「音楽がフェードアウトした」「付き合いからフェードアウトする」など、「フェードアウト」を使った表現をよく聞きますよね。
日常生活からビジネスシーンまでいろいろな場面で多用されている「フェードアウト」ですが、どのような意味を持っているかみなさんは知っていますか?
「フェードアウト」は、英語に由来したカタカナ語で、「徐々に消えていく」や「関係性が終わる」などを表すときに使われています。
カタカナと英語のどちらも、同じように用いて問題はないのでしょうか。
今回は、使用頻度の高いカタカナ語「フェードアウト」について、英語”fade out”の意味と使い方、混同しやすい”fade away”との違いを解説していきます。
「フェードアウト」とは
「フェードアウト」は、英語の”fade out”に由来したカタカナ語です。
「フェードアウト」とは、映像演出において、なめらかに、そしてゆっくりと照明を落としていくことで、映像がだんだんと薄れていったり、消えていったりする表現技法のことです。
視覚効果だけでなく、音楽や音声などの音響が次第に小さくなって、最終的に無音になるような場合も「フェードアウト」で表現されます。
「フェードアウト」がないと、突然パッと画面が切り替わったり、大きな音がいきなり途切れたりといった不自然な形で終了してしまいかねません。
映像を見ている人、音楽や音声を聞いている人に対して、余韻を残しながらフェードアウトで「自然な終わり」を提示することで、次の場面へスムーズに移行させる効果があります。
人間関係における「フェードアウト」
人間関係がだんだん希薄になっていくことを「フェードアウト」といいます。
仲が良かった友人と、だんだん疎遠になっていった、恋人との遠距離恋愛が続かず自然消滅した、なんていう話はよく聞きますよね。
人間関係での「フェードアウト」は、まさに、その関係性が次第に薄れて消えていくことを指して使われる表現です。
少しずつ会う機会が減り、お互いに連絡を取らなくなり、距離が離れていくような状態です。
気づいたら「フェードアウト」していたという場合もあれば、自分から望んで「フェードアウト」するような場合もあるでしょう。
年月を重ねるにつれて、これまでの人間関係が「フェードアウト」していくことは、仕方ない現象であるともいえますね。
【例】彼女から連絡が来なくなり、フェードアウトされたとわかった。
仕事における「フェードアウト」
「フェードアウト」は、仕事の場面でもよく使われる表現です。
もともとの「徐々に消えていく」という意味から派生して、「その場からいつの間にか消える」「気づかれないようそっと姿を消す」といった意味を表して使われます。
たとえば、大々的に退職を宣言せずにいつの間にか辞めていたり、大勢で談笑している場所からそっと離れていたりする場合を指します。
【例】彼は有給休暇を増やして、いつの間にかフェードアウトしていた。
”fade out”の意味
”fade out”は、”fade”と”out”を組み合わせた句動詞です。
句動詞(phrasal verbs)とは、〔動詞+前置詞〕または〔動詞+副詞〕で一つの意味を表す英語表現です。
動詞に続く前置詞または副詞が結合して一つの意味を表しており、それぞれの単語が持つ意味から、大体の訳やニュアンスを推測できます。
”fade out”には、「次第に消えていく」「次第に暗くなる」「次第にぼんやりする」などの意味があります。
辞書の定義をみてみましょう。
- to disappear slowly or become quieter, or to make a picture or sound do this
ゆっくりと消えたり静かになったり、絵や音を作ったりする- If the picture or sound of a film or recording fades out or someone fades it out, it becomes gradually weaker.
フィルムや録音の画像や音声がフェードアウトしたり、誰かがフェードアウトさせたりすると、徐々に弱くなること
”fade out”とは、特に映像や音響において、徐々に消えていくプロセスを表す技法のことです。
スペースのない”fadeout”や、間にハイフンを付けた”fade-out”と書かれることもあり、表記によって用法に違いがあるので、正しく使い分けられるようになっておきましょう。
”fade out”を使った例文
”fade out”を使った例文を紹介します。
訳)コンサートから遠ざかるにつれて、音楽がフェードアウトし始めました。
訳)停止ボタンを押したときにトラックがフェードアウトするかどうかをチェックする必要があります。
名詞扱いの”fade-out”または”fadeout”を使った例文も確認しておきましょう。
訳)ビデオエディターを使うので、フェードインやフェードアウトなど、さまざまなエフェクトをかけられます。
訳)フェードアウトがあるので、次に何が起こるかは、わたしたちの想像に任されています。
”fade out”と”fade away”の違い
”fade out”と似ている意味を持つ英語に”fade away”があります。
どちらも「消える」「目立たなくなる」と訳される句動詞ですが、含まれるニュアンスは異なります。
”fade away”は辞書で以下のように定義されています。
”lose importance”とあるように、その存在自体が消えて重要さを失ってしまうことを表しているとわかります。
to slowly disappear, lose importance, or become weaker
徐々に消えたり、重要性を失ったり、弱くなったりする
”fade out”と”fade away”の違いをまとめると以下のようになります。
fade out | 何かから何かが徐々に消えていく、目立たなくなっていく |
fade away | 存在自体が遠くへ徐々に消えてなくなる |
fade out”は、「何かから何かが徐々に消える」現象を表すのに対し、”fade away”は、「その存在自体が徐々に消える」ことを指しています。
”fade away”は、”fade out”よりも、どこか物悲しいニュアンスを含んでおり、遠くて手の届かない場所へ消えていってしまうようなときに使われる表現です。
まとめ
使用頻度の高いカタカナ語「フェードアウト」について、英語”fade out”の意味と使い方、混同しやすい”fade away”との違いを解説しました。
「フェードアウト」は、英語の”fade out”からきたカタカナ語です。
”fade out”は、映像や音響が徐々に薄く小さくなり、消えていくことを表します。
句動詞の”fade out”のほか、名詞として使われる”fadeout”や”fade-out”も、「消える」「ぼんやりする」「薄れる」という意味は共通しています。
似たような意味で混同しやすい”fade away”は、より遠く、手の届かない場所へ消えていくようなイメージで覚えておくとわかりやすいです。
せっかく覚えた単語や表現が”fade out”してしまわないよう、反復と継続で英語スキルを向上させていきましょう!
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