最強のヒーローたちが悪党を次々と倒していくMARVEL作品「アベンジャーズ」を見たことはありますか?
国内外で非常に人気の高いアクション映画で、日本ではヒーロー集団=「アベンジャーズ」と認識している人もいるかもしれません。

ところで、「アベンジャーズ」は、英語の”avengers”をそのままカタカナで読んだ言葉ですが、正確な意味を知らずに使ってはいないでしょうか?
今回は、映画タイトルとしても知られるカタカナ言葉「アベンジャーズ」を、英語”avenger”の意味と使い方とともに解説していきます。

「アベンジャーズ」の意味

「アベンジャーズ」は、英語の”avengers”をそのままカタカナで表記した言葉です。
”avengersは、「復讐者」を意味する英語”avenger”の複数形で、「復讐者たち」と訳されます。

動詞”avenge”(復讐、報復する)がもとになった名詞”avenger”は、「正義のもとに復讐、制裁する」というニュアンスを持っています。
単なる「復讐」ではなく、悪を懲らしめる正義の味方というのがポイントです。
映画「アベンジャーズ」も、スーパーヒーローたちが一堂に会し、悪事をはたらいた敵と戦うストーリーが展開されていますよね。
地球を守るために行動する正義の集団「アベンジャーズ」のかっこいい生き様に憧れる人も多いでしょう。

「アベンジャー(avenger)」の類義語としては、「リベンジャー(revenger)」や「リタリエイター(retaliator)」があります。
どちらも不正や悪行に対する報復を行う人物を表しますが、「リベンジャー(revenger)」は個人的な復讐を、「リタリエイター(retaliator)」は報復行為全般を指して使われます。

 

「アベンジャーズ」は正義の味方

「アベンジャーズ」は正義の味方

映画「アベンジャーズ(原題:Marvel’s The Avengers)」は、アメリカン・コミックを原作とする世界中で絶大な人気を誇るMARVELシリーズです。
アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイなど、個々の映画に登場したスーパーヒーローたちがひとつのチームとなって地球を脅かす敵と戦っていきます。

そんな映画のイメージから、「ヒーロー集団」や「精鋭たち」=「アベンジャーズ」と思っている人も多いのではないでしょうか。
企業やスポーツチームなどのオールスターメンバーを「アベンジャーズ」と呼んでいるかもしれませんね。

しかし、「アベンジャーズ」は、不正や悪事を行なう相手に報いる人たちを指した言葉です。
正義感を持って、自分や家族、他人のために悪者をこらしめて制裁を加えるのが「アベンジャーズ」なのです。
そのため、「アベンジャーズ」をカタカナ使いのまま英語に訳してしまうと、思わぬ誤解を生んでしまいかねません。
「アベンジャーズ」は、悪に復讐する正義の味方なのだということを覚えておいてくださいね。

Aさん
Avengers is one of my favorite movies.
訳)アベンジャーズは、わたしのお気に入りの映画のひとつです。

 

”avenger”の意味

「アベンジャーズ」のもとになっている”avenger”は、「復讐者」という意味でしたね。
”avenger”は、動詞”avenge”に、その動作を行う人を意味する”-er”がついた可算名詞です。

辞書では以下のように定義されており、自分自身や他者に対する過去の不正や悪行に対して復讐や報復する人物を指しています。

avenger

[可算名詞]復讐者、仇を討つ人、敵を討つ人

参考:Weblio英和辞書

avenger

a person who does harm to or punishes someone who has done something bad, especially to the person’s family and friends
懲罰者

参考:Cambridge Dictionary

avenge

to do harm to or punish the person responsible for something bad done to you or your family or friends in order to achieve a fair situation
公平な状況を実現するために、自分自身や家族、友人に何か悪いことをした人に危害を加えたり、その責任者を罰したりすること

参考:Cambridge Dictionary

”avenger”の語源と発音

”avenger”は、動詞”avenge”からきた名詞で、「悪を罰する報復行為」や「敵討ち」という意味を持っています。

”avenge”は、ラテン語の”ad”(…する)と”vindicare”(疑念を晴らす、正当性を示す)に由来した古期フランス語”avenger”(復讐する)が語源といわれています。
古期フランス語では、”ad”→”a”に、”vindicare”→”vengier”に変化した”avengier”という単語が使われおり、後に”avengier”が英語圏で広まったことで現代英語の”avenge”にいたります。

”avenger”の発音記号は、イギリス英語が /əˈven.dʒər/ 、アメリカ英語が /əˈven.dʒɚ/ です。
カタカナで読むと「アヴェンヂャ」となります。
「ア」は、口をあまり開けずに弱く、「ヴェ」は、上の前歯を下唇に軽くかむようにして、隙間から息を出すと言いやすいです。
最後の「ヂャ」は、唇を前に突き出して、「ヂュア」と言うように息を吐き出しながら発音してみましょう。

 

”avenger”を使った例文

”avenger”を使った例文

”avenger”を使った例文を紹介します。
映画「アベンジャーズ」のイメージに加え、いろいろな場面を想像して練習してみましょう。

Aさん
He became an avenger after his family was murdered.
訳)家族が殺された後、彼は復讐者となりました。
Aさん
She saw herself as an avenger, righting the wrongs.
訳)彼女は自分自身を復讐者とみなし、不正を正したのです。
Aさん
The avenger vowed to make the wrongdoers pay for their crimes.
訳)復讐者は、悪人たちに犯した罪を償わせることを誓いました。
Aさん
The avenger’s deeds were a testament to his unwavering resolve.
訳)復讐者の行為は、彼の揺るぎない決意の証でした。
Aさん
If he is a vindictive avenger, he will expose criminal behavior and punish it no matter what.
訳)執念深い復讐者ならば、なんとしても犯罪行為を暴き、罰を与えるでしょう。

 

”avenge”と”revenge”

最後に、”avenge”と”revenge”の違いを解説します。
”avenge”と語感の似ている”revenge”(リベンジ)という単語を知っている人は多いですよね。
スペルも音の響きも近いので、どちらも同じ「復讐する」の意味だと思っていませんか?
実は2つが持つイメージは違い、”avenge”が正義感からの復讐を意味するのに対し、”revenge”は個人的な恨みからの復讐を表しています。

”avenge” は、「復讐」や「報復」、「敵討ち」という意味を持つ単語です。
攻撃をしてきた相手に対して同等の仕返しをすること、悪に対して正義を持って制裁を加えることを表します。

一方、”revenge”は、同じやり返す行為でも、個人的な怒り・恨みから感情的に行う仕返しのことを指します。
”revenge”は”revenge”を生み、終わりのない悪循環を招いてしまうこともあり、人間関係や社会に深刻な影響をもたらしかねません。

ちなみに、再挑戦することを日本語で「リベンジする!」と言いますが、これは完全な和製英語なので注意が必要です。
”revenge”には日本語の「リベンジ」のようなポジティブな意味合いはなく、個人的な恨みを晴らすために復讐するというかなり強い言葉だと覚えておきましょう。

Aさん
I will take revenge on my classmates for teasing me for years.
訳)何年もわたしをからかってきたクラスメイトたちに復讐します。
Aさん
Lisa plotted revenge against her cheating boyfriend.
訳)リサは浮気した彼氏に対する復讐を企てました。

 

まとめ

人気映画でも知られるカタカナ言葉「アベンジャーズ」を、英語”avenger”の意味と使い方と合わせて解説しました。

「アベンジャーズ」は、英語”avenger”の複数形”avengers”をそのままカタカナ読みした言葉です。
正義のもとに悪に制裁を加えるという意味での「復讐」や「報復」を表します。
個人的な恨みや怒りの感情によって相手を攻撃するのとは違い、背景には必ず正義があるということを覚えておいてくださいね。

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