みなさんこんにちは。今回は「バイアウト」についてご紹介していきます。
「バイアウト」という言葉はビジネスの場でよく耳にする言葉です。簡単に言えば、企業買収や投資に関連する言葉ですが、理解を深めるには前提知識や類似語の違いを理解する必要があります。
本記事では、「バイアウト」に関する基本的な知識から、そのさまざまな種類、他の関連する用語との違いについて詳しく説明します。この記事をよんでいただければ「バイアウト」という用語を深く理解いただけると思いますので、ぜひご参考にしてください。
「バイアウト」の基本の意味とは?
早速「バイアウト」という単語の基本の意味を見ていきましょう。
「バイアウト」は、経営者や従業員が企業や事業を買収する行為を指します。
通常、企業の主導権や経営権は会社の資産である株式を過半数占めているものが持っています。
「バイアウト」は経営者や従業員が、株式の過半数を購入し、その企業の経営権を持つことを意味し、主な目的は、経営再建や事業継続、収益拡大となります。
基本の意味は以上となります。ここまでは一旦簡単な説明となりますので、後ほど詳しく解説いたします。
「バイアウト」の英語について
続いては「バイアウト」の英語についてです。「バイアウト」のスペルは名詞の場合は”buyout“、動詞の場合は”buy out“です。「買い落す」と直訳できますが、使用される領域としては、会社の買収がほとんどですので、日常会話ではあまり出てこず、ビジネス、特に経営の領域で使われる単語です。
日本では、「バイアウト」を「経営者が自分の会社を売却すること」を意味することがありますが、海外では前章でご紹介した意味で使われます。
「バイアウト」の英語の例文をご用意しましたので、参照いただき、イメージを深めてみましょう。
例文:
The buyout of the small tech firm was completed in just three months.
訳)小さなテック企業のバイアウトはわずか3ヶ月で完了した。
A buyout offer was made to the board, but they declined.
訳)取締役会にバイアウトの提案がなされたが、彼らはそれを拒否した。
The buyout was part of the company’s restructuring strategy.
訳)バイアウトは会社の再編戦略の一環だった。
ここまでで、「バイアウト」の基本の意味と英語についてご紹介しました。
続いては、「バイアウト」の種類など、より細部のご紹介に入ります。
「バイアウト」の種類
「バイアウト」には、いくつかの異なる形態があります。それぞれの形態は、バイアウトの目的や関与する当事者に応じて異なります。主な種類には”EBO“、”MBO“、”MEBO“、”LBO“があります。それぞれの詳細については以下でご説明します。
EBOとは?
“EBO“は”Employee Buyout“の略で、従業員による企業の買収を指します。従業員が団結して自分たちの働いている会社を買収し、所有権を獲得する買収形態です。この方法は、外部に経営権を与えないことになりますので、敵対買収を阻止する際や、経営者が信頼できる従業員に対して経営権を譲る意図がある際に利用されます。
一般的には従業員は投資家や会社そのものよりも買収資金が少ない場合があるので、買収金額を調整したりすることが必要になります。
MBOとは?
“MBO“は”Management Buyout“の略で、経営陣による企業の買収を意味します。経営陣が自社を買収し、株式や資産を取得することで、経営の自由度を高めることが主な目的です。MBOは、経営陣が企業のビジョンに深い理解を持っているため、企業の成長を促進する手段として選ばれることがよくあります。また、上場企業が上場廃止をする場合にも使われる方法の一つです。
MEBOとは?
“MEBO“は”Management and Employee Buyout“の略で、経営陣と従業員が共同で企業を買収するプロセスを指します。MBOとEBOのハイブリッド型であり、経営陣と従業員の両者が共同して所有権を持つ形態です。経営陣と従業員が一体となって買収を行うので、一体感が生まれ、全体のモチベーションを向上させ、企業の長期的な成長を目指すことができます。
LBOとは?
“LBO“は”Leveraged Buyout“の略で、借入金を利用して企業を買収するプロセスです。日本語では「レバレッジドバイアウト」といいます。買収側は対象企業の資産を担保にして資金を調達し、その資金で企業を買収します。いわゆる借金をして、買収をする方法です。
※「レバレッジ」はビジネスの分野で頻出の表現です。日本語では「てこ」の意味を持ちますが、分野によって様々な意味を持ちます
そもそも「買収」は会社を買うことですので、とても大きなお金が必要です。
第三者からお金を借りて、会社を買収することで、自己負担を下げることができます。
ここまでで、「バイアウト」の種類である”EBO“、”MBO“、”MEBO“、”LBO“の意味を解説しました。続いてはバイアウトと類似した単語との違いを見ていきましょう。
「バイアウト」と「M&A」の違いとは?
一つ目に「バイアウト」と「M&A」の違いです。
“buyout“と”M&A“(Mergers and Acquisitions)は、どちらも企業買収に関する用語ですが、その意味やプロセスに違いがあります。「バイアウト」は通常、社内の従業員や役員が買収をします。一方、”M&A“は合併や買収を別の会社が行うことを示します。そもそも、”M&A“(Mergers and Acquisitions)は「合併」と「買収」を通じて、複数の会社が歩み寄りを行うことです。「バイアウト」は考え方にも寄りますが、あくまで「買収」の手段を意味する意味合いが強いので、”M&A“は「バイアウト」よりも少しスケールが大きな意味となります。
「バイアウト」と「イグジット」との違いとは?
続いては「バイアウト」と「イグジット」との違いです。「イグジット」も「バイアウト」のように経営の領域でよく出てくるワードです。
“buyout”は従業員や経営陣が自社を買収しますが、「イグジット」は創業者や経営者が自社を売却することを示します。
つまり、「バイアウト」は買い手、「イグジット」は売り手という大きな違いがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「バイアウト」の意味についてご紹介しました。
「バイアウト」は、企業買収の中でも特に所有権の完全な移転に焦点を当てたプロセスです。EBO、MBO、MEBO、LBOなど、さまざまな形態があり、状況に応じて適用されます。また、経営の領域では、「バイアウト」の他にも”M&A”や「イグジット」などの横文字が出てきますので、意味の違いを理解することも大切です。
専門的な用語のため、たまに誤用されることがありますが、この記事を参考に意味を理解した上で文章を読み解いていただければと思います。
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