ホラーやファンタジーに登場する妖怪ヴァンパイア。かなり強烈なキャラクターを持ち、恐ろしい怪物として、ときにはロマンチックな存在として描かれる有名な妖怪です。では、ヴァンパイアの時代背景や象徴するものなどをご存知ですか?
この記事では、東ヨーロッパに伝わる妖怪「ヴァンパイア」を解説し、英語表現とともにみていきます。ヴァンパイアとドラキュラの違い、ヴァンパイア伝説やモデルとなったお城など幅広く紹介しましょう。
妖怪ヴァンパイアが血を吸うときの英語
日本語では吸血鬼(きゅうけつき)と呼ばれるのが「ヴァンパイア」です。ヴァンパイアの特徴と言えば、やはり鋭い犬歯で人間の血を吸う行為でしょう。それぞれを英語表現とともに説明していきましょう。
妖怪ヴァンパイアの英語
ヴァンパイアの英語は”Vampire”です。名詞ですので、a vampire/the vampireもしくはvampiresとして使用します。
訳)ヴァンパイアは、神話上の生き物です。
訳)ヴァンパイアの信仰や物語は、ヨーロッパ全土、特に東欧や南欧の様々な文化に存在していました。
「血を吸う」妖怪ヴァンパイアの英語
ヴァンパイアは、生者の血を吸って生命力を得る妖怪・吸血鬼です。このため、血を吸うための鋭い犬歯を持っています。映画では、黒の燕尾服にマントを羽織っているイメージがありますね。
訳)吸血鬼のおもな特徴は人間の血を飲むことであり、多くの場合、牙を使って皮膚に穴をあけ、その穴から血を吸います。
この例文をいくつかのフレーズに分けてみましょう。
吸血鬼に吸われる人間の血は”human blood”、牙・犬歯を”fangs”、そして血を吸う行為を”suck blood”を押さえるとこの英文を理解しやすくなります。
多くの人が映画や書籍など何かしらでヴァンパイアを観ているとして、ヴァンパイアのもっとも特徴的な血を吸うという行為を英語でも分かるようになれば勉強も楽しくなるでしょう。
ヴァンパイアの時代背景と特徴
さて、ヴァンパイアはどの地域で伝承され、どのような特徴を持っていたのでしょうか?
ヴァンパイアの伝承地
ヨーロッパでも特に東ヨーロッパがヴァンパイアの伝承地と言われています。さらに地域を絞ると、ルーマニアのトランシルヴァニア地方やバルカン半島で多く見られました。
こういった地域では、死者が墓から蘇り、生者の血を吸うという信仰が存在していました。ヴァンパイアは決して1人ではなく、死者の数だけいるとなるとこれは恐ろしい話です。
ヴァンパイアの特徴
血を吸うヴァンパイアは、不老不死、権力、人間の本質のシンボルと言われています。不老不死では血を吸うことで死なないこと、人間の欲望や暗黒面を具現化した存在とされます。
その他の特徴として、夜間に活動したり、コウモリや霧に変身する、鏡に姿が映らないなどがあります。これらは、時代または地域によって異なる場合があります。
訳)ヴァンパイアは昼間は眠っていて、起きることはできません。
吸血鬼が眠りから覚め、血塗られた棺桶からムクムクと起き上がる様子をイメージできますね。
訳)多くのヴァンパイアの物語では、ヴァンパイアはコウモリや狼などの動物、あるいは霧にさえ変身することができます。
ヴァンパイアの外見は、時代とともに変化します。例えば、初期の伝承では腐敗しない死体だったものが、小説「ドラキュラ」が19世紀に書かれた以降は洗練された貴族的な姿で描かれるようになりました。ドラキュラについては、後ほど取り上げます。
ヴァンパイアパニックとは?
18世紀、東ヨーロッパで「吸血鬼パニック」と呼ばれる現象が起こりました。ここでは、この吸血鬼パニックがどのようなものか紹介しましょう。
吸血鬼パニックとは?
古代から存在していたヴァンパイアの伝承ですが、広く信じられるようになったのは18世紀に東ヨーロッパで起こった「吸血鬼パニック」という現象によります。
この頃、疫病や予期しない死が頻発していたため、その原因を超自然的なものに求める傾向がありました。そこで、原因として考えられたのが、ヴァンパイア。人々は、ヴァンパイアは死者が墓から蘇ったと考えていました。それがパニックになる原因だったのです。
訳)吸血鬼パニックとは何ですか?
訳)吸血鬼パニックとは、18世紀後半から19世紀初頭にかけての歴史的時代を指します。人々は、特に結核などの病気で亡くなった者が、生きている者の血を吸うために戻ってくると信じていました。
吸血鬼パニックへの対策
吸血鬼の存在を信じた人々は恐れ、以下のような対策を講じました。
まず、死者の遺体を確認するために墓を掘り起こしました。そして、遺体の心臓に木の杭を打ち込んで、吸血鬼化を防ごうとしたり、完全に消滅させるために遺体を焼却したり、自分たちの身を守るために、広く地域社会でこれらが真剣に行なわれてたのです。
訳)死んだ「吸血鬼」が地元住民を襲うことと病気の蔓延を防ぐために、死体は掘り起こされ、内臓が儀式的に焼却されました。
ちなみに、サミーより2004年6月に発売されたアクションアドベンチャーゲームに「ヴァンパイアパニック」があります。
ヴァンパイアとドラキュアの違い
さて、ヴァンパイアという言い方の他に、ドラキュアがあります。どちらも人間の血を吸って生きるとされる不死の存在です。ここでは、2つの違いを解説します。
ヴァンパイア vs ドラキュア
ドラキュラはドラキュラ伯爵とも呼ばれることがありますが、英語にすると”Count Dracula”です。簡単に違いを紹介すると、ヴァンパイアは吸血鬼であり生き物の血を吸う妖怪です。一方、ドラキュラはアイルランドの作家ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」に登場する架空の人物(吸血鬼)です。
ヴァンパイアが嫌うものを紹介
ヴァンパイアにも実は苦手なものがあります。だからこそ物語が面白くなりますね。
ヴァンパイアが苦手なものとは?
ヴァンパイアの苦手とするものは一つではありません。十字架、ニンニク、光、聖水などが一般的に言われている嫌いなものです。
訳)なぜ、吸血鬼はニンニクが嫌いなのですか?
訳)にんにくは、悪霊から身を守る象徴として使われたと信じられているからです。
ヴァンパイアに会える?ブラン城
最後に、思い出に残るヨーロッパの旅のおすすめを紹介しましょう。それが、ヴァンパイアが住んでいたと言われるルーマニアのあるお城を訪れるプランです。
ルーマニアのブラン城
ルーマニアにトランシルヴァニア地方という場所があり、そこにブラン城というお城があります。英語でブラン城は”Bran Castle”です。山の上にそびえ立つこのお城が特別なのは、ヴァンパイアの居城として有名だからです。「吸血鬼ドラキュラ」のモデルにもなりました。
ぜひ、以下のBran Castleのサイトをご覧ください。動画を見ることもできます。
ヨーロッパでどこに行こうか計画するときに、美しい村、お城、そして「吸血鬼ドラキュラ」のモデルになったブラン城は面白い旅になるのではないでしょうか?
まとめ
本記事では、東ヨーロッパに伝わる妖怪「ヴァンパイア/vampire」を紹介しました。ドラキュラ伯爵としても馴染みのある吸血鬼について、血を吸う表現や吸血鬼パニックが当時どのようなものであったのか、なぜニンニクを嫌うのかなど幅広くお届けしました。トランシルヴァニア地方のブラン城もいつか訪れてみたいですね。