「フランクな人」や「フランクな接し方」という言葉を耳にしたことはありませんか。
フレンドリーで親しみやすい人のことを指して、態度や言動を褒めるときによく聞く表現ですよね。

言わんとしていることは何となく感じ取れるものの、「フランク」の正確な意味は、はっきりわからないという人もいるのではないでしょうか。

今回は、聞き慣れたカタカナ言葉「フランク」について、英語”frank”の正しい意味と使い方、言い換え表現などを解説していきます。

「フランク」の意味

「フランク」の意味

「フランク」は、英語の”frank”からきているカタカナ言葉です。
「率直で裏がない」「隠し立てをしない」といった人の性格や態度を表現するときに用いられます。

たとえば、「フランクな人」とは、自分の意見や感情を隠さずに率直に表現する人のことを指します。
また、「フランクな態度」といえば、誰に対しても素直で誠実、開放的である様子が伝わるでしょう。

「フランク」は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。
自分の考えや意見を隠すことなく相手と率直に議論し合うことを「フランクな意見交換」と言ったり、堅苦しさがなくリラックスして自由に意見を言い合えるような状況を「フランクな雰囲気」と言ったりもします。
ビジネスにおける「フランク」は、良好な人間関係の構築と円滑なコミュニケーションのためにとても大切な要素といえるでしょう。

「フランク」の使用例

・彼はとてもフランクな人で話しやすいです。
・誰とでもフランクに話せる人がうらやましいです。
・会議は終始フランクな感じで穏やかに進みました。
・あの二人はフランクな関係です。
・遠慮せずフランクに接してください。

”frank”の意味

「フランク」は、「フレンドリー」や「親しみやすい」といったイメージを持たれていますが、実はもとの英語”frank”とはニュアンスが少々異なります。

英語”frank”は、直接的で露骨な表現、あるいは過剰なまでに率直な表現を意味する英語です。
人の性格や意見、態度などを、遠慮や隠しだてをせず打ち明けるときに使われます。
ときには、相手に非があることを包み隠さず指摘するときにも用いられます。

辞書では以下のように定義されており、「率直な」「素直な」「明快な」などと訳されます。
「隠さずに」「遠慮なく」「ぶっちゃけると」のような意味で、スラングとしてもよく使われるので覚えておきましょう。

  • 率直な、腹蔵のない
  • (人に対して)隠しだてをしないで

参考:Weblio英和辞書

  • honest, sincere, and truthful, even if there is a risk of causing bad feelings:
    たとえ悪感情を抱かせる恐れがあったとしても、素直で、誠実で、正直であること

参考:Cambridge Dictionary

「フランク」は、「素直な」「気さくな」のように比較的ポジティブな意味で捉えられがちですが、”frank”は「正直に言うと」「悪気はないけれど」と、ネガティブな話の前置き表現として使われる場合がほとんどです。
日本語「フランク」と英語”frank”では、使い方と含むニュアンスに違いがあるので注意しましょう。

”frank”の発音記号は、 /fræŋk/ で、「フランク」のように読めます。
カタカナ読みの「フランク」と発音は似ていますが、意味には違いがあるのでしっかり理解しておいてくださいね。

”frank”は、西ヨーロッパ地方で自由な人というステータスを持った征服者階級として知られていた「フランク民族(フランク人)」と、古フランク語”franc”(自由な)が語源といわれています。
フランク民族は、気取らない率直な性格をしており、自由な社会を築き上げた非常に強い部族でした。
「フランク民族のような」という修飾語が、後に「率直で隠し事をしない人」を意味するようになり、現在の英語に変化しました。

”frank”と「フランク」の違い

意見や態度が率直でためらわずに本心を打ち明けるさまを、英語で”frank”と言います。
日本語で「フランク」と聞くと、「気さくな」や「気取らない」といった良いイメージがありますが、英語の”frank”にそのような意味は含まれません。

通常、”frank”は、「何かを正直に言う」「偽りなく率直に言う」という意味で使われます。
相手にとっては気分が悪くなるようなこと、聞きたくないようなことを伝えるときに、「正直なところ〜だよね」「悪意はないけれど〜だよね」のように前置きとして付け加えて表現します。

フランク … 気さく、親しみやすい、気取らない、堅苦しくない
frank … 率直、素直、正直、誠実

”frank”を使った例文

”frank”を使った例文を紹介します。

”To be frank with you”や”frankly speaking”は、「率直にいうと」という意味の定番フレーズなので、必ず覚えておきたい表現です。

Aさん
To be frank with you, I am reluctant to attend the party.
訳)正直に言うと、そのパーティーにはあまり行きたくありません。
Aさん
Frankly speaking, I was a bit upset with the way it finished.
訳)率直に言って、あのような終わり方には少し腹が立ちました。

率直で正直な人の性格や態度を表現するときには、以下のような言い方ができます。

Aさん
Mary was quite frank about the whole thing.
訳)メアリーは、すべてのことに対して率直でした。
Aさん
Ken is very frank even with his boss.
訳)ケンは上司に対してさえも、とても率直にものを言う人です。

2人の関係性について述べるときの表現も覚えておくと役立ちますよ。

Aさん
They still have trouble being frank with each other.
訳)彼らは、まだお互いに率直になれずにいます。
Aさん
My sister and her husband are frank with each other at all times.
訳)妹夫婦は、いつでもお互いに率直です。

相手の率直な意見を聞きたいときには、以下のような表現もおすすめです。

Aさん
Please give me your frank opinion about that.
訳)それについて、あなたの率直な意見をください。
Aさん
I would like to get your frank opinion.
訳)あなたの率直な意見を聞かせてくれませんか。

”frank”の言い換え表現

”frank”の言い換え表現

”frank”は、「正直」や「誠実」を意味するいろいろな英語で言い換えが可能です。
”frank”と似ている意味を持った類義語を紹介します。

candid

”candid”は、「率直な」「正直な」「誠実な」などを意味する英語です。
自分の感情や思考、意見だけでなく、相手のことも含め、客観的な立場から率直に述べるときに使われます。

Aさん
My boss’s candid remarks about the company’s shortcomings were well-received.
訳)上司の会社の欠点に関する率直な意見が好評を得ました。

blunt

”blunt”は、「鈍い」「鈍感」という意味を持つ英語です。
人の言動や態度がはっきりしているさまを示したり、直接的で嫌みのある表現を指したりするときに使われます。

Aさん
Mike bluntly refused their proposal.
訳)マイクは、彼らの提案に対しぶっきらぼうに拒否しました。
bluntly:ぶっきらぼうに

outspoken

”outspoken”は、「率直な」や 「率直に」という意味を表す英語です。
自分の考えや意見を物怖じせず主張したり、問題に対して積極的に発言したりするときに用いられます。

Aさん
Chloe is a very outspoken person who speaks her mind.
訳)クロエは、自分の思いをはっきりと述べるとても率直な人です。

forthright

”forthright”は、「率直な」「遠慮のない」「正直な」という意味を持つ英語です。
態度や言動が率直であり、隠し事や言い訳をせずストレートに意見を主張するさま表します。

Aさん
Her forthright manner of speaking earned her respect.
訳)彼女のまっすぐで誠実な話し方が尊敬を集めました。

まとめ

日本語でもなじみのあるカタカナ言葉「フランク」について、英語”frank”の正しい意味と使い方、言い換え表現などを解説しました。

「フランク」は、英語”frank”からきたカタカナ言葉です。
日本語では、「気さくな」「フレンドリーな」といった明るくて良いイメージがありますが、英語では、「正直言うと」「悪意はないけれど」のように、ネガティブな話の前置きとして使われています。

日本語の「フランク」と英語の”frank”はどちらも形容詞ですが、含まれる意味には違いがあると覚えておいてくださいね。

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