『教養』を辞書で確認すると次のような説明があります。
学問、知識などによって養われた品位。教育、勉学などによって蓄えられた能力、知識。文化に関する広い知識。 (<精選版 日本国語大辞典>より)
なんだか漠然としていてつかみどころがないように感じられますが、教養は豊かな人生を送るために欠かせない要素です。
そんな「教養」を英語で何て言うか知っていますか?
今回は、教養や教養に関連する英語表現をご紹介します。
教養とは “culture” や “education”
教養を英語で表現するなら次の2つの英語がふさわしいでしょう。
- culture
- education
どちらも「教養」を意味しますが、”culture”は文化的な教養、”education”は教育や勉学を通じて身に付ける教養というイメージが強いです。
さらに「教養」に関連する英語を確認していきましょう。
「教養がある」の英語表現は?
「教養がある」の英語表現はひとつだけなく、そのニュアンスによりさまざま。
主なものを確認しましょう。
cultured
culturedは「教養のある、文化のある」と意味の形容詞です。
He is a cultured and goal-oriented person.
訳)彼は教養があり、目的を決めて行動する人間です。
ちなみに”orient”は「関心を向ける」という意味で、”oriented”は「~志向の、~を重視する」という意味の形容詞になります。
orienntedを使って次のような表現もできますよ。
- career orientated person キャリア志向の人
- lyrics oriented song 歌詞重視の楽曲
- action oriented film アクション系の映画
educated
”educated”は「教養のある、高い教育を受けた」という意味です。名詞のときと同じように”cultured”は文化的な教養、”educated”は教育や勉学を通じて身に付ける教養というイメージが強いことを覚えておいてくださいね。
She is a highly educated woman.
訳)彼女は高い教育を受けた女性です。
learned
「学習する、習得する」という意味の動詞learnの形容詞”learned”も教養があることを表現します。「学識のある、博学な」といったよりアカデミックな意味を持ちます。
He is a learned person.
訳)彼は学者だ。
enlightened
”enlighten”は「(人に)教える、説明する、啓蒙する」などの意味。
”enlightened”になると「見識のある、正しい知識を持った、良識を持った」という形容詞になります。
She has very enlightened views.
訳)彼女は賢明な思想を持っている。
cultivated
“cultivate”は「(土地を)耕す」という意味を持つ動詞。
教養からほど遠い単語のように感じますが、cultivateには「(技術、品性、才能を)みがく、高める」という意味もあります。
そこから転じて、”cultivated”は「教養のある、洗練された」という意味を持ちます。
He gave a cultivated speech at the podium.
訳)彼は壇上で洗練されたスピーチをした。
podiumは「演壇、指揮台、表彰台」の意味です。
sophisticated
“sophisticate”には「洗練する」という意味があり、そこから”sophisticated”は「教養のある、あか抜けた、都会的な、洗練された」という意味を持ちます。
I can’t speak sophisticated English.
訳)わたしは洗練された英語は話せません。
「教養を身に付ける」の英語表現は?
「教養を身に付ける」の英語表現も確認しましょう。
acquire
“acquire”は「教養を身につける」の英語表現でよく使われる動詞です。
“acquire”には「(知識、評判など)を得る、獲得する、(習慣、能力など)を身に付ける」という意味があります。
具体的には次のように表現します。
- acquire accomplishments
- acquire culture
- acquire general knowledge
“accomplishment”は「成果、業績、技術、技能」という意味を持つ名詞ですが、それ以外にも「教養、たしなみ」などの意味もあります。
general knowledgeは「一般常識」という意味です。
cultivate oneself
“cultivated”のところでも紹介しましたが、”cultivate”は「(土地を)耕す」という意味を持つ動詞で、ほかにも「(技術、品性、才能を)みがく、高める」といった意味もあります。
そのため、”cultivate oneself” で「(自分自身を高める=)教養を身に付ける」という意味になります。
How about attending this seminar to cultivate yourself?
訳)自己啓発のために、このセミナーに参加してはどうですか?
improve oneself
「改良する、進歩させる、向上させる」の意味を持つimproveを使い、”improve oneself”で「自分自身を向上させる」となります。教養を身に付けるシーンで使うことができますよ。
Are you doing anything to improve yourself?
訳)自分自身を向上させるために何かしていますか?
develop culture
「発達させる」というイメージの強い”develop”は、実は「身に付ける」という意味も持っています。”develop culture”で「教養を身に付ける」という意味になります。
You should develop culture.
訳)君は教養を身に付けるべきだよ。
教養に関するほかの表現には「教養を高める raise one’s culture」や「教養を豊かにする
enrich one’s education」などがあります。併せてチェックしてくださいね。
「教養学部」は英語で何と言う?
「教養学部」を設置している有名大学がありますが、「教養学部」は英語で何と言うのでしょうか?
「教養学部」は英語で “Faculty of Liberal Arts”と言います。「国際教養学部」の場合は、”Faculty of International Liberal Arts”と言います。
つい最近まで、多くの大学は社会で役に立つ人材を育てるために、なるべく早く専門教育を行ってきましたが、昨今では「教養学部」 “Faculty of Liberal Arts” が注目されています。
「教養学部」ではどのようなことを学ぶのでしょうか? 「教養学部」では、文系・理系の枠を超えて、自然科学、社会科学、人文科学、国際学などの多様な研究テーマや課題を横断的に研究していきます。
教養学部の教育指針は「ジェネラリストの育成」です。「ジェネラリスト: Generalist」は、特定の分野に関して専門的な知識を有する「スペシャリスト: Specialist」に対する言葉で、幅広い学識や能力、経験をもつ人を指します。
「教養学部」と「国際教養学部」でカリキュラムや学習することに違いはあるでしょうが、どちらも「ジェネラリストの育成」を目指している点は共通しています。
「国際教養学部」では、グローバル社会に対応する必要性から、外国語の科目に力を入れ、国際感覚を養うカリキュラムを多数設けています。
Aさん
Faculties of Liberal Arts aims to train generalists.
訳)教養学部では、ジェネラリストの養成を目指しています。
「教養学部」卒の学生の就職先は?
では、「教養学部」卒の学生は、どういった会社や組織に就職するのでしょうか?
「スペシャリスト」の養成を目指している学部の就職先は、ある程度絞られてくるでしょうが、「教養学部」では「ジェネラリスト」の養成を目指しているので、卒業生の就職先は多岐に渡ることが予想されます。
教養学部を卒業した学生は、総合的な知識と育まれた視野の広さを活かし、幅広い業界や職業への道が開けています。
業界:商社、金融、マスメディア、サービス、広告、旅行など
職種:総合職、営業職、事務職など
「国際教養学部」卒の学生は、英語も鍛錬しているので、総合商社に就職して、得意の英語を活かしながら、国際的に活躍するのもありですね。
銀行や証券会社等の金融機関も、経済学部と並んで、教養学部卒の学生が多いとされています。マスメディア、サービス、広告、旅行などでも、ジェネラリストの養成機関で学んだことを活かせる機会が多いと考えられます。
「教養がない」の英語表現は?
「教養がない」の英語表現も確認しましょう。
代表的なものは次の3つです。
ignorant
“ignorant”の意味はまさしく「無知な・無教養な」。動詞”ignore”「無視する」の派生語です。
Nothing in all the world is more dangerous than sincere ignorance and conscientious stupidity.
この世で本当の無知と良心的な愚かさほど危険なものはない。(キング牧師の言葉)
illiterate
“illiterate”は「読み書きのできない」という意味の形容詞。「無教育の、無学の」という意味も持ち、名詞や副詞のあとでは「~のことをよく知らない、~の教養がない」という意味になります。
I’m politically illiterate.
訳)わたしは政治のことはよくわからない。
uneducated
“uneducated”は「無教養な、無学の」という意味で、よく使われる単語です。”educated”の逆の意味ですが、「無教養な」という意味で、よく使われる単語です。
Aさん
Some people say that uneducated youth often find it difficult to get a good job in our modern society,
訳)現代社会では、学歴のない若者が良い仕事に就くのは難しいと言う人もいる。
unschooled
“unschooled”も「教養がない、無学の」という意味ですが、「教育を受けていない、学校に行っていない、無教育の」というニュアンスが強い単語です。
コロナ禍で不登校の子供たちが増えていますが、海外には学校に行かなくても、良い教育を受けている子供はいるようで、”Unschooled: Raising Curious, Well-Educated Children Outside the Conventional Classroom”という本で、そういった教育法が紹介されていたりします。
Aさん
I saw a book about unschooled but well-educated children being sold.
訳)学校には行っていないけど、教養がある子供たちに関する本が売られているのを見たよ。
unsophisticated
“unsophisticated”は、先ほど紹介した”sophisticated”「教養のある、あか抜けた、都会的な、洗練された」の逆の意味になり、「教養がない」という意味で使われることもあります。”uneducated”と断言してしまうと、ダイレクトすぎて角がたつので、婉曲的に「無教養な」と言いたい場合に、”unsophisticated”が使われる傾向があります。
Aさん
It is said that unsophisticated people do not have a wide range of experience or knowledge.
訳)無教養な人々は幅広い経験や知識を持っていないと言われている。
simple
たくさんの意味を持つ”simple”。「簡単な」や「やさしい」「簡素な」といった意味のほかに「お人好しの、だまされやすい、無知な、愚かな」といった意味もあります。
I am not so simple as to believe that.
訳)わたしはそれを信じるほど愚かではない。
まとめ
今回は「教養」に関連した英語表現をご紹介しました。
「教養」を身に付けるにはさまざまな文化に触れることと豊富なコミュニケーションが欠かせません。
英語圏の文化はもちろん、さまざまな国の文化に触れ、知見がグッと広がるのが英語学習のいいところ。
異なる文化圏の方ともコミュニケーションを取れるのが英会話の醍醐味です。
英語学習を通じて、さらに人生を楽しむための心の豊かさを手に入れることができる!なんて思うと、さらに英語の勉強にも熱が入りませんか?
英語だけじゃなく「教養」もしっかり身に付けた人になりたいですね。