南米の国アルゼンチンはスペイン語を公用語とし、情熱的なアルゼンチンタンゴやメッシやマラドーナといった有名フットボール選手を輩出しています。
食文化では圧倒的にビーフの消費量が多く、ワイン大国でもあります。では、アルゼンチンのスイーツに関してはどのようなことを知っていますか?
この記事では、アルゼンチンのスイーツ「ドルセ・デ・レチェ」を紹介します。情熱的なアルゼンチン人たちはどんな甘いものを好むのでしょうか?!
ドルセ・デ・レチェってどんなお菓子?

ドルセ・デ・レチェはスペイン語でdulce de lecheと書きます。まずは、ドルセ・デ・レチェがどのようなスイーツなのか紹介しましょう。
ドルセ・デ・レチェはミルクキャラメルスプレッド
dulce de lecheというフレーズをみてみると、dulceは甘い、deには「の」、そしてlecheは牛乳という意味がありますので、dulce de lecheは牛乳で作ったお菓子になります。
しかし、牛乳で作ったお菓子というよりはスプレッドが近くなります。スプレッドとは、「広がる・伸びる」という意味で使われる英語spread(スプレッド)であり、名詞にすると食べ物のスプレッドになります。スプレッドとは、パンなどに塗って食べるバターやジャムを指します。
イタリアのヌテラ(nutella)は人気のチョコレートスプレッドですね。ヘーゼルナッツの風味がたまりません。
キャラメルとは違うdulce de leche
dulce de lecheはミルクキャラメルのスプレッド状のスイーツです。キャラメルスプレッドとは色も味も似ていますが、ドルセ・デ・レチェは加糖練乳から作られていますので、砂糖と水、そしてバターやクリームが加えられるキャラメルとは異なるスプレッドです。加糖練乳とは、日本でコンデンスミルクと言われ、牛乳に砂糖を加えて濃縮した粘度の高い液状の食品です。そのため、ドルセ・デ・レチェの粘度はキャラメルと比べて高くなります。
訳)ドルセ・デ・レチェとキャラメルは見た目も甘い風味も似ていますが、作り方は異なります。
訳)ドルセ・デ・レチェは、ミルクと砂糖をとろりと濃厚なキャラメル状になるまでじっくりと煮こんで作られます。
ここまでで、ドルセ・デ・レチェがとろりと濃厚なミルクキャラメルスプレッドというイメージができました。次は、どこでどのように生まれたものなのか紹介しましょう。
ドルセ・デ・レチェ発祥の話し
ドルセ・デ・レチェはラテンアメリカの伝統的なスイーツです。さらに、南米各国、スペインやフランス、ポーランド、フィリピンでも楽しまれています。
アルゼンチンで生まれたドルセ・デ・レチェ
ところで、人は誰でも間違いを起こすものですね。ドルセ・デ・レチェもある人のミスから生まれたスイーツです。
ドルセ・デ・レチェの有名な伝説によれば、19世紀、アルゼンチンの政治家フアン・マヌエル・デ・ロサス氏のところにメイドさんがいました。甘いミルクを準備していたところ、呼び出されストーブの上の鍋を放置、間違って牛乳と砂糖を長時間加熱したままにしてしまいます。その結果、甘いミルクキャラメルスプレッドが生まれたと言われています。
アルゼンチンは英語でArgentina、アルゼンチン人やアルゼンチン語はArgentineです。アルゼンチンは2003年、ドルセ・デ・レチェを公式の文化遺産として宣言しようとしましたが失敗に終わっています。
ドルセ・デ・レチェを使ったスイーツ

ドルセ・デ・レチェは濃厚なミルクキャラメル味のスプレッドとして、そのまま食べたり、お菓子作りに使われたりと便利なスプレッドです。そこで、アルゼンチンではドルセ・デ・レチェがどう食べられているのかみていきます。
そのまま食べるドルセ・デ・レチェ
ドルセ・デ・レチェはジャムのように、パンやトーストに塗って食べる、ヨーグルトやアイスクリームにかけて食べる、クラッカーをディップして食べるなどそのままで食べたり、コーヒーやミルクに溶かすことでキャラメル味の飲み物にしたりして楽しまれています。
3時間以上じっくり煮詰める自家製ドルセ・デ・レチェを作る家庭もあります。
訳)人々は、スプーンを使ってたんに瓶からドルセ・デ・レチェを楽しみます。
訳)ドルセ・デ・レチェは、アイスクリームやヨーグルトにかけても美味しいです。
ドルセ・デ・レチェを使ったお菓子
チーズケーキ、タルト、ケーキやパンケーキの生地にドルセ・デ・レチェを使うことで美味しいバージョンにすることができます。
また、アルファホール(alfajor)というアルゼンチン名物があります。これは2枚のクッキーでドルセ・デ・レチェをたっぷり挟んだものをチョコレートでコーティングしたものです。そして、次がミル・オハッス(mil hojas)、こちらはドルセ・デ・レチェを使ったミルフィーユです。アルゼンチン版のカスタードプリンであるドルセ・デ・レチェが使われたフラン・コン・ドルセ・デ・レチェ(flan con dulce de leche)などなど多くのスイーツにドルセ・デ・レチェが使用されていることが分かります。
各国のドルセ・デ・レチェを紹介
ドルセ・デ・レチェを公式の文化遺産として宣言しようとしましたが失敗に終わったアルゼンチン。そして、多くの他の国でも人気のスプレッドとして食べられています。
そこで、国別にどのようなドルセ・デ・レチェがあるのか紹介しましょう。
ドルセ・デ・レチェ各国バージョン
南アメリカのお菓子として人気のドルセ・デ・レチェですが、各国によって少しづつ違いがあります。
コロンビア/Colombia
伝統的なアルゼンチンバージョンと似ていますがアレキぺ(arequipe)という名前です。
メキシコ/Mexico
カヘタ(cajeta)と呼ばれ、ヤギのミルクで作られています。
プエルトリコ/Puerto Rico
無糖のココナッツミルクから作られます。
ペルー/Peru
マンハル(manjar)と呼ばれ、ドルセ・デ・レチェより明るい色です。
ウルグアイ/Uruguay
砂糖+牛乳だけのシンプルなブレンドです。
ドミニカ/Dominica
シナモンが加えられるのと、牛乳と砂糖を同量にしファッジのような粘度にします。
そして、チリ/Chileでもマンハル(manjar)と呼ばれますが、なんと大麻を混ぜたバターが含まれることもあるようです。国それぞれの独自の食文化がわかり、面白いですね。
日本でも買えるドルセ・デ・レチェ

ドルセ・デ・レチェは、日本でも練乳を使って手作りできるスプレッドです。最後に市販を買えるのか紹介しましょう。
日本で買うドルセ・デ・レチェ
大手オンラインショップで、瓶入りのドルセ・デ・レチェを買うことができます。また、JTB Shoppingページでは、那須千本松牧場という店舗が「ドルセ・デ・レチェ&極みアイス5入」を販売しています。自慢の牛乳から生まれたアイスクリームと同じ素材から出来上がったドルセ・デ・レチェの濃厚キャラメルのような味わいが楽しめるということで6,359円(税込)です。少し高めの価格設定と感じますが、那須千本松牧場は創業1893年という歴史を持ち、こだわりを持って酪農を続けています。アルゼンチンのスイーツが日本で丁寧に作られていると知るととても美味しそうですね。
まとめ
本記事では、ある使用人のミスから生まれたアルゼンチンの国民的スイーツ「ドルセ・デ・レチェ」を紹介しました。情熱的で家族を大切にするアルゼンチン人たちの定番スイーツにも熱い思いが込められていました。アルゼンチンの人々の生活が少し垣間見れたでしょうか?ソルテッドキャラメルが好きな人にはドルセ・デ・レチェもきっと美味しいでしょう!
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