英語の文献では、「X/Y」「A/B」のように、単語と単語との間に「/」(スラッシュ記号)を挿入している表現をよく目にします。

日本語の「、」(読点)や「。」(句点)のように、英語にも文章中でいろいろな記号が登場しますが、正しく解釈できている人はどのくらいいるでしょうか。
英文中のスラッシュ記号は、「or」と解釈すべきなのか、はたまた「and」と解釈すべきなのか。
そもそも、「/」の読み方や発音、正確な意味もよくわかっていないという人は多いでしょう。

そこで今回は、文章でよく見かけるスラッシュ記号「/」について、正しい読み方と解釈、そしてさまざまな英記号を解説していきます。

「スラッシュ」の意味

「スラッシュ」の意味

「/」は、「スラッシュ」や「スラッシュ記号」「斜線」と読まれることが多く、英語では”slash”と書きます。
「/」の読み方は規格やコードによって異なり、日付や単位、分数、略語の表記としてさまざまな場面で活用されています。
IT分野では、インターネット上のURLやファイルパスの記述として、見たことがある人もいるのではないでしょうか。

「/」の読み方

一般的な読み スラッシュ、斜線
JIS X 0201の読み 斜線
ASCIIの読み ソリダス(solidus)

※JIS X 0201:1969年6月1日に制定された日本産業規格の最も古い文字コード規格。
※ASCII:アルファベットや数字、記号などを収録した世界的に普及している最も基本的な文字コード規格。American Standard Code for Information Interchangの略。

スラッシュ記号は、おもに文章の中での区切りを示す役割を持っており、日常生活だけでなくビジネスシーンでも広く用いられる重要な記号です。
文脈によって日本語で「または」や「および」と訳されることが多く、英語では「or」や「and」と置き換えられる場合もあります。

「/」の使用例

表記例 意味
東京/神奈川/埼玉/千葉 東京、神奈川、埼玉、千葉のいずれか
会社概要/プライバシーポリシー 会社概要およびプライバシーポリシー
2024/7/1 2024年7月1日
1/2(分数として) 二分の一

”slash”の意味

「スラッシュ」とは、英文中で文字間あるいは単語間に使用される、右上から左下への斜め線「/」の記号です。
英語表記は「slash」、発音記号は /slæʃ/ で、「la」の音を長めに「sh」は短く「スラァーッシュ」と読みます。

”slash”は、「スラッシュ記号」の名詞の意味以外に、「切る」や「削減する」といった動詞の意味も持っています。
ここでは、記号としての”slash”に焦点を当て、正しい解釈と使い方を見ていきましょう。

”slash”を辞書で調べると、以下のような定義が載っていました。

  • the symbol / used in writing to separate letters, numbers, or words
    記号 / 文字、数字、または単語を区切るために文章で使用される
  • used to mean “or”, or to show that something has two uses
    「または」という意味、あるいは、何かに2つの用途があることを示すで使われる
  • the symbol (/), used to show a range of possibilities, or between the two numbers of a fraction
    可能性の範囲を示すために使われる、または分数の2つの数字の間に置かれる

参考:Cambridge Dictionary

  • You say slash to refer to a sloping line that separates letters, words, or numbers.
    スラッシュとは、文字、単語、数字を区切る傾斜線を指す

参考:Collins Dictionary

  • (also slash mark) a line (/) used in writing to separate words, numbers, or letters
    (スラッシュマークともいう) 文章において、単語、数字、または文字を区切るために使用する線のこと

参考:Longman Dictionary of Contemporary English

スラッシュ記号は、文の区切りを示すだけでなく、二者択一の状況において、選択すべきものを表現するときに用いられる記号=「or」を意味していることがわかります。
また、Cambridge Dictionary”used to mean “or”, or to show that something has two uses”から、「and」の意味を含むことも理解できますね。

スラッシュ記号の解釈は、以下のようにパターンを分けて考えるとわかりやすいですよ。

”or”や”and”を表す
  • he/she
    「彼または彼女」
  • pass/failure
    「成功と失敗」
文献や書籍の引用、文の区切りを表す
  • Furuikeya / Kawazutobikomu / Mizunooto.
    「古池や蛙飛びこむ水の音」
    (松尾芭蕉の有名な俳句の一節)
日付、分数を表す
  • 1970/1/1
    「1995年1月1日」
  • 1/3
    「三分の一」
省略を表す
  • F/W
    「frameworkの略」
  • b/w
    「betweenの略」
  • c/o
    「care ofの略」

”slash”は、中英語の”slaschen”(切る、打ち切る)が語源といわれており、斜線(/)が切り込を入れるような形状をしていることから、”slash”=「/」として使われるようになりました。
文章や単語に切り込みを入れ、意味を区切る記号として用いられてきた”slash”。
記号や符号の意味がよくわからないときは、単語の成り立ちを知ることで一層理解が深まりますよ。

スラッシュ記号を使った例文

スラッシュ記号を使った例文

Aさん
The slash is used to indicate alternatives, ratios, ranges, and website URLs.
訳)スラッシュ記号は、選択肢、比率、範囲、ウェブサイトのアドレスを示すのに使われます。
Aさん
We often write a slash between alternatives, for example, ‘he/she.’
訳)たとえば、「he/she」のように、選択肢の間にスラッシュを書くことがよくあります。
Aさん
When you are giving the number 350/1/F you say ‘Three five zero, slash one, slash F.’
訳)350/1/Fの数字を提示するときは、「スリー・ファイブ・ゼロ、スラッシュ・ワン、スラッシュ・エフ」と言いましょう。
Aさん
An address for this web page starts with ‘http:’ and two slashes.
訳)ウェブページのアドレスは、「http:」と2本のスラッシュで始まります。
Aさん
Replace all the spaces with slashes in this document.
訳)この文書中のスペースをすべてスラッシュに置き換えてください。
Aさん
The room functions as a guest bedroom/study.
訳)この部屋は、ゲスト用のベッドルーム兼書斎として機能しています。

いろいろな英語の記号

スラッシュをはじめ、英文で使われる記号にはたくさんの種類があります。
「記号」は英語で、”symbol”や”sign”です。
意味によって呼び方は異なりますが、「記号」を”symbols”、「標識」を”signs”で表すのが一般的です。

  • phonetic symbols:発音記号
  • map symbols:地図記号
  • treble clef and G clef:ト音記号
  • safety signs:安全標識
  • road symbol signs:道路標識

英語の代表的な記号と意味を紹介します。

hyphen
(ハイフン)
ふたつ以上の単語をつないでひとつの単語にする
dash
(ダッシュ)
長さやつながりを表す
. period(ピリオド) 終わり、以上を表す
, comma
(カンマ)
文の途中を区切る役割
誰かへの呼びかけを表す
quotation mark

(クォーテーションマーク

引用符
: colon
(コロン)
引用や例、羅列などを表す
「だから」「そのため」「つまり」などの意味を表す
強調したい箇所を表す
; semi colon
(セミコロン)
独立した節をつなげてひとつの文章にする
! exclamation mark
(エクスクラメーションマーク)
驚きや感動を表す感嘆符
? question mark
(クエスチョンマーク)
質問文の文末に付ける疑問符

まとめ

文章でよく見かける「/」スラッシュ記号について、正しい読み方と解釈、そしてさまざまな英記号を解説しました。

「/」は、「スラッシュ」または「スラッシュ記号」と読み、英語では”slash”と書きます。
文や単語の区切り表すだけでなく、省略表記としても使われる幅広い解釈を持つ記号です。

スラッシュ以外にも、英語の記号は日本語にはない役割を持つものがたくさんあります。
それぞれの意味や使い方をしっかり理解しておくことで、読解力と正しい英語表現が身に付きますよ。

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