スペイン・バルセロナを代表する観光スポット、サグラダ・ファミリア(Sagrada Família)。まだ完成していないにもかかわらず、その壮大でユニークな外観は、世界中の人々を魅了しています。建築が始まったのは1882年、なんと100年以上も建設が続いているのです。
今回はこのサグラダ・ファミリアをはじめ、スペインの建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudí)による7つの世界遺産の魅力を、英語のフレーズとともにご紹介します。
建築家・アントニ・ガウディとは?
アントニ・ガウディの生涯や建築の特徴について見ていきます。
ガウディの生涯
アントニ・ガウディは1852年、スペイン・カタルーニャ地方のレウスに生まれました。病弱だった幼少期、他の子どもと遊ぶ代わりに自然を観察して過ごし、それが後の作品に大きな影響を与えます。
彼は「自然は私の師である(Nature is my master)」と語り、建築に自然界の曲線や形を多く取り入れました。
1878年に建築家としてデビューし、1883年からはライフワークとなるサグラダ・ファミリアに携わります。1926年、不慮の事故によりこの世を去りましたが、彼の作品は今も多くの人々にインスピレーションを与え続けています。
ガウディ建築の特徴
ガウディの作品は、「彼は天才か、狂人か?」と言われたほど独創的です。
特徴的なのは、曲線を多用し、自然から着想を得たデザインです。建物の中に動物の骨、植物の葉、海の波などを連想させる形が見られます。素材にはタイルや鉄、ガラスを取り入れ、カラフルで遊び心あふれる建築を実現しました。
パトロン・グエル伯爵の存在
ガウディの才能を最初に見出したのが、実業家エウセビ・グエル(Eusebi Güell)でした。彼はガウディの最初の作品を見て大きく感銘を受け、以後40年以上にわたりパトロンとしてガウディを支援します。
この友情と支援が、多くの名作誕生の鍵となりました。
バルセロナってどんなところ?
バルセロナはスペイン北東部、地中海沿いの港町で、歴史と芸術、そして美食が楽しめる魅力的な都市です。ピカソ美術館や、海の幸が豊富なタパスバー、そしてガウディ建築の数々が訪れる人々を魅了します。
覚えておきたい英語フレーズ
建築と旅行に関する英語のフレーズをいくつか覚えておきましょう:
訳)サグラダ・ファミリアの入り口はどこですか。
訳)ガウディは本当に天才だったんだね。
訳)カサ・ミラはとてもユニークで好きです。
世界遺産としての価値とは?

世界遺産に登録された「アントニ・ガウディの作品群」。
正式名称は、Works of Antoni Gaudí です。
登録年は?
アントニ・ガウディの7つの作品は、1984年と2005年の2回に分けて世界遺産に登録されました。
- 1984年:「グエル公園」「グエル邸」「カサ・ミラ」
- 2005年:「カサ・ビセンス」「カサ・バトリョ」「コロニア・グエル教会のクリプト」「サグラダ・ファミリアの生誕のファサードとクリプト」
訳)アントニ・ガウディの作品群は、1984年と2005年の2回に分けてユネスコの世界遺産に登録されました。
登録理由は?
世界遺産に登録された理由は、主に次のような点です。
- これらの建築群は、19~20世紀初頭にかけての芸術・建築に大きな影響を与えたこと
- カタルーニャのモデルニスモ様式と密接に関係しており、創造性と革新性を示す重要な例であること
- 20世紀初頭の公共・住宅建築に卓越したサンプルを提供し、その類型となった。ガウディはそれらの開発を通してきわめて重要な創造的貢献をしていること
アントニ・ガウディの作品群をめぐる旅

スペイン旅行の際は、これらの建築をめぐるツアーもおすすめです。日本からバルセロナへは直行便がないため、ヨーロッパの主要都市を経由します。所要時間は14〜18時間ほど。
現地では地下鉄やバスが便利で、回数券を使えば経済的に回れます。
カサ・ミラ(Casa Milà)
実業家のペレ・ミラとその妻ルゼー・セギモンの邸宅として建設されました。直線を使わない曲線的な外観が特徴です。現在も賃貸住宅として使われており、屋上からはバルセロナ市街を一望できます。
グエル公園(Park Güell)
おとぎ話のような公園で、色鮮やかなトカゲのモザイクはバルセロナのシンボルです。エウセビオ・グエルが計画した英国風の庭園式住宅地で、敷地内には1906~13年までガウディが実際に住んでいた邸宅(現在はガウディの博物館)もあります。
グエル邸(Palau Güell)
バルセロナ旧市街のランブラス通り近くに建つ、実業家エウセビ・グエルのために設計されたガウディ初期の傑作です。外観は重厚で控えめながら、内部は豪華な装飾と巧みな光の演出に満ちており、まさに都会の宮殿といった趣があります。
特に見どころは、中央ホールの高い天井から差し込む自然光の効果と、各部屋ごとに異なる素材やデザインが施された空間構成です。屋上には、色とりどりのタイルで装飾された個性的な煙突群が並び、ガウディらしい遊び心と創造力が感じられます。
カサ・バトリョ(Casa Batlló)
「骨の家」と呼ばれるほど独特な形状。ドラゴンの背中を模した屋根がユニークです。夜になるとライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。
カサ・ビセンス(Casa Vicens)
グラシア地区にある、ガウディが手がけた最初の住宅建築作品です。レンガ職人でタイル製造業も営んでいた実業家マヌエル・ビセンスの別荘として、1883年から1885年(または1888年)にかけて建設されました。
イスラム建築の影響を受けたムデハル様式(Mudejar style)が特徴で、カラフルなタイルや幾何学模様が外壁を美しく彩っています。ガウディの初期作品として知られ、すでにこの時点で彼の独創性があらわれています。
コロニア・グエル教会(Colònia Güell)
バルセロナから約20km離れたサンタ・コロマ・ダ・サルバリョにある未完の教会で、ガウディ建築の中でも隠れた名作です。実業家エウセビ・グエルの依頼により、労働者のための住宅地「コロニア・グエル」内に1898年に構想され、1908年に着工されました。
完成したのは地下礼拝堂(クリプタ)のみですが、幻想的な雰囲気を漂わせています。曲線的なアーチや傾いた柱など、サグラダ・ファミリアの前段階として重要な実験場であり、ガウディの建築理論を体感できる貴重な場所です。
サグラダ・ファミリア(Sagrada Família)
ガウディが命を捧げた未完の大聖堂。生誕のファサードと地下聖堂が世界遺産に登録されています。
正式名称は「聖家族贖罪教会(せいかぞくしょくざいきょうかい)」。イエス、マリア、ヨセフの聖家族に捧げる教会です。1882年に初代建築家が着工し、1883年に当時31歳だったガウディに引き継がれました。以降、不慮の事故で亡くなるまでサグラダ・ファミリアの建築に携わりました。
順調に進めばガウディの死後100年目の2026年に完成する予定です。
まとめ:英語で広がる世界遺産の旅
ガウディの建築は、「生きた芸術(living art)」とも言える存在です。それらを英語で表現することで、世界中の人と感動を共有することができます。
英語を学びながら、世界の文化や芸術にもふれてみませんか?ぜひ、バルセロナとガウディの世界遺産を訪れてみてください。

