英語の実力を証明する試験の中でも知名度が高いのが、英検こと実用英語技能検定です。
英検2級以上を取得すると、大学受験で優遇されたり、単位認定を受けることができる大学が増えているほか、就職でのアピール材料になります。では、一定の能力があると認定される英検2級の難易度や合格に必要な学習とはどのようなものでしょうか。
ここでは、難易度や合格のために必要なスキルを詳しく紹介します。
英検2級の難易度
英検2級の難易度は、高校卒業程度の内容と定義されています。出題される単語は、高校2年生、3年生の英語教科書に出てくるレベルで、約5,000単語です。語彙や文法は、高校で学ぶ内容がわかっていれば合格できるレベルですが、リスニングやリーディングの試験が課されるので、応用力が必要になってきます。1次試験に合格すると、2次試験ではスピーキングの試験があり、日頃の英語学習だけでなく、英検に特化した学習が必要になるのです。
英検では現在、試験の合格率は非公開ですが、2016年の1次試験の合格率は34%、2次試験の合格率は80%でした。当時から出題される内容に大差がないため、合格率は25%〜30%程度であることが予測され、試験そのものの難易度は高いです。英検3級の試験では、受験者の半数以上が合格することから、2級へ級が上がるほど難易度が高いことがわかります。
英検2級の合格ラインは、国際標準規格CEFRに対応したCSEスコアを使って判定されます。1次試験での英検CSEスコアは、リーディング、ライティング、リスニングの3技能のスコアとトータルスコアによって合否が決定します。各技能の満点スコアは650点で、2級の合格基準スコアは1520点です。そのため、平均して8割近い正しい解答を出さなければ合格に達することはできません。また、2016年以降からは、各技能均等にスコアの配分が行われるようになりました。つまり、配点が極端に低い技能があると、スコアが各技能に配分されることから、不合格になってしまうことがあるのです。1つの技能を伸ばすだけではなく、各技能をバランスよく得点することが重要になります。
英検2級に必要なリーディングスキル
英検2級のリーディング対策は、過去問や英検2級対策用の問題集を使うと効果的です。特にリーディングのパートは出題される問題数が多いため、短時間で解答を導き出せるように練習しなければなりません。
まず最初のパート1に、短文の空欄を埋める問題が20題出題されていましたが、2024年度の第1回試験から文法問題など3問が削除され、17問になります。これらは、4択で単語の意味を問われるものが多いです。この問題は単語の意味さえ知っていれば解答できるので、英検2級用の語彙、単語をしっかり押さえることが重要になります。過去問に出てきた単語は繰り返し出題される傾向があるので、過去問や問題集を活用して必要な語彙を徹底的に獲得してください。
パート2では、少し長めの文章が出題され、その中にある空欄を3つ埋めるのが問題です。社会問題や自然科学などのをテーマにした文章が2題出題されます。単語の問題と違い、文章をある程度読まないと解答することができません。空欄後の文章にはヒントが隠されていることが多いので、一度読んだら空欄前後の文章を確認して答えを出します。読解力が問われる問題ですので、過去問や問題集を使って長めの英文を読むことに慣れておく必要があります。言い換え表現など、別の英語表現で問われても理解できるようにしましょう。
パート3は、パート2と同じ量の英文を読み、質問に答える問題です。文章は3つ、質問はそれぞれ4つです。内容はだいたい決まっており、Eメールを読んで答える文章、もう2つは文化、社会に関する内容で、大学入試などで出題されるような英文となっています。ここでは、長文の内容をしっかり理解していないと、その後の質問に答えることができません。はじめに質問を読んでおいて、どんな内容が問われるかを確認しながら英文を読むと効率的に解答ができます。何が、どちらがと問われることが多いので、英文の単語や接続詞にチェックを入れておき、言い換えなどがされてもわかるようにしておきましょう。
英検2級に必要なリスニングスキル
英検2級のリスニングでは、英語表現や単語は高校3年間で学習するレベルですが、ネイティブが標準スピードで発音するため、リーディングとは違う難しさがあります。リーディングのように何度も目で確認することができないため、苦手意識を持っている方も多いでしょう。しかし、全て聞き取れなくても、解答することができることも多いため、全体の流れを掴んでおくことが重要です。パート1では、2人の話し手が会話をするのを聞き、15問の問題に答えます。パート2では、1人の話し手の話を聞き、同じく15問に解答する問題です。語彙や表現は多少上がるものの、準2級と比べても問題が読まれる早さやボリュームは変わりません。そのため、難易度はそれほど高くないセクションになります。基本を問われるリスニング問題は、しっかりと正解できるようにしましょう。
日頃の勉強方法としては、英検対策用のリスニング問題を何度も聞き、英文が読まれる早さやその内容に慣れておくことが重要です。リスニングに苦手意識がある方は、音声を真似するシャドーイングや英文を1文ごとに聞いて文章を書き取るディクテーションの練習をするとリスニング力をアップさせることができます。シャドーイングをすることで、イントネーションや発音が聞き取りやすくなり、スピーキングの力も伸びてくるのです。また、ディクテーションをすることで、単語だけでなく、文章がまとまりとして耳に入ってくるようになります。英語を聞いていると、途中で抜けが出てしまう方は、ディクテーションで細かい単語や表現までも聞き取れるようにしましょう。
英検2級のライティング対策とは
英検2級で出題されるライティングは、2023年度までは1題でしたが、2024年度 第1回試験から2題になりました。問題の多くを占めるリーディングに時間が取られるため、ライティングでは的確に文章を書く力が必要とされます。ライティングのテーマは社会的な問題が多く、自分なりの意見を表現することが重要です。ライティングの解答は一人一人異なりますが、評価のポイントは、課題で求められている内容に答えているかどうかや、英文の構成が的確であるか、正しい語彙が使われているかなどが問われます。知っている単語や表現方法が多ければ多いほど、英作文では有利です。知っている単語をたくさん書くことは良いことですが、スペルミスがあると減点になります。自分が書いた英文をしっかりと見直しましょう。
英作文は作ることに慣れていないと上達しません。英作文を書くこと自体が苦手という方は、過去問の解答を参照して、英文の答えを書き写すことで、意見を述べる時に必要な表現を覚えることができます。違うトピックスでも、解答の流れは同じため、たくさんのライティング問題を練習することが重要です。また、英文を作るときには、導入、本文、結論という流れを作り、論理的に解答ができるようにしましょう。テーマは社会問題が多く、日頃からニュースを知っておかないと、的を得た意見を出すことができません。英語で書かれた新聞やニュースを読むことで、リーディング力、語彙力のアップにもなりますし、専門家の意見などが参考になります。ライティング対策をすることは、二次試験で問われるスピーキング対策にもつながるため、しっかりと対策を行いましょう。
2024年度から追加されるライティング要約問題
英検 2024年度第1回2級試験から追加されるライティング要約問題について、詳しく解説していきます。これから2級を受験しようと考えておられる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
英検の公式サイト、2級 Writing 要約問題 出題例を詳しく見ていきましょう。
「英文を読んで、45語から55語で要約し、解答欄に書きなさい」という指示に従って、読み進めていきます。
英文自体は、短めであまり時間をかけずにすぐに読める分量のものです。Some …. Others …. と対比で書かれていて読みやすい短い文章ですが、160語弱あるので、それを3分の1近くにまとめなくてはなりません。
ざっくりとした目安ですが、与えられた文章は3パラグラフあるので、1つのパラグラフにつき1文で要約して、3文の要約文を書くということで、どうでしょうか。
1つのパラグラフを1文に要約するのが厳しいと感じる場合は、パラグラフの中で最も重要な文を選びましょう。出題例の場合だと、第1パラグラフの中から、まず最終文 These days, some of them choose to share a house with roommates. を選びます。しかし、このまま書くと、読む人は “them” って誰を指しているんだろうと思ってしまいます。ですので、”them”の部分を前の文から探します。themは college studentsを指していることが分かるので、第1パラグラフは “These days, some college students choose to share a house with roommates.”と要約できます。
第2パラグラフも1文に要約しますが、このパラグラフで最も重要な文は、2文あると考えられます。要約に使うべき文は、Some students have …. Other students have …. の2文で、この部分を短く要約することを考えます。解答例を見ると、この2文を、Some students can get help from their roommates with various things such as …, …, or …. とまとめていることが分かります。どういったことで学生がルームメートから助けを得ることができるかについて、例の部分には、such as …を使っています。要約文の第1文と第2文のつなぎとして、By doing this, を入れています。
第3パラグラフも1文に要約しますが、第3パラグラフは “On the other hand”で始まっているので、これを”However,”という一語でつなげています。第3パラグラフで最も重要な文はどれなのかと考えると、どれか1文を選ぶのは難しいため、第3パラグラフの3文ぐらいをうまく1文にまとめなくてはなりません。第3パラグラフで、軸になっている内容を、Some students have trouble with their roommates, such as … (ルームメートと…のようなトラブルを持っている生徒もいる)とまとめて、トラブルの例をsuch as … 以下でまとめるようにしましょう。
この要約問題 出題例をチェックして分かったキーポイントをまとめると、次のようになります。
- 与えられた文章から、パラグラフことに1文ずつまとめる。
- パラグラフの中で最も重要な文はどれかを考える。最も重要な文が1文の場合もあれば、2、3文に渡っている場合もあるので、2、3文に渡っている場合は、どうやってまとめるかを考える。
- それぞれの要約文の間に必ずつなぎ言葉を入れる(By doing so,や However, など)
- 例の部分は、such as … などを使ってまとめる。
2級 ライティング要約問題を練習
英検の公式サイトに掲載されている2級 Writing 要約問題 出題例をもとに解説しましたが、それ以外にも新形式について練習できる問題があるので参考にしてみてください。
ライティング問題は、事前に何回も練習して対策をとることで、点数が上がるので、公式サイトの問題や予想問題などで対策をしてください。
いきなり解答例を見ずに、まずは自分の頭で考えて問題を解いてみることが重要です。解答例を見る前に、自分で解いてみることで、何が足りなかったのか、何を補充していけば合格ラインに達するのかが見えてくると思います。
練習問題、予想問題を通して、「要約問題」を解く上て何がキーポイントなのかをつかみましょう。
まとめ
英検2級の試験問題は、毎回同じ出題パターンで出されます。そのため、時間配分や問題に慣れるためにも過去問を使った対策が重要です。
過去問を多くことで、単語力や語彙力をあげることができます。リスニングやライティングなど、暗記だけで対応できない内容も、繰り返し練習することで、解けるようになっていくことでしょう。英検2級に合格するためには、過去問を上手に利用してください。
2024年度から、ライティングで要約問題が1題追加されますが、リーディングパートで一部、問題の削除もあるので、前向きにとらえて、合格を目指していきましょう。