「英検の面接って、結局は英会話ができればいいんでしょ?」
そんな風に思っていませんか?
実はそれが、準1級の面接でつまずいてしまう一番の落とし穴です。
英検準1級の二次試験(面接)は、単なる”英会話力”を見るテストではありません。
一次試験で一定の語彙力や読解力を証明したうえで、今度は「論理的に自分の意見を英語で述べる力」が問われます。
英検準1級は大人にとってもレベルが高い試験なので、お子さんが英検準1級にチャレンジすることは大変意欲的で素晴らしいことです。
保護者の皆さまにとっても、こうした特徴を理解したうえでサポートしていくことが、合格への第一歩です。
この記事では、保護者の皆さまが「準1級の面接ってこういうものなんだ!」と理解し、お子さんと一緒に効果的な対策ができるように、具体的なアドバイスをお届けしていきます。
英検準1級二次試験の大まかな流れ
まずは英検準1級二次試験の大まかな流れを見ていきましょう。
- 試験時間:約8分(入室から退室まで)
- 形式:面接官との1対1の英語面接
- 出題内容:問題カードのナレーション → 問題カードに関する意見を述べる問題(4問)
- 評価観点:応答内容、発音、語彙、文法、態度など
入室してから着席し、面接カード(受験票みたいなものですね)を面接官に渡してから、名前や受験する級の確認、そしてちょっとした自己紹介を英語で行ってから面接試験に入ります。
面接官から問題カード(英語で書かれた4コマのイラスト)を渡され、問題カードを1分間読んでから、2分以内で問題カードの内容を要約して話します。
その後、問題カードを伏せて、問題カードに関する内容の質問を1問、問題カードとは関係のない質問を3問答えて試験は終了。
問題カードを面接官に返して退出する……というのが大まかな流れです。
英検公式ホームページにある「英検バーチャル二次試験」を活用すると、よりイメージがつきやすいので見ておくのをおすすめします。
英検準1級の二次試験は、一次試験後からの対策で間に合う!
英検の特性として、一次試験に合格してから二次試験までの期間が約1か月あるため、その間に集中して準備することが可能です。
英検準1級の二次試験の合格率は80%程度だと言われているため(※)、一次試験後の期間を使って集中して練習していけば、しっかり合格が見込めるというわけですね。
(※英検の合格率が開示されていた2015年までの数字を参考にしています。当時から大きく変わっていないことが予想されます。)
効率的な対策の鍵は以下の通りです。
過去問を使って質問パターンに慣れる
試験本番でどんなことが聞かれるかを知っておくことで、冷静に的確な英語を使って返答できるようになります。
模範解答を分析し、自分なりの型を作る
英検準1級の面接試験では、「どんな質問に、どんな風に考え、どんな風に回答するか」を自分なりに決めておくことで、面接官が頷(うなず)く英語の回答ができるようになります。
「こんな風に答えれば良いんだな」というパターンを知っておくことで、大きな自信になります。
家で音読しながら練習する
面接試験の練習は、音読することで大きく自信をつけることができます。
問題文や模範解答を黙読しているだけではわからない、「発音しながら考える感覚」を音読することで養えるわけですね。
英検準1級の二次試験によく出る質問と使える表現集
英検準1級で役に立つ&使われやすい英語のフレーズをご紹介します。
使いやすい表現と一緒に覚えておくと便利です。
パッセージの内容理解に関する質問
“What would you be thinking……?”
→ “I would be thinking …”
質問カードの内容から、「(あなたが登場人物の立場だったら)、どう考えますか?」という質問のパターンです。
実際に、英検公式ホームページにある「英検バーチャル二次試験」にもこの言い方は出ていますね。
自身の意見を問う質問
“Do you think … ?”
→ “Yes, I do. Because …”
→ “No, I don’t think so. The reason is …”
「あなたはどう思いますか?」系の質問ですね。
YesやNoなど、明確に自分の立場を表明し、”because”や”the reason is……”などを使って、理由を2文や3文程度で説明するのが良いでしょう。
一般的な意見を問う質問
“What do you think about … ?”
→ “I think … because …”
→”Many people may think that …”
「~についてあなたはどう思いますか?」系の質問です。
「私はこう思います」を表す”I think … because …”や、一般論を表す”Many people may think that …”(多くの人はこう考えるだろう)といったフレーズを覚えておくと役に立ちます。
面接で落ちる主な原因とは?
「英検準1級の二次試験の合格率は80%程度だと言われている」と前述しましたね。
つまり、一次試験に通った人でも10人に2人は二次試験で不合格になってしまうということ。
英検の面接で不合格になる受験者には、子供と大人を問わずいくつかの共通点があります。
NG1:英会話と混同してしまう
「うちの子は英会話が得意だから、面接試験くらい大丈夫でしょー!」と考えて送り出す保護者もいらっしゃるかと思いますが、実は「英会話」というキーワードが落とし穴。
英会話教室をイメージして行くと、大きなギャップに驚くことになります。
英検準1級の面接は、名前の通り「面接」であり、「自由な英会話」ではないわけですね。
NG2:問いに答えていない
緊張して内容がズレてしまう受験者も多いです。
例えば以下のようなシチュエーションです。
面接官「最近では、Tシャツやジーンズのようなカジュアルな服装での出社を認める会社も増えています。こうした会社が今後増えると思いますか?」
受験者「これからはジーンズの生産量はどんどん増えると思います。」
英検HP「ライティングテスト(英作文)の採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)」を基に作文
以上に示した例文では、「カジュアルな服を認める”会社”が増えるか」を聞いているのに対し、「ジーンズの生産量」が増えると回答しています。
求められたトピックに正確に回答できていないということですね。これでは大きな減点になってしまいます。
例文は「英作文(ライティング)」の注意点から挙げましたが、面接試験でも同じく注意が必要です。
NG3:意見が曖昧
自信のなさから “maybe” や “I don’t know” で済ませてしまうと、評価は下がります。
”Yes”や”No”、”I think ……”といった形で、ハッキリとした立場から、自分の意見を理由をつけて回答することが大切です。
家庭でできるサポート方法
保護者が英語に自信がなくても、以下のような方法でお子さんの面接対策を十分にサポートできます。
質問文を読み上げてあげる
模擬面接のような形式で練習するだけでも、効果は抜群です。
受験するお子さんが一人で行うよりも、より臨場感(りんじょうかん)を持って取り組むことができるからです。
自分が読み上げることなく、第三者から質問を提示される感覚で臨(のぞ)むことが大事です。
模範解答を一緒に音読する
自然な英文のリズムや構文を覚えることができ、発音やイントネーションを掴みやすくなります。
お子さん一人ではなく保護者も一緒に音読に参加することで、「英語を学ぶことが特別ではない」という空気が生まれ、お子さんにとっても心理的ハードルが下がります。
子どもの話に耳を傾ける
「どう思う?」と聞いて意見を促す日常会話をするだけでも、自分の意見を言葉にする英検の面接試験に向けた準備になります。
「思考回路を養う」ことが大切です。
まとめ
この記事では、英検準1級の面接試験について以下の点からお伝えしました。
- 英検準1級の面接は「英会話」ではなく「自分の意見を英語で伝えること」が求められる
- 一次試験合格後の1か月間で集中対策すれば十分に間に合う
- よく出る質問と回答のパターンを押さえ、繰り返し練習する
- 「英会話力」ではなく「質問に対して的確に答える力」を鍛えることが大切
- 保護者が一緒に練習することで、子どもの安心感とモチベーションが上がる
- 家庭での日常的な問いかけや音読が、大きな力になる
英検準1級の面接は、「論理的な応答力」を測る試験です。
保護者からお子さんに対して、自由な英会話ではなく 「相手の求める形で、意見を述べる力」を育てることを意識してもらうのが大切です。
この記事でお伝えした内容が、お子さんの英語力向上に役立てられれば幸いです。