みなさんは、「オミット」という言葉を聞いたことはありますか?

「オミット」は、「例の件はオミットした」「〇〇社はオミットしておいて」など、おもに動詞として使われ、スマートでかっこよく表現できるビジネス用語です。
IT業界では頻繁に使用されていますが、カタカナ言葉になじみがないと、「オミットって何のこと?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、意外と知られていないカタカナ言葉「オミット」について、英語”omit”の意味と使い方、類義語と対義語を紹介していきます。

「オミット」とは?

「オミット」とは?

「オミット」は、英単語”omit”に由来したカタカナ言葉です。
主にビジネスの場で使われており、「除外する」「省く」「却下する」などを意味します。

[名]除外すること。省くこと。

参考:デジタル大辞泉

カタカナ「オミット」の使用例

  • ルール違反をした者は全員、名簿からオミットされるべきだ。
  • 主人公の兄は、物語の外にオミットされるような性格として登場する。
  • 真実をオミットした記事を載せていることは多くの人が知らない。

「除外する」や「却下する」などのネガティブな意味を持つ日本語を、「オミット」というカタカナを用いることで、ライトで柔らかい言い回しが可能になります。

ビジネスでの「オミット」の使用例

  • これらいくつかの工程は、ひとつはオミットしても問題ない。
  • 会議室の修繕計画は、予算と日程の都合により今回はオミットされた。
  • 残念なことに彼をプロジェクトメンバーからオミットすることに決まった。

IT業界や音楽業界など、カタカナ用語が飛び交うような業界では当たり前に使われている「オミット」ですが、なかには「カタカナを使うと余計わかりにくい」と嫌がられる場合もあります。
カタカナの「オミット」は、むやみに使うのではなく、状況や場面、相手を見極めて適切な使用を心がけておきましょう。

「オミット」と似ている言葉に「コミット」がありますが、「コミット」は「責任をともなう約束や誓約」を意味しており、
強い決意や意志を表明する際に「目標にコミットする」「結果にコミットしたい」のように使います。
「オミット」と「コミット」は、たった一字違うだけの似ている言葉ではありますが、表す意味が大きく異なるため間違えないように注意してくださいね。

”omit”の意味

”omit”は、「…を省く」「省略する」「抜かす」「し落とす」「怠る」などの意味を持つ動詞です。

辞書では以下のように定義されています。

  • to fail to include or do something
    何かを組み込まない、または実行しない
  • to not include someone or something, either deliberately or because you forget to do it
    故意に、または実行し忘れたために、誰かまたは何かを組み込まないこと

参考:Cambridge Dictionary, Longman Dictionary

文書や会話で、無駄な部分を取り除いたり、重要な点だけを残したりしたいときによく使われます。
必要ない情報を意図的に省く行為以外にも、「…し忘れる」「漏れる」のようなうっかりした行動にも用いられます。

”omit”の発音は、わたしたちが言うカタカナ「オミット」とは異なるので注意が必要です。

【イギリス英語】 /əʊˈmɪt/ /əˈmɪt /
【アメリカ英語】 /oʊˈmɪt/

「オ」と「ア」の間の音に小さな「ゥ」を足したような音で発音するのがポイントです。
日本語の母音にはない音なので少し難しいですが、しっかりと正しい発音を身につけておきましょう。

”omit”を使った例文

”omit”を使った例文

”omit”を使った例文を紹介します。

「省略する」「省く」という意味で使われる場合、以下のように表現できます。

Aさん
I’ve bracketed the bits of text that could be omitted.
訳)省略可能な部分には、括弧をつけてあります。
Aさん
The exhibition omits portrait and still-life photography, which is richly illustrated in the catalog.
訳)この展覧会では、カタログに豊富に掲載されている肖像写真や静物写真は省略されています。

必要な情報を「意図的に省く」または「故意に割愛する」といった意味合いを持つ場合の表現も確認しておきましょう。

Aさん
She omitted to mention to anyone that she would be away next week.
訳)彼女は、来週不在になることを誰にも言いませんでした。
Aさん
His new girlfriend had omitted to tell him she was married.
訳)彼の新しい恋人は、自分が結婚したことを彼に伝えていませんでした。

「除外する」「削除する」の意味で使われる場合の表現も覚えておくと役立ちますよ。

Aさん
He fined all three and omitted them from the match.
訳)彼は、3人全員に罰金を科し、試合から除外しました。
Aさん
The part of the novel which became controversial was omitted by the author himself before it was published.
訳)物議を醸した小説の部分は、出版される前に著者自身によって削除されました。

「…し忘れる」「漏れる」の意味を表すときは、以下のように表現できます。

Aさん
Her name was omitted from the list of contributors to the report.
訳)彼女の名前は、報告書の寄稿者リストから漏れていました。
Aさん
Our apologies to the article for omitting his name from last week’s article.
訳)先週の記事で筆者の名前が漏れていたことをお詫びいたします。

 

”omit”の類義語と対義語

最後に、「省く」や「除外する」を意味する”omit”と似たような意味を持つ類義語と、反対の意味を表す対義語を紹介していきましょう。

”omit”の類義語

”omit”には、「省略する」「除外する」などの意味がありますが、以下の英語も同じような意味合いで使われるので一緒に覚えておくと良いでしょう。

  • leave out…省く、除外する、無視する、忘れる
  • miss out…省略する、抜かす
  • exclude… 締め出す、遮断する、入ることを拒む、除外する
  • forget…忘れる、思い出せない、ないがしろにする、無視する
  • overlook…見晴らす、見渡す、大目に見る、見逃す、見落とす

”omit”の対義語

”omit”の対義語には、以下のような英語が挙げられます。
いずれの単語も「…を含む」や「…を入れる」といった意味を持っています。

  • include…含む、含めて考える、算入する、入れる
  • enter…入る、入り込む、加入する、入会する、参加する
  • put in…入れる、差し込む、置く、差しはさむ、加える
  • incorporate…合体させる、合同させる、加入させる、組み入れる
  • insert…差し込む、挿入する、書き入れる、差しはさむ、掲載する

 

まとめ

ビジネス用語ではあるものの、あまり知られていないカタカナ言葉「オミット」について、英語”omit”の意味と使い方、類義語と対義語を紹介しました。

「オミット」は、英単語”omit”に由来し、ビジネスシーンでよく使われているカタカナ言葉です。
おもに「…を除外する」「…を省く」「…を却下する」といった意味で用いられていますが、業界によってはなじみがなく通じない場合もあるので、むやみに多用するのは避けた方が無難です。

類義語と対義語もセットで覚えておくことで、語彙と表現の幅が広がります。
英語がわからずにオミットされてしまわないよう、ひとつひとつの単語の意味と使い方をしっかりと習得していきましょう。

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