近年、大学入試で英検のCSEスコアを活用する大学が増え、英検を受験する人の数はますます増えてきています。学生から社会人まで、英検を受験する人の数は増加しており、日本英語検定協会の公式サイトによれば、2023年度実施分志願者数は合計で約450万人でした。そんな英検の最上位級である1級の合格率はどれぐらいなのか、どれぐらい難しい試験なのかが気になるところですね。
この記事では、英検1級の合格率はどれぐらいなのか、英検1級の合格点、レベルとすごさについて解説します。近年の出題傾向にも触れていますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
英検1級の合格率
英検1級の合格率は、2016年度以降は公表されていませんが、2016年度第1回の高校生受験者の英検1級の合格率は、下記の通りでした。
- 一次試験合格率: 44.0%
- 二次試験合格率: 66.2%
- 受験者数: 1,160人
2016年度は、英検がリニューアルされ、英語4技能(読む、聞く、書く、話す)を重視した合否判定が本格化された年でしたが、前年度同回次より大幅に合格率が伸びました。
2016年度第1回の高校生の英検1級合格率はかなり高いですね。2016年度第1回高校生の受験者数は1,160⼈で一次試験の合格率が44.0%なので、一次試験の合格者数は510人。そのうち二次試験に合格したのは66.2%の338人だとすると、当初の高校生受験者数の29.1%が1級に合格したことになります。つまり、2016年度第1回の高校生受験者の英検1級合格率は3割弱でした。
英検1級すべての受験者の合格率については不明ですが、高校生受験者の合格率よりは低いと考えられます。
参照サイト:⾼校⽣ 1級・準1級・2級の受験者数、および合格率 昨年度同回次より⼤幅アップ!!
英検1級の合格点
英検1級の合格点は、各セクションの正答数をもとに英検のCSEスコアが算出され、合格基準スコアに達していれば合格と判定されます。
CSEスコアとは、CEFRに対応したユニバーサルなスコア尺度「CSE (Common Scale for English) 」を英検の各級で表記したものです。CEFRはA1〜C2表記ですが、CSEはさらにそれを細分化して数値で表記します。英検1級の場合、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能で各技能のCSEスコアの満点は850で、CSEスコア全体の満点は3,400です。
英検1級は、CSEスコアが「2630」で合格になります。2630の内訳は、一次試験はリーディング・ライティング・リスニングの3技能のスコアを合算して2028、二次試験は602です。全体のおよそ7割程度のスコアを取得すると合格できます。厳密に言えば、2630÷3400=0.7735なので、7割強のスコアであれば、合格になるということですね。
英検1級のレベルとすごさ
英検1級のレベルは「大学上級程度」とされており、これは日常英会話だけでなく、社会生活で求められる英語を理解し使用できるレベルです。
大学上級程度の英語力
英検1級に合格したら、ネイティブと同じレベルで英語を使いこなせるかと言うと、それは個人差があるでしょう。しかし、英検1級は、一次試験で難解なボキャブラリーや長文読解、アカデミックなライティング、リスニングをこなし、二次試験でディベートやディカッションをこなさないと合格できないので、日常生活をはるかに超えて英語を使いこなせる、大学上級程度のレベルだと言えます。
4技能のバランスがとれている
TOEICや技術英検など他にも英語検定はありますが、英検1級は4技能のバランスがとれていないと、合格できない試験です。TOEICの場合、TOEIC (L&R)で測定できるのは、リスニングとリーディングのみです。技術英検1級も、英作文などはかなり難しいですが、測定できるのは、リーディングとライティングのみです。ちなみに、技術英検1級では「合格点は各設問につき7割以上」と明記されています。
筆者は、英検1級に2回目の受験で合格した後、技術英検1級を受験して一発合格しましたが、英検1級の方が難しかったことを痛感しました。
近年の出題傾向
2024年度から英検が新形式になり、ライティングで従来の意見陳述問題に要約問題が追加されました。これに伴い、リーディングの他のパートの問題数が減りましたが、新たに追加された要約問題が難しいと感じておられる方もいるでしょう。
英検上位級の要約問題の攻略法については、書籍も出ていますので、こちらも参考にしていただきたいです。
英検合格のための要約問題 予想問題集 英検1級、準1級、2級対応
2016年度のリニューアルほどではないとはいえ、2024年度の新形式導入で、合格率にも変化が起きていることが予想されますが、合格点のCSEスコアは相変わらず「2630」のままでしょう。
これから英検1級合格を目指す方へ
大学入試で英検のCSEスコアを活用する大学が増えているので、高校生などで英検1級合格を目指される方の数は、今後も増えていくでしょう。先ほども述べた通り、英検1級は、大学上級程度の英語力なので、高校生で英検1級に合格するのはかなり大変で、高校生で1級に挑戦するためには小学生の頃から英語学習を進めていく必要があります。
2024年度から形式が変わり、新たに追加になったライティング要約問題に対応していくのは大変ですが、2025年4月末現在、ライティング要約問題の過去問3回分がウェブサイト上に掲載されています。
英検は1963年から行われてきましたが、2000年以前と比べて、英検に関するさまざまな情報がインターネット上で得られ、合格するための工夫をこらした勉強法も練られています。そういった情報や勉強法を採り入れて、英検1級合格を目指していただきたいです。出題傾向が変わると、勉強法も少しずつ変えていく必要があります。
英検5級から1級まで1回ずつの受験でストレートに合格するのは大変ですが、1回や2回不合格になっても、あきらめずに合格目指して挑戦していくことが大事です。大学受験前にどうしても英検準1級や1級に合格したいと、何度も挑戦しておられる高校生を見かけますが、3回以上不合格になったら、自分の弱点や勉強方法を見直してみる必要があります。
ライティング要約問題が不得意な人もいれば、リスニングが不得意な人もいるので、「何が足りない」と一言で言うのは難しいですが、全体的に点数を底上げする必要があります。個人的には、英語でニュースを聞いて理解できるようになってから準1級や1級に合格したので、準1級以上の合格を目指している方は、英語でニュースも聞いたり、時事問題について英語で話したりするのも効果的だと思います。
ニュース英語の学習やリスニング力アップには、こちらがおすすめです。
Kiminiオンライン英会話のニューストーク
まとめ
いかがでしたでしょうか。「英検1級の合格率はどれぐらい?」というテーマで、合格率に加えて、合格点や英検1級のレベルとすごさ、近年の出題傾向についても解説しました。
ライティング要約問題の予想問題集も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
これから1級合格を目指す方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。