「マスト」という言葉を耳にしたことはありますか?

マストはカタカナ英語として日常的に使われていますが、特にビジネスシーンでは「マスト事項」「マストでお願いします」など、業務の優先度や必須条件を伝える際によく登場します。

また、「ベター(better)」との違いや、英語の “must” との使い分けについて疑問を持っている方も多いかもしれません。

この記事では、「マスト」の意味や具体的な使い方、ビジネスシーンでの表現例、さらには言い換え表現まで詳しく解説します。

これを読めば、ビジネスでも日常でも「マスト」を正しく使えるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

マストの意味とは?

マストの意味とは?

「マスト」は、英語の “must” を由来とするカタカナ語で、「絶対に必要」「必須」「欠かせない」といった意味を持ちます。また、状況によっては、「やるべきこと」「優先度の高いもの」を指すこともあります。

日本語では主に名詞として使われ、「これはマスト」「マスト事項」などの形で用いられます。一方、英語の “must” は助動詞として使われることが多いため、日本語の「マスト」とはやや使い方が異なります。この違いについては、記事の後半で詳しく解説します。

ここではまず、マストがどのような場面で使われるのかを見ていきましょう。

マストの主な使い方

カタカナ英語の「マスト」は、主に「日常会話」「ファッション業界」「ビジネスシーン」の3つでよく使われます。それぞれの使い方を詳しく見ていきましょう。

【日常会話でのマスト】

カジュアルな会話の中では、マストは「絶対に必要なもの」「強くおすすめするもの」として使われます。

特に、友人同士の会話やSNS投稿などで、「マストな○○」という表現が見られます。

いずれの場合も、「これは絶対に押さえておくべき!」という強調表現として使われるのが特徴です。

  • 「この映画、マストで観てほしい!」(絶対に観るべき映画)
  • 「旅行のマストアイテムはスーツケースと変換プラグだね!」(旅行に必須のアイテム)
  • 「このカフェ、雰囲気もコーヒーも最高だからマストだよ!」(絶対に行くべきカフェ)

【ファッション業界でのマスト】

ファッションの世界では、「マストアイテム」「マストバイ」などの表現が定着しており、流行や必需品を指す言葉として使われます。

ファッション誌や通販サイトの商品紹介でも、「この秋のマストアイテム」といった形で頻繁に使われています。

  • 「今季のマストアイテムはロングブーツ!」(この季節に欠かせないアイテム)
  • 「このバッグはマストバイ!」(絶対に買うべきバッグ)
  • 「今年のトレンドカラーを取り入れたジャケットはマスト!」(必ず取り入れるべきアイテム)

【ビジネスシーンでのマスト】

ビジネスの場面では、「マスト事項」「マストでお願いします」などの形で、業務の必須条件や優先事項を伝える際に使われます。

特に、会議やメールでの指示、プロジェクトの要件定義など、仕事上の要件を明確にする場面で頻繁に登場します。

  • 「この資格はマストです。」(この資格は必須条件です)
  • 「プロジェクト成功のために、このツールはマストです。」(このツールは不可欠です)
  • 「このスケジュールはマスト事項なので、必ず守ってください。」(このスケジュールは絶対に厳守)

ビジネスにおけるマストの具体的な使用例については、次の章でさらに詳しく確認していきましょう。

ビジネスシーンでのマストの使用例と意味

特にビジネスシーンでは、「マスト」は業務の優先度や必須条件を明確にするために頻繁に使われます。プロジェクトの進行管理、会議のアジェンダ、取引先との交渉など、さまざまな場面で活用される表現です。

ここでは、ビジネスにおける「マスト」の代表的な使い方を、具体的な例文とともに紹介します。

マストです

「マストです」は、「これは必須です」「絶対に必要です」という意味で使われます。

業務上欠かせないスキルや条件を強調する際に用いられることが多い表現です。

Aさん
プロジェクト成功のために、このツールはマストです
Aさん
リモートワークには、安定したネット環境がマストです

マスト事項

「マスト事項」は、「必ず守るべきこと」や「最優先で対応すべきタスク」を指します。

プロジェクト管理や契約締結時など、重要なポイントを強調したいときに使われます。

Aさん
今回の会議では、マスト事項を整理して優先的に議論します。
Aさん
契約書のマスト事項を確認し、抜け漏れがないか精査してください。

マストで進める

「マストで進める」は、「この方向性で確実に進める」という意味を持ちます。

プロジェクトや業務の方針を明確にする際に使われます。

Aさん
上層部の決定により、この案件はマストで進めることになりました。
Aさん
この施策はクライアントの要望なので、マストで進めてください。

マストプロセス

「マストプロセス」とは、「必ず踏むべき手順」「業務上欠かせないプロセス」を指します。

主に業務の流れの中で、省略できない手続きを示す際に使われます。

Aさん
契約締結前のリスクチェックはマストプロセスのひとつです。
Aさん
製品リリース前の品質テストは、マストプロセスとして定められています。

マストアジェンダ

「マストアジェンダ」は、「会議で必ず取り上げるべき議題」を指します。

重要なトピックが埋もれないようにするために使われます。

Aさん
この課題は、次回の会議のマストアジェンダに追加してください。
Aさん
顧客対応の改善策について、マストアジェンダとして扱う必要があります。

マストターゲット

「マストターゲット」は、「最優先で狙うべき顧客層」や「事業の主要ターゲット」を指します。

主にマーケティングや営業戦略を立てる際に使われます。

Aさん
この商品のマストターゲットは、30代の女性を想定しています。
Aさん
BtoB向けのサービスですが、特にスタートアップ企業をマストターゲットに設定しました。

マストでお願いします

「マストでお願いします」は、「必ずこの通りに進めてください」という依頼や指示を強調する表現です。

ビジネスメールや、同僚同士の会話などでよく使われます。

Aさん
この納期は厳守で、マストでお願いします
Aさん
今回の企画は、社長の意向なのでマストでお願いします

マストの言い換え表現

マストの言い換え表現

「マスト」という言葉は、ビジネスシーンや日常会話で広く使われていますが、状況に応じて他の表現に言い換えることも可能です。

特にビジネスなどのフォーマルな場面では、すべて「マスト」とカタカナ英語で済ませると稚拙な印象を与えかねません。

そのようなときは、日本語の「必須」「欠かせない」「重要」などの表現にパラフレーズすることで、適切なニュアンスを伝えやすくなります。

以下に、マストの言い換え表現を表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

言い換え表現 意味
必須 絶対に必要なもの
必需品 なくてはならないもの
欠かせない 重要で外せないもの
重要 優先度が高いもの
絶対条件 何があっても満たさなければならない条件

マストとベターの違い

「マスト」と「ベター」は、それぞれビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、意味に明確な違いがあります。

まず、「マスト」は「絶対に必要、必須」を意味し、強制力が強く、「やらなければならない」ことを示します。たとえば、「このスキルはマストです」と言った場合、スキルが「絶対に必要」という点が強調されています。

一方、「ベター」は「より良い、望ましい」という意味を持ち、必須ではないものの推奨される選択肢を指します。

ベターのもとになっている英語 better は、もともと「good(良い)」の比較級であり、「より良いが、なくても問題ない」ニュアンスになります。

たとえば、「英語が話せるとベターですが、必須ではありません」と言った場合、「話せたほうが良いが、できなくても問題ない」という意味が込められています。

Aさん

Coming to the office in the morning is a must, but leaving the same day is just better.

朝オフィスに来るのはマストですが、その日のうちに退社するのはあくまでベターです。

Bさん

What kind of company is this? That’s way too exploitative!

何この会社、ブラック過ぎる!

 

カタカナの「マスト」と英語の “must” は同じ?

カタカナの「マスト」と英語の “must” は、意味はほぼ同じですが、使い方に違いがあります。

英語本来の “must” は主に助動詞として使われ、「~しなければならない」という強制や義務を表します。

Aさん

You must submit this report by tomorrow.

あなたはこのレポートを明日までに提出しなければなりません。

一方で、日本語の「マスト」は名詞として使われることが多く、「これはマストです」「マスト事項」などのように、必要な条件や必須のものを表す際に用いられます。

ただ、英語でも日本語のマストに似た使い方はあり、その場合は “a must” と不定冠詞 a を添えて表現します。

Aさん

Taking occasional breaks is a must to keep working effectively.

仕事を続けるうえで、適度に休むことはマストです。

とはいえ、これはあくまで例外的な使い方で、英語の must は基本助動詞です。日本語か英語かで語法が異なるので、別の言葉として使い分けに注意しましょう。

英語の must の言い換え表現

英語の “must” は、「~しなければならない」「絶対に必要」という意味を持ちますが、状況に応じて以下の表現に言い換えられます。

  • Have to / Has to(~しなければならない)

 

Aさん

You have to complete this task by Friday.

あなたは金曜日までに作業を終わらせなければなりません。

Aさん

She has to attend the meeting.

彼女は会議に出席しなければなりません。

 

  • Need to(~する必要がある)

 

Aさん

You need to renew your passport.

あなたはパスポートを更新する必要があります。

Aさん

We need to prepare the documents.

私たちは書類を準備する必要があります。

 

  • Be required to(~することが求められる) ※ややフォーマルな表現

 

Aさん

Employees are required to wear uniforms.

従業員は制服を着用することが求められます。

Aさん

All applicants are required to submit their resumes.

応募者は履歴書を提出する必要があります。

 

まとめ

今回は、カタカナ英語「マスト」の意味や具体的な使い方や言い換え表現、もとになった must の意味などについて、詳しく確認してきました。

「マスト(must)」は、「絶対に必要」「必須」「欠かせない」といった意味を持つカタカナ英語で、特にビジネスシーンで頻繁に使われます。「マスト事項」「マストでお願いします」などの表現は、業務の優先度や必須条件を明確に伝える際に便利です。

日本語の「マスト」は名詞として使われることが多いため、英語の “must” とは使い方に違いがあります。フォーマルな場面では多用せず、「必須」「重要」「欠かせない」などの表現に置き換えることで、適切なニュアンスを伝えられます。

今回紹介したことを参考にして、日常会話やビジネスで「マスト」を正しく使いこなしましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!