ナイル川流域で栄え、古代エジプト文明の人々が信仰した神々の物語がエジプト神話です。エジプト神話では、1,500とも2,000以上もの神々がいるとされます。このなかで、中心的な最高神と言われる神がおり、その1柱がオシリスです。皆さんはオシリスがどのような神かご存知ですか?
この記事では、エジプト神話における冥界の王「オシリス」を解説します。死と再生の神オシリスがどのような神なのか、役割やルックスなどを英語とともに紹介しましょう。
神話に登場する「オシリス」ってどんな神?
さっそく、エジプト神話に登場する重要な神オシリスについて、どのような神なのかみていきます。
エジプト神話の死と再生の神「オシリス」
エジプト神話の神オシリスは、死と再生の神です。また、エジプト神話では、死者の審判を行なうオシリスの前で、死者は審判を受けるため、オシリスは死者の審判を司どる存在である「冥界の王」としても知られています。冥界とは、冥途(めいど)であったり、あの世と呼ばれる死後に行くとされている世界を指します。
もともとオシリスは植物の再生を司どる神でした。ナイル川の氾濫による土地の肥沃化と植物の成長がオシリスの死と復活の神話と重ねられたことから、農耕社会であるエジプトで重要な存在と変化していきました。
このことから、オシリスが「冥界の王」として、死者の審判を司どる存在として重要な存在になっていったのです。
まずは、オシリスが死と再生の神であり、冥界の王と呼ばれる神であることを押さえましょう。
死と再生の神「オシリス」の英語表現
では、ここからはオシリスを英語でどう表現するのか、またオシリスを説明する英文を紹介します。
”Osiris”を英語で説明
オシリスは英語にすると”Osiris”になります。”Osiris”を使った基本的な例文をみてみましょう。
訳)オシリスはエジプト神話において、死、復活、来世の神でした。
死と再生の神をthe god of death, resurrection, and the afterlifeで表現しています。また、エジプト神話はEgyptian mythologyであり、例えばギリシャ神話であればGreek mythologyになります。
「オシリス」をさらに英語で表現
オシリスは、エジプトの神々のなかでの最高神です。オシリスについて、特徴などをさらに英語でみてみましょう。
”Osiris”について英語でさらに説明
訳)ナイル川が毎年洪水を起こし、陸地に栄養分に富んだ沈泥が堆積する現象は、オシリスの再生力の現れだと考えられていました。
訳)オシリスは死者の審判を司どり、死者が来世に入るにふさわしいかどうかを確認しました。
神話におけるオシリスの物語
オシリスには、魔法と治癒の女神イシス(Isis)という妻、イシスとの間にホルス(Horus)という息子がいます。ホルスは天空と王権の神です。さらに、弟のセト(Set)はオシリスを殺害した混沌と破壊および砂漠と嵐の神です。このように、オシリスには数々の神たちが物語に関係しています。
オシリス物語のおもな登場人物とどろどろストーリー
- オシリスの妻イシス(Isis)
- オシリスの息子ホルス(Horus)
- オシリスの弟セト(Seth)
セトは兄オシリスを殺害し、王位を奪います。セトに殺されたオシリスの遺体はバラバラにされ、ナイル川に投げ込まれてしまいました。そこで、イシスは妹や他の神々の助けを得てそれらを集めます。そして魔法の力でオシリスを復活させたのです。
オシリスの復活によって、イシスは息子をみごもります。この息子が成長し、セトと戦って仇を討ち、王位を継承しました。
訳)オシリスの兄弟のセトは、オシリスに対して激しい嫉妬を抱いていたため彼を殺害し、その体を切り刻んでエジプト中にばら撒きました。
訳)イシスはネフティスとともに国中を歩き回り、夫の遺体の破片を集め、再び組み立て、麻の布でつなぎ合わせました。
訳)イシスは彼の体に命の息を吹き込み、彼を復活させました。2人は再び一緒になり、その後まもなく、イシスは魔法で子供を宿しました。それがホルスです。
オシリスと家族によるどろどろとしたストーリー、そして女性の強さを感じる物語ですね。この物語は、死後の世界への希望や再生の象徴として、現代人にも影響を与えています。
引用:Rosicrucian Egyptian Museum
オシリスの司どる死者の審判
さて、オシリスには死者の審判を司どる役目がありました。ここでは、その点についてさらに紹介しましょう。
オシリスの死者に対するジャッジメント「心臓の計量」
オシリスによる審判は「心臓の計量/the weighing of the heart」と呼ばれていました。死者は冥界ドゥアトに着くと、オシリスの前で審判を受けるのですが、死者の心臓が真理と正義の女神マアトを象徴する羽根と天秤にかけられ比較されるのです。
心臓が羽根と釣り合うかそれより軽ければ、死者は潔白とされて楽園アアルへの道が開かれます。しかし心臓のほうが重ければ、アメミトという怪物に心臓を食べられ、魂は永遠に滅びるとされていたのです。
ここで、the weighing of the heartの部分を英語でみてみましょう。
訳)心臓が羽根より重いことが判明した場合、それは「貪り食う者」アメミトに与えられ、魂は闇に投げ込まれました。
これを知ると、自分の心臓は羽根より軽いのか、重いのか、一瞬考えてしまいますね。
オシリスのルックスは?
男性神であるオシリスは、いったいどのような姿をしていたのでしょうか?ここでは、彼のルックスについて、英語表現とともに紹介します。
緑の肌を持つオシリス
オシリスがそもそも植物の再生を司どる神だったことは述べました。そこからも分かるとおり、彼の肌は緑色をしています。これは、再生や豊穣を表しています。黒色で描かれることもありますが、この場合、黒はナイル川の肥沃な土壌を象徴しています。
オシリスは上エジプトの王冠の両側にダチョウの羽を加えた冠、そして手には王権の象徴の曲がり杖とフレイルを持っています。そして、下半身はミイラのように包帯で巻かれていますが、これは死と再生、永遠の命を象徴しています。
訳)実際、エジプトの豊穣、死、来世の神であるオシリスは、緑色の肌をしている姿で描かれることが多い。
引用:UCL blogs
まとめ
本記事では、エジプト神話の最高神である死と再生の神「オシリス/Osiris」を紹介しました。妻イシス、息子ホルス、弟セトなどの家族とのストーリーも大変興味深いものがありました。
神話はこれといった作者がいるのではなく、自然現象や倫理的な原理を象徴的に表したものと言われています。閻魔様は嘘をついた者の舌を引っこ抜くことで知られていますし、オシリスの「心臓の計量/the weighing of the heart」もその最たる者でしょう。神話の面白さを感じていただけたでしょうか?
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