「思い出はプライスレス」「経験はプライスレス」などという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
「お金で買えない価値がある」という意味の「プライスレス」は、日本語として浸透し、CMや広告、雑誌、SNSなどあらゆる場面で使われています。

「プライスレス」は、英語の”priceless”がそのままカタカナ表記された言葉で、「お金で換えられない価値がある」「値段が付かないほど貴重な」といった意味を持っています。

今回は、そんなカタカナ語でなじみのある「プライスレス」について、英語本来の意味と使い方、類義語や対義語などを解説していきます。

「プライスレス」の意味

「プライスレス」の意味

「プライスレス」は、お金では買えない価値があるとされるものを表したカタカナ語です。

・お金で買えない価値
・金銭には換えがたいほどの価値
・値段をつけられないほど貴重なもの
・極めて価値の高いもの参考:Webilio辞書

一般的に、物事や経験など持っている感情的、あるいは精神的な価値を強調するときに使われます。
具体的には、家族と過ごす時間や友達との思い出、自然や景色の美しさ、その瞬間の体験、また驚きや喜び、感動といったお金では買えないものに用いられる場合が多いです。

「プライスレス」は、価格や値段を意味する”price”と、減少や存在しないことを意味する”less”が組み合わさってできた”priceless”に由来しているため、直訳のまま「無料」と間違って解釈してしまうこともあります。
「プライスレス」は、「お金がかからないから無料」なのではなく、「お金に換算できないほどの価値がある」のだと改めて認識しておきましょう。
どれだけお金を積んでも手に入れられないほど貴重なもの、お金に換えられない唯一無二でかけがえのない大切なもの、それが「プライスレス」なのです。

 

「プライスレス」の使用例

「プライスレス」は、驚きや感動、喜びを表現するときによく使われます。
ポジティブな意味に捉えられることが多いので、褒め言葉としても最適な表現です。

「プライスレス」の正しい使い方を例文で紹介します。

・子どもの頃に母からもらったペンダントは、プライスレスだ。
・我が子の笑顔は、疲れが一瞬で吹き飛ぶ、まさにプライスレスだ。
・アメリカを一周した一人旅は、プライスレスな経験だった。
・旅行先で友達と一緒に見た夕日は、プライスレスだった。
・愛情がたっぷりこもった手作り弁当は、わたしにとってプライスレスだ。
・高級ホテルでは、プライスレスなサービスを体験できるだろう。

 

”priceless”の意味

「プライスレス」は、英語の”priceless”に由来したカタカナ語でしたね。
”priceless”は、値段や価格、価値を意味する”price”に、「〜がない」「欠けている」という意味の”less”をつけた単語で、「金銭に換えがたいほど貴重な」という意味を表します。

英英辞書でも以下のように定義されており、極めて価値のある貴重なものに対して用いられる表現であることがわかります。

  • more valuable than any amount of money; precious
    どんな金額よりも価値がある、貴重なさま
  • extremely funny to see or hear
    見ていても、聞いていても、非常に面白いさま
  • used to describe something with such a high value that its price cannot be calculated, especially because it is rare
    特に希少であるため、その価格が計算できないほど価値の高いものを表すときに使われる
  • used to describe a skill or quality that has a high value because it is very useful
    非常に有用であるため、高い価値を持つ技術や品質を表すときに使われる

参考:Cambridge Dictionary

”priceless”の発音は、 /ˈpraɪsləs/ で、「プラァィスリィス」のように読みます。
始めの「p」の音は、唇を閉じた状態から「プッ」と破裂させて発音します。
アクセントが置かれる「ラァィ」の部分にを強く読み、後に続く「スリィス」につなげて読むようにすると良いでしょう。

”priceless”は、古期フランス語の”preis”(値段)と、ラテン語の”pretium”(値段、価値、支払い)、そして古期英語の”lausaz”(緩める)が語源といわれています。
「計り知れる価値がない」という意味の言葉から派生し、日常的には「物がお金で買えないほど素晴らしい」という意味で使われるようになりました。
「値段がない」から「値段が付けられないほどの価値がある」と、徐々に意味が変化していった”priceless”。
成り立ちや語源を知ることで、単語の意味や解釈、ニュアンスの理解がさらに深まりますね。

 

”priceless”を使った例文

「プライスレス」のもとの英語”priceless”を使った例文を紹介します。
英語での使い方を習得し、日本語訳との微妙なニュアンスの違いも身につけていきましょう。

Aさん
His ability to motivate people is a priceless asset.
訳)人をやる気にさせる彼の能力は、かけがえのない財産です。
Aさん
The experience of studying in the UK was definitely priceless.
訳)イギリスでの留学経験は、間違いなく貴重で大切な思い出になりました。
Aさん
You are a priceless asset to this company.
訳)あなたは、この会社にとって非常に貴重な人材です。
Aさん
True friendship is priceless.
訳)真の友情は、何にも代え難い価値のあるものです。
Aさん
The smiles of the people you love are priceless.
訳)愛する人たちの笑顔には、唯一無二の価値があります。

 

”priceless”の類義語

”priceless”の類義語

「プライスレス」の類義語には、「かけがえのない」「貴重な」「唯一無二の」「とっておきの」などがありますが、英語ではどのような単語に言い換えられるのでしょうか。

”priceless”と同じ意味で使われる類義語を紹介します。

valuable

”valuable”には、「価値が高い」「貴重な」という意味があり、他のものと比べて特に高い価値があることを表します。
”valuable”なものには、時間や情報、経験など、重要かつ大切に扱われるべきものが当てはまります。

Aさん
Time is a valuable resource.
訳)時間とは、非常に貴重な資源です。

precious

”precious”は、「かけがえのない」「宝物のように貴重な」という意味の単語で、特別に大切なものを指して使われます。
物質的な価値に限らず、愛情や友情といった感情的なつながりも”precious”で表現できます。

Aさん
Charlotte treasures her precious memories with her grandmother.
訳)シャーロットは、祖母とのかけがえのない思い出を大切にしています。

invaluable

”invaluable”は、「お金に関係なくとても役立つ」ことを意味する英語です。
無限に値打ちのあるものや計り知れないほどの価値があることを表すときに使われます。

Aさん
The experience was invaluable for his growth.
訳)その体験は、彼の成長に非常に役立ちました。

irreplaceable

”irreplaceable”は、「取って代わることのできない」「他に代替品が存在しない」という意味を表す英語です。
他のものや人に代えられないほどの価値や重要性を意味し、欠かせない存在であることを強調するときに使われます。

Aさん
William is an irreplaceable member of the team.
訳)ウィリアムは、チームに欠かせない存在です。

 

”priceless”の対義語

「プライスレス」の対義語として、「無価値の」「意味のない」「どうでもよい」「つまらない」などといった言葉が挙げられますが、英語ではどのように表現するのが正解なのでしょうか。

”priceless”の対義語として該当する英語を紹介します。

common

”common”は、「よくある」「普通の」「一般的な」という意味の英語です。
”common sense”(一般常識)や”common cold”(よくある風邪)のように使われます。

Aさん
It’s common knowledge that smoking is bad for your health.
訳)タバコが健康に悪いというのは常識です。

cheap

”cheap”は、「安い」という意味の英語で、「チープ」として日本語でもなじみのある言葉です。
価格が安く、価値がないことを表すときに使われます。

Aさん
Jacob bought a cheap TV at the discount store.
訳)ジェイコブは、ディスカウントストアで手頃で安価なテレビを買いました。

inexpensive

”inexpensive”も、「手頃な価格」「安価な」という意味を持つ英語です。
物やサービスが手に入りやすい価格で提供されていることを表します。

Aさん
The restaurant offers inexpensive meals.
訳)そのレストランは、リーズナブルな値段で食事を提供しています。

worthless

”worthless”には、「何の価値もない」「役に立たない」という意味があります。
物やサービスに価値や意義がないことを強調するときによく使われる表現です。

Aさん
Scarlett felt like her life was worthless and had no meaning.
訳)スカーレットは、自分の人生が無価値で意味がないと感じていました。

 

まとめ

聞き慣れたカタカナ語「プライスレス」について、英語本来の意味と使い方、類義語や対義語などを解説しました。

「プライスレス」は、英語”priceless”に由来したカタカナ語で、お金に換えられないほど価値があるという意味を表します。
直訳のまま「無料」と誤解されてしまうケースもありますが、「プライスレス」とは、どれだけお金を積んでも手に入れられないほど貴重なもの、お金に換えられない唯一無二でかけがえのない大切なものを表す言葉です。

日本語として浸透しているカタカナ語は、発音も意味も間違って覚えてしまいがちなので、正しく理解して使うよう意識していきましょう。

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