英語に興味を持ったものの難しくて諦めてしまう、子供が楽しく英語に触れられる方法はないかと悩んでいる保護者も多いのはないでしょうか。子供におすすめなのは歌を通して学ぶことです。本記事で英語の歌に触れるメリットやおすすめの歌を紹介します。

子供が英語に気軽に触れるにはマザーグースの歌がおすすめ

マザーグースとは?

日本同様、英語圏の子供たちも童謡やわらべうたといった古くから伝承されてきた歌に幼い頃から触れています。英語ではこれらの歌をマザーグース(Mother goose)と言います。

1765年頃に刊行された童謡集「マザーグースのメロディー」に由来した名称です。gooseはガチョウという意味で、ガチョウは家禽として西洋人には親しまれてきました。主にガチョウを世話するおばあさんが伝承童話・童謡の担い手でもあったことからマザーグースと呼ばれるようになったと考えられています。

マザーグースは歌いつがれてきた子守歌などに加えて、早口ことばやイギリスの風俗・習慣を表現した歌、ナンセンス歌なども含みます。これらの歌は植民地化政策を受けて17世紀以降世界中に広まりました。

現在ではイギリスだけでなくアメリカ発祥の歌もあり、600から1000近い種類があるといわれています。

ナーサリーライムとの違い

マザーグース以外にも英語の伝承童謡を表わす言葉にナーサリーライム(nursery rhyme)があります。Nurseryとは家庭の子供部屋、幼稚園・保育園などの意味があります。rhymeは韻、脚韻のことです。すなわちナーサリーライムは子供向けに韻を踏んだ歌だということがわかります。

マザーグースとナーサリーライムはどちらも伝承されてきた歌を意味しますが、イギリスではナーサリーライム、アメリカではマザーグースという呼び方がよく使われています。

日本では童謡作家の北原白秋が『まざあ・ぐうす』として訳詩集を発表したこともあり、マザーグースの名称の方が一般的です。

子供がマザーグースの歌を通して英語に触れるメリット

子供がマザーグースの歌を通して英語に触れるメリット

英語の音やリズムに慣れ親しむ

マザーグースは英語独特のリズムを覚えるのに適しています。英語の韻を踏んでいるため読むだけでも自然にリズムができていくからです。メロディーに合わせて歌を歌うのが難しければ、手拍子を打ちながら歌詞を読んでみるといいでしょう。また、韻を踏んでいる単語を子供と一緒に探してみると発音を覚えるのにも役に立ちます。

英語学習が嫌にならない

YouTubeにはたくさんのマザーグース動画があります。楽しみながら聞いたり一緒に歌ったりすることで英語を学ぶことができます。

学校で英語の勉強が始まると英語が嫌になってしまう子供もいますが、歌で慣れ親しんでいれば苦手意識をもたずに勉強を続けられるでしょう。

英語圏の文化背景を知ることができる

英米では階級の隔てなくマザーグースは親しまれており、文化に深く根付いています。物語や小説ではマザーグースそのものが登場したり、モチーフとなって出てきてきたりしています。

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』でのハートの女王(Queen Judith of Hearts)やハンプティ・ダンプティ(Humpty Dumpty)が有名な例です。

映画『トイストーリー』に登場するボー・ピープもマザーグースの”Little Bo-peep”がモチーフになっています。

他にもトルーキンの『指輪物語』でも原作では主人公のフロドが“Hey diddle diddle”を歌っています。diddleは特別な意味はありませんが、響きがいいので他の歌でもよく使われているジングルです。

マリリン・モンロー主演の映画『お熱いのがお好き』は、”Pease porridge hot”の歌詞“Some like it hot”が由来です。

英語圏の人はこれらを見たり聞いたりした時に何のことだかすぐに理解できます。彼らの文化を深く理解するためにもマザーグースは教養として知っておくとよいでしょう。

おすすめのマザーグース【日本人が慣れ親しんでいる3曲を紹介】

おすすめのマザーグース【日本人が慣れ親しんでいる3曲を紹介】

Twinkle, twinkle, little star

「きらきら星」として知られている、日本でも子守歌や手遊び歌として人気のある歌です。

元々は18世紀にフランスで作られた愛の歌でしたが、モーツァルトが1778年にピアノ用に変奏曲に編曲した曲がイギリスに渡って「The Star」という詩の一部が歌詞に使われるようになりました。

日本では1881年に最初の直訳が発表されていて、これが日本で最初に直訳されたマザーグースと言われています。
きらきら星の1番の歌詞を見てみましょう。

Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!
Up above the world so high,
Like a diamond in the sky.

twinkleは遠くの星や光が瞬くように光ることを意味しています。短い周期で明るさが変化したり点滅したりすることです。star/are, high/skyで韻を踏んでいるのがわかります。2番以降の歌詞もあるので、韻を踏んでいる箇所をぜひ探してみてください。

Under the Spreading Chestnut Tree

「大きな栗の木の下で」の原曲です。

Chestnutの意味は栗の木です。日本語の歌詞は英語からのほぼ直訳ですが、歌詞が上手にまとまっています。日本語での手遊びをそのまま英語の歌詞でも遊ぶことができます。

Under the spreading chestnut tree.
There we sit both you and me.
Oh how happy we will be.
Under the spreading chestnut tree.

この曲もtree/me/beで韻を踏んでいます。この曲は敗戦後に米軍兵士たちが口ずさんでいるのを聞き伝えたことで日本中に広まったと言われています。

If you’re happy and you know it

「しあわせなら手を叩こう」の原曲です。

こちらも「大きな栗の木の下で」同様、英語の歌詞が直訳されていて、日本語歌詞のように手を叩くなど全身を使った手遊び歌です。

If you’re happy and you know it, clap your hands
If you’re happy and you know it, clap your hands
If you’re happy and you know it and you really want to show it
If you’re happy and you know it, clap your hands.

2番以降、“clap your hands”の部分が変わっていきます。さまざまなバージョンがあり代表的なものには次のようなものがあります。

stamp your feet stamp:足を踏み鳴らして歩く
shout ‘Hurray!’  Hurray:フレー,万歳といった叫び声です。日本語のフレーとは発音が異なるので注意が必要です。Hoorayと綴ることもあります。
snap your fingers! Snap fingers:指をパチッと鳴らす
nod your head!  nod one’s head:首を縦に振る、軽く会釈する、うなずく
turn around! 後ろを向く

この他にも自分で動作をアレンジしたり、複数の動作を組み合わせたり、だんだんスピードを上げていったりとさまざまな遊び方があります。

まとめ

子供が楽しく英語に触れるためにおすすめなのは、英語圏で昔から伝承されてきたマザーグースです。マザーグースを通じて英語の音やリズムに慣れ親しみ、文化背景を知ることで英語への理解が深まります。マザーグースには日本語になっている歌や手遊び歌もたくさんあるので、楽しみながら英語学習に役立ててみてください。