アフリカ中部に位置し、多様性に富む国がカメルーンです。熱帯雨林からサバンナ、山岳地帯があるカメルーンはその自然から豊かな生態系を持つことも大きな特徴です。その特徴を凝縮した動物の保護区が世界遺産に登録されていることをご存知ですか?
この記事では、カメルーンの世界遺産「ジャー動物保護区」を紹介します。アフリカのカメルーンでどのような動物たちが暮らしているのか、そこに住むバカ族とはどんな人々なのか、英語の説明とともにそれらをみていきましょう。
カメルーン「ジャー動物保護区」の基本情報

ジャー動物保護区は、ユネスコ世界遺産の「世界自然遺産」に登録されている保護区です。動物の保護区とは、動物の保護と管理を目的とした特定の地域を指します。この地域では狩猟や開発などが禁止または制限されます。
ジャー動物保護区とは?
カメルーンは英語でRepublic of Cameroon、その南東部に位置する首都ヤウンデ(Yaoundé)の南東約200kmのところに「ジャー動物保護区」があります。ジャー動物保護区ではジャー川(the river Dja)が自然の境界を形成し、90%以上が手付かずの原生林として保たれています。
ジャー動物保護区の特徴とは?
コンゴ盆地の熱帯雨林の一部であるジャー動物保護区では、以下が確認されています。
哺乳類107種
鳥類429種
魚類60種
植物1,200種以上
その上、希少な動物たちが生息しています。
ジャー動物保護区では動植物だけでなく、バカ・ピグミー族という先住民族が住んでいます。彼らは伝統的な生活様式を維持していることから、この地域の文化的多様性を象徴しています。
ここまで、ジャー動物保護区がかなりスペシャルな地域であることが分かりました。国際的に高く評価されていることも納得ですね。
ジャー動物保護区の英語フレーズを紹介
動物保護区には絶滅に瀕した、あるいは今後の絶滅危機のおそれがある野生動物を安全に管理し増殖の育成を図るという目的があり、サンクチュアリ(Sanctuary)とも呼ばれています。Sanctuaryは「聖域・神聖な場所」という意味の名詞です。
では、ジャー動物保護区を英語にするとどのようなフレーズになるのか紹介しましょう。
ジャー動物保護区の英語表現
ジャー動物保護区の英語表現は”Dja Faunal Reserve”になります。Djaはthe river Dja(ジャー川)にも使われ、Faunalは「動物相の」、そして保存や制限のReserveには「保護地」の意味があります。これらを組み合わせてDja Faunal Reserveとなります。
訳)カメルーンのジャー動物保護区は、アフリカ最大かつもっともよく保護された熱帯雨林のひとつです。
訳)ジャー動物保護区には、多種多様な植物や動物が生息しています。
rainforest(熱帯雨林)、a wide array of(多種多様な・幅広い範囲の)といった英語も合わせて覚えましょう。
ジャー動物保護区が世界遺産になった年や理由
世界遺産のなかでも「世界自然遺産」に登録されているのがジャー動物保護区です。ここで、ジャー動物保護区が世界遺産に登録された年や理由をみていきます。
ジャー動物保護区が世界遺産になった年
訳)ジャー動物保護区は、1987年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ジャー動物保護区が世界遺産になった理由
続けて、ジャー動物保護区が世界遺産に登録された理由を紹介しましょう。
訳)ジャー動物保護区の原生林は、その種の多様性と他に類を見ない手付かずの状態において興味深いものだ。
ジャー動物保護区は広大なアフリカ大陸においても、最大級の森林ブロックと考えられています。
訳)ジャー動物保護区は、アフリカでもっとも種の豊富な熱帯雨林です。
ジャー動物保護区には数多くの注目すべき動植物が生息しています。次で、希少な動物たちを紹介しましょう。
引用:UNESCO World Heritage Centre
ジャー動物保護区にいる希少な動物たち

ジャー動物保護区が、多種多様な植物や動物が生息している特別なエリアだということがわかってきました。そこで、次にどんな動物が住んでいるのか具体的に紹介していきましょう。
霊長類たち
霊長類は英語でprimateです。
国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature/IUCN)によって絶滅危惧種に指定されているニシローランドゴリラが生息しています。その他にも、マンドリル・ドリル・チンパンジーやホオジロマンガベイなどがジャー動物保護区で暮らしています。
訳)ニシローランドゴリラは、密猟や病気によって絶滅危惧種のひとつであり、過去20〜25年の間にその数は60%以上減少しました。
例文のとおり、絶滅危惧種の英語はendangered speciesになります。
大型哺乳類たち
大型哺乳類は英語でlarge mammalsです。
この保護区では、森林象のマルミミゾウ、ボンゴ、ヒョウなどが生息しています。
鳥類や爬虫類たち
カメルーン固有種であるベイツハタオリ、アフリカン・グレイ・パロットなどの鳥類、そして絶滅危惧種の森林ワニが2種、ジャー動物保護区にいます。
以上は一部のみの紹介ですが、ジャー動物保護区の90%が手付かずの自然というだけに豊かな生態系が存在していることを感じられますね。
保護区で暮らすバカ・ピグミー族

バカ・ピグミー族とは?
バカ・ピグミー族(バカ族)は、英語でBaka Pygmiesと表現します。森と深く結びつき、狩猟を中心とした伝統的な生活様式を持つ先住民族です。カメルーン全体ではバカ族は約62,000人と推定されており、ジャー動物保護区内には数百人〜数千人という小規模な集団が暮らしています。バカ族に人々はBaka peopleと呼ばれますので、日本人にとってはある意味覚えやすい名称です。
AさんBoth women and men hunt every day. Baka are obliged by laws – originally designed to protect the forest – to hunt using only their traditional nets and spears.
訳)男女とも、毎日狩りをしています。バカ族は、もともと森林保護のために制定された法律により、伝統的な網と槍のみを使って狩りをすることが義務付けられています。引用:The Guardian
ジャー動物保護区へのアクセスと現地ツアー
日本〜カメルーンの直行便はありません。最後に、最短で25時間ほどかかるジャー動物保護区へのアクセスそして現地ツアーを紹介します。
日本~ジャー動物保護区のアクセス
まず、カメルーンの首都ヤウンデまでは、アジアや中東、またはアフリカの各都市を経由します。ヤウンデまでは乗り継ぎが3回、移動時間の合計時間は25時間以上見る必要があります。
ヤウンデからジャー動物保護区の玄関口であるロミエ(Lomie)までは、約360kmです。陸路で移動するとこの所要時間は約7時間です。
ジャー動物保護区ツアー
自然と人々の共生を学ぶ絶好のチャンスとなるジャー動物保護区ですが、現地でいくつかのツアーがあります。
例えば、バカ族との文化交流ツアー(7日間)や野生動物視察とバカ族文化体験ツアー(1週間)です。
訳)この1週間のツアーは、有名なジャー動物保護区に「アクセスしやすい近さ」をもたらすために企画されました。
まとめ
本記事では、カメルーンの世界遺産「ジャー動物保護区/Dja Faunal Reserve」を紹介しました。もしこの素晴らしい場所を訪れる際には、乾季の12月~3月が体験や移動に適しています。計画する際には、マラリア予防薬の服用や予防接種の確認が必要となります。
世界は広いことを改めて感じ、このような動植物たちが今後も存続することを願いたいですね。
