「コンピテンシー評価」や「コアコンピテンシー」といった言葉を聞いたことはありますか?
「コンピテンシー」は、おもにビジネスにおいて、業務や役職で優秀な成果をあげる能力や行動特性のことを指して使われているカタカナ言葉です。
人材の採用や育成、フェアな評価基準として、「コンピテンシー」を導入する企業は増えてきています。
しかしながら、「聞いたことはあるけれど、いまいちピンとこない…」という方もいるのではないでしょうか。
今回は、人事評価や採用面接の基準に取り入れられている「コンピテンシー」について、英語”competency”の正しい意味と使い方、類義語を紹介していきます!
「コンピテンシー」の意味
「コンピテンシー」は、英語の”competency”をそのままカタカナで表記した言葉です。
人事評価や採用面接などで使われることが多いビジネス用語として、優れた業績をおさめたり、優秀な成果をあげたりした人材の能力や行動特性のことを意味します。
「コンピテンシー」の特徴としては、以下のような目に見えない能力や適性項目が挙げられます。
- 協調性
- 責任感
- 親密性
- 情報収集力
- 分析力
- 問題解決力
- チームワーク
- リーダーシップなど
学歴や資格、知識量、技術ではなく、高いパフォーマンスで業務を遂行するために必要とされる要素のことを指しているのがわかりますね。
「コンピテンシー」の関連語
「コンピテンシー」と意味が似ていて混同しやすい言葉に「スキル」や「アビリティ」、「ケイパビリティ」などがあります。
どれも英語に由来した「能力」を表すカタカナ言葉ですが、使い方やニュアンスは微妙に異なります。
コンピテンシー | 高い業績をあげた人材、優秀な成果を残した人材をモデルとした具体的な行動特性 |
スキル | 特定分野に求められる専門的な知識や技能 学習や訓練で獲得した後天的なもの ※スキルを発揮するには高いコンピテンシーが必要 |
アビリティ | 仕事へ取り組む総合的な能力 持って生まれた能力に限らず、努力して身につけた能力も含む 「〇〇アビリティ」のように他の言葉と組み合わせて特定の能力を表現する 雇ってもらえる能力を「エンプロイアビリティ」、追跡可能性を「トレーサビリティ」と呼ぶ ※アビリティをいかすには、高いコンピテンシーが必要 |
ケイパビリティ | 企業やサービスが持つ組織的な能力や強み 事業成長の原動力となる組織力やバリューチェーンのこと ※コンピテンシーの対象は個人、ケイパビリティの対象は組織 |
「コンピテンシー」の使用例も紹介しておきましょう。
・彼らのマーケティングコンピテンシーは業界ではよく知られています。 ・研修プログラムは、社員全員のコンピテンシー向上を目標としています。 ・プロジェクト管理における彼のコンピテンシーが成功につながりました。 ・コンピテンシーに基づいたグループワークは、実践的なスキルに焦点を当てています。 ・複雑な仕事を処理できたチームのコンピテンシーが高く評価されました。 |
”competency”の意味
”competency”は、特定の分野や業務において、適切な能力や知識、態度を持って発揮できることを意味する名詞です。
ビジネスや教育の現場でよく使われており、個人や組織(企業)が目標を達成するために必要な行動モデルを表します。
”competency”は、辞書で以下のように定義されています。
Competency means the same as competence.
competencyはcompetence同じ意味
【competency】an important skill that is needed to do a job
仕事をするために必要な重要なスキル
【competence】
the ability to do something well
何かをうまくやる能力
参考:
COMPETENCY – Collins dictionary
COMPETENCY | Cambridge Dictionary
COMPETENCE | Cambridge Dictionary
”Competency means the same as competence.”とあるように、”competency”
は”competence”と同じ意味を持ち、「能力」や「スキル」を指しているのがわかります。
”competency”は、イギリス英語とアメリカ英語で発音が若干異なります。
▶︎イギリス英語 /ˈkɒm.pɪ.tən.si/「カンピタンスィ」
▶︎アメリカ英語 /ˈkɑːm.pə.t̬ən.si/「カンペタンスィ」
カタカナの「コンピタンシー」のようには読まないので、英会話での発音には注意しましょう。
”competency”を使った例文
”competency”を使った例文を紹介します。
「能力」と「適性」に分けた会話シーンを想像しながらチェックしてみましょう。
能力・スキル
訳)ビジネスでは、スキルや能力が何よりも重視されます。
訳)仕事の能力を評価するには客観的な基準が必要です。
訳)タイピングは、ほとんどの雇用主が基本的な能力とみなしています。
適性・適格性
訳)リーダーには、絶対的な適性が必須なのです。
訳)マネージャーは、社内のチームにおける重要なスキルと適性を見極め、保持する必要があります。
訳)彼の裁判を受ける適格性については疑問の余地はありません。
”competency”の類義語
”competency”の類義語には、カタカナでなじみがある”capacity”や”skill”のほかにも、”capability”や”proficiency”などといった単語があります。
いずれも、ある分野や業務において求められる適切な能力や知識を持っていることを表します。
- ability … 能力、技量、力量、才能
- skill … 手腕、腕前、技量、訓練・熟練を必要とする特殊な技能
- talent … 特殊の才能、手腕、才能のある人、人材
- capacity … 収容力、容積、容量、包容力、度量、才能、知的能力、理解力
- capability … 能力、才能、手腕、特性、性能、素質、将来性
- proficiency … 熟達、堪能、技量、上達
まとめ
人事評価や採用面接の基準として導入が進む「コンピテンシー」について、英語”competency”の正しい意味と使い方、類義語を紹介しました。
「コンピテンシー」は、英語の”competency”をカタカナ表記した言葉です。
人材を評価するビジネス用語として、高いパフォーマンスにより優れた業績をおさめた人物の能力や行動特性を表します。
学歴や資格、知識ではなく、協調性や責任感、リーダーシップといった目に見えない潜在的な能力や行動力を指しています。
コンピテンシーは、スキルやアビリティ、ケイパビリティと混同されやすいカタカナ言葉でもあるので、英語本来の意味を正しく理解し、間違った使い方で誤解を生まないように気をつけましょう。
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