英検3級は、レベル的にはボキャブラリー、文法、英会話力ともに、中学卒業程度とされています。一次の筆記試験に合格したら、二次の面接試験へと進みますが、共に合格ラインは60~65%くらいであることが多くなっています。では、一次、二次を突破し、見事合格を勝ち取るためには、どういった勉強が必要になってくるのでしょうか。
まずは過去問を解いてみましょう
英検3級を受験してみようと思った人にお勧めの学習法としては、まず過去問を解いてみるということです。
そして自分の実力を客観的に分析してみます。ここでは、出来不出来を気にして一喜一憂するのではなく、冷静に自分の弱点を見極める必要があります。弱いのは単語か、文法か、長文読解力か、作文力か、リスニング力なのかを採点をして数値化します。
この時点で、既に50~60%以上取れている人と、それ以下の人では学習の方法が少し変わってきます。
50~60%以上取れている人の場合
ある程度取れる人は、他にも過去問を解き進めてみましょう。すると、実施された回によって点数に差が出てくるかもしれません。それでも、平均6割以上取れるようなら、さらに過去問題を解いてみます。その中で、自分がどのパターンの問題を間違えやすいのか、何が足りないかが見えてくるので、その部分を集中的に学習します。
文法事項が弱い場合中学レベルの文法のテキストを使い、まずは基本的な内容をしっかりと学習し理解する必要があります。その上で、その文法に関する問題をまとめて解いてみます。不定詞と動名詞の問題でよくつまづいている問題集のそれに関する部分をすべて解いて理解を深めます。単語に関して英検3級ではよく使われるボキャブラリー、イディオムは何度も出される傾向にあるため、やはり過去問題をマスターすることは必須となってきます。会話でよく使われるフレーズが弱いそういったものを集めたイディオム集などを使い、補強していくことが必要です。
一度解いた過去問をやりっぱなしにはせず、必ず100%マスターするつもりで何度も取り組むことが大切です。
特に文法問題や会話表現は、単語だけ変わって同じようなパターンが出ることがありますので、一度やったからといって放っておくのは大変もったいないことです。特に英検3級においては、過去問題をしっかりものにすることはとても重要です。実際、合格のためには100点を取る必要はありませんが、過去問題は、最低でも過去数年間のものは繰り返し解いて、満点が取れるまで完璧に覚えきりましょう。
さらに、過去問題に取り組む際のチェックポイントとしては、時間配分をきちんと頭に入れながら解くということです。試験本番のように、きちんと時間を計り、マークシートへの記入ミスなどがないように、見直すための時間まで考えて解く練習をしておきましょう。
50%も取れていない人の場合
過去問を解いてみた結果、半分以下しか解けなかった場合は、まず中学レベルの文法内容において未習事項があるか、あるいは習ったことはあるけれど、まだきちんとものにできていない可能性が高いです。例えば中学1、2年の内容までしか進んでいない場合、現在完了形や関係代名詞が出てくると全くわからなくなってしまうということもよくあります。その場合、まずは知らない文法事項をしっかりと勉強し、基礎的な問題集を解き、パターンを身につけることが大切です。あるいは、そもそも自分が中学文法を一通りわかっているのかどうかさえ不明だという時は、確認のために、中学3年生向けの薄めの文法のワークブックをやってみると良いでしょう。そこで、抜けている部分が明確に見つかれば、参考書などで理解を深めることが大切です。
また、例えば、長文読解問題が極端に弱い場合などは、リーディング問題ばかりをまとめて集中的に取り組んでみることも効果的です。長文が弱いという人は、そもそも英文に触れるという経験が不足しているために、全体像を読み取ることに慣れていない場合があります。正直、読解問題ですべての単語を理解している必要は全くありません。それより大枠でイメージを掴みとり、消去法で選んでいけるよう練習することが大切です。
さらにリスニングに関しては、普段から英語を耳にする機会を積極的に作るよう心がけましょう。一言一句にこだわるあまり、重要な部分を聞き逃すことのないようにすることが必要です。学習法として、過去のリスニング問題をCDで聞きながら、同時に自分の口でその文章を発音するのがお勧めです。その際は、もちろんスクリプトを見ながらで構いません。最初はスピードについていけなくても、徐々に慣れてきますし、自分で発音できるようになると、リスニングの際も、とても聞き取りやすくなります。
英検3級対策には専用の問題集を
レベル的に同じだろうからといって、英検3級対策として、高校入試用の問題集のみを使うことはお勧めできません。確かにレベルは中学卒業程度とされており、中学英語を完璧にマスターできていればもちろん合格には到達します。また、英語の実力をレベルアップさせるために、入試問題に取り組むことは決して悪いことではありません。しかし、高校入試と英検では、そもそも問題形式や傾向が異なるため、英検3級合格を効率的に勝ち取ろうと思ったら、やはり専用の問題集を使うのが得策でしょう。高校入試は学校によっても出される問題や求められる能力が随分と違い、時に難解な問いもあります。一方、英検は、ひとつの文法事項に対して、そこまでひねった複雑な問題が出されることは稀であり、基本的な問題を取りこぼさないことが何より大切です。
英検合格を狙うためには、ごくたまに出されるイレギュラーな問題に捉われるのではなく、取れる問題を確実に取っていくという姿勢が求められます。
2024年度 英検問題形式のリニューアル
2024年度第1回検定から、英検問題形式がリニューアルされます。英検S-CBTは2024年5月実施分からリニューアル開始とされています。
リニューアルの目的・概要
日本英語検定協会の公式サイトによると、「新たな英語能力観を反映した出題形式を取り入れてリニューアルする必要があると判断したため、出題形式をリニューアルする」とのことです。
「新たな英語能力観」についての詳しい説明は、公式サイトに見当たらないのですが、英検の3級以上の級(1級、準1級、2級、準2級、3級)について、一部新たな形式での出題を加えて、2024年度からリニューアルされます。今回のリニューアルでは、ライティングの問題が拡充されることになっており、英検の3級以上の級でライティングの問題が1問から2問に増えています。
リニューアル内容
リニューアル内容について、3級では何が変わるのかを具体的に見ていきましょう。
3 級 一次試験
Reading:30問(変更なし)
Writing:英作文問題の出題を1題から2題に増加。既存の「意見論述」の出題に加え、「Eメール」 問題を出題
試験時間:(50分→65分)
3級 二次試験
変更なし
一次試験のReadingには何も変更がないですが、Writingで「Eメール」問題が1題追加されます。試験時間は、50分から15分追加されて、65分になります。
Writing 「Eメール」問題への対策
3級でWritingで「Eメール」問題が追加されるということで、具体的にどんな問題が追加されるのか、これから3級を受験する予定がある生徒さんやそのご父兄は、懸念されていることでしょう。
英検の公式サイトに、追加されるWriting「Eメール」問題の出題例が出ているので、まずはそちらをチェックしましょう。
その出題例をチェックすると、Eメールへの返信文を作るというライティング問題だと分かります。外国人の友達への返信文で、2つの質問(下線部)に対応する内容を解答欄に書きます。
解答例を見ると、2つの質問への回答の前に1文が入っていて、いきなり質問に答えるより、質問の前に書かれている内容を踏まえて、「ビジネス枕詞(クッション言葉)」を軽く入れた方がいいことが分かります。
確かに、ビジネスで外国人からEメールを受け取って、いくつか質問が書かれていても、返信メールでいきなり質問への返信を書き始めずに、「ビジネス枕詞」を入れます。でも、そのビジネス枕詞は短く簡潔なものでよくて、2つの質問に適切な返答を書くことが重要です。
2つの質問の「疑問詞」をよく見て、その質問に答えましょう。How many people were at the party? と聞かれたら、There were XX people at the party.と答えます。XXの部分には、自分で適当に数字を入れましょう。And how was the food? と英会話で聞かれたら、It was great. と答えますが、Eメールに返信している場合、前後の流れがあるため、It で受けても何を指しているのか不明瞭になるため、The food was great! と答えることになります。その後に、自分たちはパーティーで何を食べたかを書くといいですね。
実際のWriting「Eメール」の問題で、これと全く同じ問題は出ないでしょうし、新形式の出題も回を重ねるにつれて変わっていくことが予想されますが、重要なポイントをおさえておけば大丈夫だと考えられます。●の箇条書きに書かれているポイントの通りに返答することも重要です。「返信メール」は解答欄の四角の中に、15語から25語で書くことなどの指示を守るようにしましょう。
Writing 「Eメール」問題の評価観点
Writing「Eメール」問題の評価観点について、詳しく見ていきましょう。
解答は、「内容、語彙、文法」の3つの観点で評価され、各観点ごとに0~3点の4段階で評価され、Eメールの満点は9点になります。「解答欄の外に書いた場合は採点されません」と書いてあるので、解答欄の外に書いてしまった場合は、0点になるので注意しましょう。「解答が友達のEメールに対応していないと判断された場合には、0点を採点されることがあります」と書かれているので、友達のEメールに対応して、質問に答える返信メールを書くように努めましょう。
「ライティング技能は既存の意見陳述と合わせて25点となり、英検CSEスコアの技能ごとの満点は550と変更ありません」という記載があるので、Writing「Eメール」問題はライティング25点中の9点で、ライティングの36%を占めることが分かります。
ちなみに、3級の既存の意見陳述Writingは、「内容、構成、語彙、文法」の4つの観点で評価され、各観点ごとに0~4点の4段階で評価され、既存の意見陳述の満点は、16点になります。
ライティングは、事前に練習してポイントを理解していれば、必ずある程度は点数が取れる部分なので、事前に練習して、確実に点数を取るようにしましょう。
二次試験面接対策
二次試験では、基本的に質問を理解するリスニング力と、それに対して適切に答えるスピーキング力、さらに文章を正しく音読する力が必要となります。過去問集などで確認することができますが、通常、入室後、イラストと短い文章を書いた問題カードを手渡され、20秒間の黙読の時間が与えられてから音読を求められ、その後、カードに直接関係する質問が3問と、受験者自身の意見や考えを問われる質問が2つされます。その際、試験官は、音読や解答の正確さはもちろん、入室してから退出するまで、英語で積極的にコミュニケーションを取ろうとしている態度があるかということも見ています。
一度くらい質問が聞き取れなかったからといって、すぐに焦ってしまう必要は全くありません。質問内容がわからない場合、慌てて適当に答えるよりも、もう一度言ってもらうようにお願いしたり、適切に聞き返したりすることが大切です。そのためのフレーズなどは事前に勉強して、スムーズに口から出てくるようにしておくと良いでしょう。聞き返すこともコミュニケーションの一環です。同じ質問に対して、何度も何度も繰り返し問い直すようなことをしなければ、通常それが減点の対象となることはありません。明るく気持ちの良い態度を心がけましょう。
また、音読対策として、初見の英文を読む練習をしてみるのも役立つでしょう。例えば、英語の教科書のまだ習っていないページをいきなり開いて、20秒ほど黙読したあとすぐに声に出して読んでみるのです。そこでも、慌てることなく、むしろゆっくりと大きな声で発音するよう心がけましょう。
面接となると極端に緊張してしまう人がいますが、面接官は敵ではありません。むしろ好意的に見てくれている味方だと思って、落ち着いて臨むようにしましょう。
英検3級合格は英語学習の基礎の基礎
英検3級合格のためには、特別に難解な対策を取る必要はありませんが、極端な苦手分野がないようにしておくことが大切です。なぜなら、出題傾向として、基本的な問題が広く浅く出されるからです。英検3級レベルの英語力は、この先どんな風に英語学習を進めていくにしても、そのベースとなるとても大切なものです。英語力の基礎固めをするつもりで取り組むと良いでしょう。
2024年度から3級以上で英検の問題形式がリニューアルされ、ライティングの問題が1問追加されますが、事前に練習しておけば点数が取れるので、しっかり練習して、合格を目指してがんばりましょう。