「英検準1級」と聞くと、大人でも難易度の高い試験というイメージを持つ方が多いかもしれません。
実際この記事を書いている筆者も、大学で英語を専攻して、卒業した後に勉強を続けて取得しました。
しかし英語教育の重要性が高まる現代。中学・高校の英語学習にとどまらず、大学受験や海外留学、さらには就職活動を視野に入れて、小中学生のうちから英検を受験するご家庭も増えてきました。
中でも、英検準1級は「難関」とされる級でありながら、子どもによっては十分に合格が視野に入るレベルでもあります。
とはいえ、英検準1級は単語のレベルや出題内容が非常に高度なので、優秀なお子さんでも受験には相応の準備と計画が必要です。
この記事では、「どのタイミングで受けさせるべき?」「家庭でできることはあるの?」といった疑問に対して、保護者の目線から英検準1級を解説。
英検準1級の合格率や合格点の目安、2級・1級との比較、そしてお子さまを支えるための家庭でのサポート方法まで、実用的な情報をお届けします。
英検準1級を目指すお子さまを持つ保護者の方に向けて、「合格率」「合格点」「レベル感」「すごさ」といった情報をわかりやすく、ご家庭でできるサポート方法について紹介しましょう。
英検準1級とは?
英検準1級は、英検の中でも上から2番目に位置するレベルで、英検公式ホームページによると「大学中級程度の英語力」が求められると記載されています。
同ページには「社会生活で求められる英語を十分理解し、使用できる」ことが目安とされており、ビジネスや学術的な内容の英文を読む力・書く力・話す力が問われます。
合格率と合格点の目安
英検準1級の合格率は、一般的に約15~20%程度と言われています。(2012年度まで公開されていた合格率が約15~20%程度で、そこから大きく変わっていないことが予測されます)
英検準1級の約15~20%という合格率は、2級の約25%、準2級の30%程度に比べて難易度がかなり高いことがわかりますね。
合格点は CSEスコア(英検独自のスコアシステム)で(※)一次試験は合計2250点満点中1792点以上を取得すれば合格。二次試験は750点中512点の取得で合格できます。
セクション | 満点スコア | 合格に必要なスコア(目安) |
---|---|---|
リーディング | 750点 | 約600点 |
リスニング | 750点 | 約600点 |
ライティング | 750点 | 約600点 |
スピーキング | 750点 | 512点(2次試験の基準) |
※:合計2250点満点中1792点以上という数字を見ると、「全体の8割も正解しないと合格できないの!?」と思ってしまいがちですが、実際は英検のホームページにて以下のように記載があります。
2016年度第1回一次試験では、1級、準1級は各技能での正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格されています。
英検公式ホームページより引用
なので合格点の目安として、一次試験は「約7割の正答数」、二次試験では「約6割の得点率」を見ておくと良いでしょう。
他の級と比べると?:2級・1級と比較
英検準1級の難しさ位置づけをよりわかりやすくするため、英検2級・1級と比べてみましょう。
項目 | 2級 | 準1級 | 1級 |
目安の英語力 | 高校卒業程度 | 大学中級程度 | 大学上級・社会人上級 |
合格率(目安) | 約25~30% | 約15~20% | 約8~10% |
難易度 | 中上級 | 上級 | 最上級 |
取得年齢の目安 | 高校生~大学生 | 高校生〜社会人 | 大学生〜社会人 |
特徴 | 英文法・日常会話が中心 | アカデミックな内容多め | 時事・論理力が問われる |
英検準1級は、英検2級に比べて出題される語彙が格段に難しくなり、長文も専門性が高くなります。
例えば、英検2級では単語レベルが4,000語~5,000語程度で「学校行事」や「日常生活」に関する文章が中心ですが、英検準1級では単語レベルが7,500語~9,000語程度で「国際問題」「科学技術」「経済」といったテーマが多くなり、レベルの高い英文への対応力が求められます。(単語レベルは各級の単語帳から推測)
さらに、1級になると難易度が跳ね上がり、約10,000語~15,000語レベルの専門的な語彙や複雑な英文構造が登場するため、準1級と1級の間にも大きな差があります。
どれくらいすごい?英検準1級の「価値」
英検準1級は、社会人から見ても「難関資格」と言われる級です。
特に高校生までに合格できたら、以下のような点でその価値が高く評価されています。
- 大学入試優遇制度:有名な難関大学も、英検準1級を持っていることで英語試験の免除や加点制度を設けています。
- 海外留学の足がかり:英検準1級は、IELTSやTOEFLに次ぐ指標として留学書類にも利用されることがあります。
- 就職にも有利:高校生の段階で準1級を取得していれば、英語が非常に得意な社会人と並んでも、英語力をアピールできる十分な強みとなります。。
さらに最近では、「英語民間試験の活用」が広まり、英検のスコアが学校教育や外部試験として評価される場面が増えており、準1級の信頼性・実用性はますます高まっています。
子どもが準1級を目指すときの「現実的な年齢・レベル」
英検準1級は、英語が得意な学生にとっても大変難易度が高い試験です。
ただし、以下のような場合は小学生でも合格する例があります。
- 帰国子女
- 英語塾やインターナショナルスクールでの長期学習者
- 幼少期からの継続的な英語教育を受けている子
ただしお子さんに英語を身に着けて欲しい保護者の立場として、「準1級を取ること」自体が目的化していないか?という視点も大切です。
なぜなら、英検準1級は純粋な英語力だけでなく、国際社会や科学技術、経済についての文章を正しく読み解く「読解力」も必要になるからです。
英語力や読解力が伴(とも)なわない段階で無理に挑戦すると、以下のようなリスクもあるため、適切な時期を見極めましょう。
- 英語嫌いになる
- 自信をなくす
加えて、英検準1級の学習には「自学自習できる力」が問われる場面も増えてきます。
保護者がスケジュールや教材の選定をサポートしながら、お子さんの学習習慣を定着させていくことが合格への鍵になりますよ。
ご家庭でできる英検準1級合格へのサポート
英検準1級の勉強は、単語・読解・ライティング・リスニング・スピーキングを総合して行う必要があります。
そんな英検準1級の勉強では、以下のようなポイントで、保護者も受験するお子さんをサポートできます。
1.モチベーションの維持
英検準1級の合格には長期間の継続学習が必要です。
勉強期間が長くなると、成長を感じづらくなる時もあるでしょう。
そんなときに親が「がんばってるね」「進歩してるね」と声をかけてあげるだけで、頑張っているお子さんのやる気はグッと保ちやすくなります。
特に「今日は長文がこんなにも読めたね!」「こんな難しい単語よくわかったね!」など、具体的な努力を認める声かけが効果的です。
2.単語力の習得サポート
英検準1級ではレベルに合った単語帳が必要です。
毎日決まった時間に単語チェックをしてあげるのも効果的でしょう。なぜなら、覚えた単語を「思い出す」作業が、長期記憶を促(うなが)すからです。
スマホアプリや単語カードを使って、視覚的に楽しく学べるようにすると、負担を減らして継続しやすくなりますよ。
3.ライティングとスピーキングの添削サポート
ライティングやスピーキングはお子さん一人で継続するのが難しいですよね。
以下のサービスを活用して、アウトプットの練習をサポートすると良いでしょう。
- 英会話スクール
- 添削サービス
- オンライン英語学習アプリ
最近では、AIによる自動添削ツールも活用されています。
費用を抑えながらも、何度も練習できる点でおすすめです。
4.本番スケジュールの把握とサポート
英検は年に3回実施されます。
ご家族が以下のスケジュールを把握してサポートしてあげると、受験するお子さんご本人は勉強に集中しやすくなります。
- 願書の提出期限
- 試験日
- 結果発表日
また試験直前に合わせて模試や過去問演習を取り入れることで、お子さんの自信と実力の両方を高めることができますよ。
まとめ
この記事では、お子さんの英検準1級受験について以下の点からお伝えしました。
- 英検準1級は大学中級程度の英語力が求められる難関級
- 合格率は15〜20%とされ、大学生や社会人でも難しいレベル
- 合格には一次試験で7割程度、二次試験で6割程度の得点率が必要
- 取得すると大学入試や留学、就職にも有利
- 小中学生が受験するには、適切な準備と時期の見極めが重要
- 家庭でのサポートとして、単語学習・添削支援・声かけが効果的
- 英検は年3回実施されるため、スケジュール管理も大切
英検準1級は決して簡単な試験ではありませんが、英語を武器にした将来を目指す子どもにとっては、非常に価値の高い目標です。
保護者のサポートがあることで、子どもは安心して学習に取り組めます。
無理のないスケジュールと、モチベーションを保てる環境を整え、合格のその先にある「英語で世界を広げる」体験をお子さんと一緒に目指しましょう。