中国には、歴史と文化が詰まった伝統的なお菓子が数多くあります。
その中でも「老婆餅(ラオポービン / 老婆饼)」は、甘い餡をサクサクのパイ生地で包んだ人気の中華菓子です。
名前の意味や由来を知ると、さらにこのお菓子が魅力的に感じられるでしょう。
老婆餅(ラオポービン)とは?
What is Lao Po Bing?
老婆餅は、中国の広東省(特に香港や広州)で広く親しまれている伝統的なお菓子です。
見た目は丸いパイのようで、外側はサクサクとした生地、中にはほんのり甘い餡が詰まっています。
- 中国語表記: 老婆饼(Lǎopó bǐng)
- 英語名: Wife Cake(ワイフ・ケーキ)
- 主な原材料:
- 小麦粉
- ラードまたはバター
- 冬瓜餡(冬瓜の砂糖漬け)
- 砂糖
- ごま
このお菓子はお茶と相性が良く、中国ではウーロン茶やプーアル茶と一緒に食べるのが一般的 です。
老婆餅の名前の由来
The Origin of the Name “Lao Po Bing“
「老婆餅」という名前には、ある感動的な物語が隠されています。
ある夫婦の愛の物語
昔、中国に貧しい夫婦がいました。ある日、夫が重病にかかり、治療のためにお金が必要になります。妻は大切なものを売ろうと考えますが、それでも十分なお金を集めることができませんでした。
そこで彼女は、自分の得意なお菓子を作り、市場で売ることにしました。そのお菓子が「老婆餅」と呼ばれ、人々に愛されるようになったと言われています。妻の献身的な愛と努力が、このお菓子の名前の由来となっています。
この物語から、老婆餅は「夫婦愛の象徴」ともされ、中国では結婚式や祝い事の際に食べられることもあります。
老婆餅の味わいと食感
Taste and Texture of Lao Po Bing
外側のサクサク生地
老婆餅の生地は 薄くて軽いパイ生地 のような食感が特徴です。これは、小麦粉とラード(またはバター)を練り込んで何層にも重ねることで作られます。オーブンで焼くことで、黄金色の香ばしい仕上がり になります。
ほんのり甘い冬瓜餡
中に詰まっている餡の主な材料は 冬瓜の砂糖漬け です。冬瓜は、スイカのようなシャキシャキした食感を持つ野菜ですが、砂糖で煮詰めることで柔らかく甘みのある餡になります。これに加えて、ごまやココナッツ、豆類を混ぜることもあり、ほんのりとした甘さと香ばしさが広がります。
優しい甘さと香ばしさのバランス
日本の和菓子に比べると、老婆餅の甘さは控えめで、どこか素朴な味わいです。冬瓜餡の自然な甘さと、バターやラードの香ばしい風味が合わさり、紅茶や中国茶と一緒に食べると絶妙な味わいになります。
老婆餅の楽しみ方と現地での人気
How to Enjoy Lao Po Bing and Its Local Popularity
香港のベーカリーで楽しむ
香港の伝統的なパン屋(ベーカリー)では、焼きたての老婆餅を販売している店が多くあります。有名な店舗としては、「榮華餅家(Wing Wah Bakery)」 や 「奇華餅家(Kee Wah Bakery)」 などがあり、お土産としても人気です。
結婚式やお祝い事で食べる
広東地方では、結婚式の贈り物として老婆餅を配る習慣があります。新郎新婦の幸せを願う意味が込められています。
自宅で手作りする
最近では、家庭で作るレシピも多く紹介されており、日本の材料でもアレンジ可能です。ラードの代わりにバターを使ったり、冬瓜餡の代わりに白餡やココナッツミルクを加えても美味しく作ることができます。
老婆餅を英語で作ろう!
Let’s make Lao Po Bing in English!
老婆餅(ラオポービン)は、中国の伝統的なペストリーで、英語では「Wife Cake」や「Sweetheart Cake」と呼ばれます。
材料
フィリング filling
- 100g 糯米粉 glutinous rice flour
- 250g 冬瓜(皮をむき、種を取り、粗くピューレ状にしたもの)Winter melon, peeled, seeded and coarsely pureed
- 25g 砂糖 sugar
- 80ml 水 water
- 35g ココナッツオイル coconut oil
- 120g 冬瓜糖(細かく刻んだもの)Winter melon sugar (finely chopped)
- 小さじ1/2 生姜粉 powdered ginger
- 小さじ1/2 塩 salt
- 大さじ1 レモンの皮(1個分)Zest of 1 lemon
- 小さじ2 バニラエッセンスvanilla essence
- 18g 焙煎した白ごま Roasted white sesame
- 13g 無糖のココナッツフレーク Unsweetened coconut flakes
水油皮(ウォータードウ)Water oil skin (water douche)
- 125g 薄力粉 Thinning Powder
- 50g ラード(または無塩バター) Lard (or unsalted butter)
- 50g 水 water
油酥皮(オイルドウ)Oily condensed skins
- 90g 薄力粉 Thinning Powder
- 60g ラード(または無塩バター)Lard (or unsalted butter)
仕上げ finishing touches
- 卵黄1個 1 yolk
- 小さじ1 水 1 teaspoon water
- 9g 白ごま white sesame seeds
作り方
- フィリングの準備: 糯米粉をフライパンで5分ほど乾煎りし、取り出して冷まします。
Prepare the filling: Dry-roast glutinous rice flour in a pan for 5 minutes, remove and allow to cool. - 冬瓜をすりおろし、砂糖、ココナッツオイル、水と混ぜ、中火で煮ます。
Grate the winter melon, mix with sugar, coconut oil, and water, and cook over medium heat. - 冬瓜糖、生姜粉、塩、レモンの皮、バニラエッセンス、白ごま、ココナッツフレークを加え、混ぜ合わせます。
Add the winter melon sugar, ginger powder, salt, lemon zest, vanilla extract, white sesame seeds, and coconut flakes. - 混合物がまとまるまで加熱し、その後冷まして10等分に分け、ボール状に丸めます。
Heat until mixture comes together, then cool, divide into 10 equal portions, and roll into balls. - 水油皮の準備: 薄力粉とラードを混ぜ、水を加えて生地をまとめます。生地を10等分にし、ボール状に丸めます。
Prepare water-oil crust: Mix flour and lard, add water and bring dough together. Divide the dough into 10 equal portions and roll into balls. - 油酥皮の準備: 薄力粉とラードを混ぜ、生地をまとめます。こちらも10等分にし、ボール状に丸めます。
Prepare the fried cake crust: Mix the flour with the lard and bring the dough together. Divide into 10 equal portions and roll into balls. - 生地の組み立て: 水油皮の生地を平らに伸ばし、その上に油酥皮の生地を置き、包みます。これを再度平らに伸ばし、端から巻いて筒状にし、15分ほど休ませます。この工程をもう一度繰り返します。
Assemble the dough: Roll out the water-oil skin dough flat, place the oil-compound dough on top, and wrap it around the oil-compound dough. Roll it out again and roll it up from the edges to form a tube, then let it rest for 15 minutes. Repeat the process once more. - 成形と焼成: 休ませた生地を再度平らに伸ばし、フィリングを包みます。表面に卵黄と水を混ぜたものを塗り、白ごまを振りかけます。180℃に予熱したオーブンで15~18分、表面が黄金色になるまで焼きます。
Forming and baking: Re-roll the rested dough to flatten it and fill it with the filling. Bake in a preheated oven at 180°C for 15 to 18 minutes until the top is golden brown.
まとめ
老婆餅は、夫婦の愛の物語から生まれた、歴史のあるお菓子 です。
中国の伝統的なお菓子には、文化や歴史がたくさん詰まっています。
老婆餅を食べながら、その背景にある物語に思いを馳せてみるのも楽しいですね。
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