英語を勉強していると、必ず出会うのが「比較表現」です。
たとえば、”as ~ as”(~と同じくらい)、”more ~ than”(~よりも)などは、教科書でもおなじみですね。
比較表現も、少しレベルアップした英語では単純な比較だけでなく、「構文」全体で比較を表すパターンがよく使われます。
こうした構文には、意味を取り違えやすいものや、文章全体のニュアンスを大きく左右するものも多いです。
特に英検準1級レベル以上や、英作文・スピーキング対策では、これらの比較構文を使いこなせるかが差をつけるポイントになります。
この記事では、学習者の皆さんがつまずきやすい比較構文を中心に、例文つきでわかりやすく解説していきます。
not as ~ as …
“not as ~ as …”は、「…ほど~でない」という意味を表す比較構文です。
2つのものや人を比較して、前者の方が控えめなことを伝えたいときによく使われます。
比較の慣用表現の中でも基本的な表現なので、しっかりマスターしておきたいですね。
【例文】
- This movie is not as interesting as that one.
この映画はあの映画ほど面白くない。
times + as ~ as …
“times + as ~ as …”は、「…の何倍も~」という意味を表す構文です。
高校英語の比較表現で習うポイントですね。
“times”(~倍)という単語が入ることで、単純な比較ではなく、数や程度の差を強く表す表現になります。
【例文】
- This bag is three times as expensive as that one.
このバッグはあのバッグの3倍も高い
not so much A as B
“not so much A as B”は、「AというよりむしろB」という意味で使われます。
Aを否定し、Bを強調することで、話し手の意図をより強調して伝えるニュアンスです。
【例文】
- It is not so much a hobby as a passion.
それは趣味というよりむしろ情熱だ。
the + 比較級, the + 比較級
“the + 比較級, the + 比較級”は、「~すればするほど、ますます…」という意味を持つ構文です。
前半の条件が強まると、後半の結果も強まる、という相関関係を示します。
【例文】
- The earlier you start, the better your results will be.
早く始めれば始めるほど、結果は良くなる
比較級 and 比較級
「比較級 and 比較級」は、「どんどん~、ますます~」という意味を表します。
同じ比較級をandを使って繰り返すことで、ある状態が次第に強まっていくことを表現します。
【例文】
- It is getting colder and colder.
どんどん寒くなってきている
no more than ~
“no more than ~”は、「たった~しかない」という意味で使われます。
意味の日本語からわかる通り、数量の少なさを強調するときによく使われます。
【例文】
- He has no more than five dollars.
彼はたった5ドルしか持っていない
not more than ~
“not more than ~”は、「多くても~」という意味で、数量の上限を示します。
上述の”no more than ~”と混同しないよう注意して覚え分けたいですね。
【例文】
- There were not more than ten people at the party.
パーティーには多くても10人しかいなかった
(all) the + 比較級 + for ~
“(all) the + 比較級 + for ~”は、「~だからこそ一層~」という意味を持つ構文です。
理由を示すforと組み合わせて、「~という理由で、さらに比較級が強まる」というニュアンスを表現します。
“(all) the + 比較級 + for ~”の構文は、特にスピーチやエッセイで、理由を添えながら強調したいときに使われる表現です。
【例文】
- He is all the more respected for his honesty.
彼は正直さゆえに一層尊敬されている。
no less than ~
“no less than ~”は、「~も(たくさん)」という意味で、数の多さに驚きを込めて表現するときに使います。
上述したno more than ~”(たった~しかない)の対義語として、セットで覚えておきたいですね。
【例文】
- He spent no less than one million yen.
彼はなんと100万円も使った。
not less than ~
“not less than ~”は、「少なくとも~」という意味を表し、最低限の数を強調したいときに使われます。
こちらも上述の”not more than ~”(多くても~)の対義語として、セットで覚えておきたいですね。
【例文】
- There were not less than fifty students in the hall.
ホールには少なくとも50人の生徒がいた。
much more~ / much less~
“much more~ / much less~”は、比較をさらに強調したいときに使う表現です。
“much more”は「ずっと~」、”much less”は「ましてや~ない」というニュアンスになります。
【例文】
- This task is much more difficult than I expected.
この課題は予想以上にずっと難しかった。 - He cannot speak French, much less German.
彼はフランス語も話せないし、ましてやドイツ語などなおさらだ。
A is no more B than C is D
“A is no more B than C is D”は、「CがDでないのと同じようにAもBではない」という意味の構文です。
大学受験の英文法書でもよく出てくる表現ですね。
この構文は、“no more”を使って、両者の否定を強調するのが特徴です。AもBでない、という事実をCとDの関係に例えて説明しています。
【例文】
- He is no more a poet than I am a singer.
私が歌手でないのと同じように、彼も詩人ではない
A is not B any more than C is D
“A is not B any more than C is D”も、「CがDでないようにAもBではない」という意味を表す構文です。
“no more”を使うパターンとは文章の構造が異なり、”not any more than”で細やかに否定を表します。
実際の意味はそんなに変わらないので、しっかり文脈を読むことが大切です。
【例文】
- A cat is not a dog any more than a fish is a bird.
猫が犬でないのと同じように、魚も鳥ではない。
大学受験英語の文法書で有名な「魚と鳥の例文」ですね。
まとめ
この記事では、比較構文の中でも、構文や慣用句的に使われる表現を取り上げ、以下の点からお伝えしました。
- A is no more B than C is D(CがDでないのと同じようにAもBではない)
- A is not B any more than C is D(CがDでないようにAもBではない)
- (all) the + 比較級 + for ~(~だからこそ一層~)
- not as ~ as …(…ほど~ではない)
- times + as ~ as …(…の何倍も~)
- not so much A as B(AというよりB)
- the + 比較級, the + 比較級(~すればするほど、ますます…)
- 比較級 and 比較級(どんどん~、ますます~)
- no more than ~(たった~しかない)
- not more than ~(多くても~)
- no less than ~(~も〈たくさん〉)
- not less than ~(少なくとも~)
- much more~ / much less~(ずっと~/ましてや~ない)
これらの比較構文は、単なる単語の比較だけでは伝えきれないニュアンスや強調を表現するために非常に役立ちます。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語の表現力をより豊かにできれば幸いです。
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