。
そのため、日本の梅雨を表現するのに”rainy season”というフレーズを使っても、ニュアンスがきちんと伝わらなくなってしまう可能性があるでしょう。
梅雨らしい「じめっとして空気」や「しとしとと雨が降る様子」を伝えたい場合は、補足して説明するのがおすすめです。
ただ、思い浮かびやすく使いやすい表現なので、知っておくと便利です。
wet season
梅雨を表現する際、”wet season”という言葉もよく使われます。
”wet season”の”wet”は「濡れた」「湿った」という意味があります。
ウエットティッシュやウエットクリーナーなどを想像すると、同様の意味で日本語でも使われているのがわかるでしょう。
wetは「濡れた」「湿った」という意味があるように、”wet season”はジメジメしたシーズンを表現できます。
plum rain
梅雨という言葉をそのまま訳して”plum rain”を呼ばれることもあります。
梅の英語はplumのため、”plum rain”となるのです。
そもそも「梅雨」の語源は中国とされており、“梅の実が熟す季節に降る雨として生まれた言葉“とされていますよ。
ただ、梅雨のシーズンを全く知らない人に対して”plum rain”と言っても、わかりづらい表現になってしまうかもしれないため、”plum rain”を使って分かりやすく説明するには、工夫が必要です。
また、日本の柔道や”judo”、着物が”kimono”と英語でそのまま訳されるように、梅雨も”tsuyu”と表現されるケースがあります。
summer rain
シンプルな表現でわかりやすいものに”summer rain”が挙げられます。
”summer rain”や「夏の雨」という意味になります。
梅雨のシーズンが5月下旬~7月ごろのため、夏に降る雨として梅雨を表現できます。
英語で「梅雨」について外国人に説明
「梅雨」を英語でなんと言うか、日本を含む東アジアの梅雨の特徴について分かったところで、外国人に英語で「梅雨」を説明する場合、どのように説明すれば、うまく内容が伝わるのでしょうか。
まず梅雨の特徴をいくつかまとめて挙げていきます。
- 梅雨は東アジアでのみ見られる特有の雨季
- 日本の梅雨は、5月下旬から7月まで
- 梅雨入りの時期は、地域によって違う
- 日本の梅雨はとても湿気が高く、じめっとした天気が続く
- 「梅雨」を文字通り訳すと”plum rain”となり、梅の実が熟す時期
これらの特徴をもとに、AさんがBさんに対して対話形式で、「梅雨」について説明していくと、こんな感じになります。
東アジアでのみ見られる長雨の季節は、「梅雨」と呼ばれる雨季として知られています。
梅雨はどれぐらいの間続くの?
梅雨は5月下旬から7月中旬まで約1ヶ月半続くよ。
日本中で5月下旬に梅雨が始まるの?
いいえ。まず梅雨は沖縄のような日本の南西地域で始まり、後で他の地域でも始まる。
なるほど。日本の梅雨はとても湿気あってじめじめしてるね。
多くの外国人がそう言うけど、「梅雨」を楽しむ方法を見つけるべきだよ。
梅の雨の季節? なぜそう呼んでるの?
それは梅の実が熟す季節だからだよ。だから、そのときに梅干しや梅酒を楽しむのもいいね。
梅雨に咲く花2選
梅雨の時期は長く降り続く雨で気分が沈みがちですが、日本人は昔から梅雨に咲く花を楽しんできました。梅雨の季節にきれいに咲いて雨に強い花を2つ紹介します。
紫陽花
梅雨の雨を受けて咲く紫陽花は、梅雨の風物詩ですね。紫陽花は英語で”hydrangea”と言います。複数形は”hydrangeas”となります。
紫陽花は5月から7月に開花し、梅雨の季節と開花時期が重なっているので、梅雨の時期に紫陽花の名所を訪れる人も大勢いますね。
紫陽花の色は、水色、赤系、紫色などいくつかバリエーションがあります。土壌のph値によって、紫陽花の花の色が変わってきます。土壌のph値が酸性の場合は水色、ph値がアルカリ性の場合は赤系、中性の場合は紫系になります。
梅雨の時期に外国人と紫陽花を見に行く機会があれば、この雑学知識を英語で説明してみると、会話が弾むのではないでしょうか。
紫陽花の花の色が何で決まるか知ってる?
まったく見当もつかないよ。
紫陽花の花の色は、土壌のph値によって決まるんだ。
もしph値が酸性なら、紫陽花の花の色は水色になり、アルカリ性なら赤系になり、中性なら紫色になるよ。
バラ
日本には大きなバラ園が全国的にあり、春バラの開花時期は5月下旬から6月下旬と言われています。バラは梅雨の時期の花としてあまり認識されていませんが、雨に強い花の1つです。
関東地方のバラ園をいくつか紹介します。
- 旧古河庭園:東京北区
- 神代植物公園:東京調布市
- 横浜イングリッシュガーデン:横浜市
- 与野公園:埼玉県さいたま市 入場料無料
- 京成バラ園:千葉県八千代市
- 港の見える丘公園:横浜市 入場料無料
- 山下公園:横浜市 入場料無料
バラの写真をきれいに撮りたいなら、晴れ渡った青空を背景に写真を撮るのがおすすめですが、梅雨の季節でも梅雨の晴れ間があるので、梅雨の晴れ間にバラ園を訪れてみてはいかがでしょうか。「梅雨の晴れ間」は英語で “a break in the rainy season” または “a sunny day in the rainy season”となります。
梅雨の晴れ間にバラ園を訪れることを計画してるよ。
梅雨の晴れ間? 梅雨の前に訪れるべきだよ。
梅雨の晴れ間には人が少ないだろうと予想してるよ。
「梅雨」の関連英語
梅雨の季節になると、梅雨に関連してさまざまな言葉を聞くようになりますよね。
代表的な言葉といえば、「梅雨入り」「梅雨明け」などが挙げられるでしょう。
ここでは、梅雨に関連する英語表現について紹介していきます。
梅雨入り
「梅雨入り」は英語で以下のような表現があります。
・the beginning of the rainy season
・The rainy season has started
・The rainy season has set in
set inは「~し始める」「広まりだす」「始める」などの意味があります。
梅雨入りしたようです。
梅雨明け
「梅雨明け」は英語で以下のような表現があります。
・the end of the rainy season
・The rainy season has ended
昨年は梅雨明けが遅かった。
大阪では今日、梅雨明けとなった。
梅雨前線
梅雨前線を英語で表現すると、”a seasonal rain front”となります。
frontは「正面」「表」「前」という意味がよく知られていますが、気象の「前線」という意味もあります。
そのため、”a seasonal rain front”で「梅雨前線」となるのです。
梅雨前線は沖縄に2週間停滞します。
梅雨の戻り
近年、「梅雨の戻り」や「戻り梅雨」という表現を耳にするようになりましたが、「梅雨の戻り」を英語にすると、”return of the rainy season” となります。
梅雨明け宣言が出て、じめじめした季節がやっと終わり、からっと晴れる日々が続くと期待した矢先に、梅雨が戻ってくると、がっかりしてしまいますね。
「梅雨の戻り」では、梅雨の代名詞でもある「梅雨前線」が必ずしも戻ってくるわけではありません。梅雨を終わらせた「太平洋高気圧」が南の海上に戻ることで、台風からの湿った空気が入りやすくなって「梅雨の戻り」と呼ばれる天気になることがあります。
「梅雨の戻り」は、必ずしも梅雨前線が戻ってくることを意味するわけではない。
梅雨を終わらせた「太平洋高気圧」が南の海上に戻ることで、台風からの湿った空気が入りやすくなって雨がたくさん降るんだね。
水源を補充するので、梅雨の戻りを歓迎する人もいるよ。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は「梅雨」の英語表現を紹介しました。
「梅雨」は5月末~7月中旬まで、毎年日本に訪れますが、東アジアの限定的な気候だったのを知らなかった方も多いのではないでしょうか。
梅雨は世界でも珍しい気候のため、なじみのない地域出身の人に説明するのは、なかなか大変です。梅雨の特徴なども一緒に説明すると、伝わりやすくなるのではないでしょうか。
よく使われる表現は、”rainy season”や”wet season”などがあるので覚えておきましょう。「梅雨前線」や「梅雨の戻り」の英語表現も紹介しました。
ぜひ今回の記事を参考に、海外の人に「梅雨」を伝えるシーンで役立ててくださいね。