エーゲ海の南東に浮かぶ「ロードス島(Rhodes Island)」は、かつて古代ギリシャ人たちが築いた都市国家として栄え、交易や文化の中心地として重要な役割を果たしてきました。
その大きさは日本の淡路島の約2倍。現在では、美しい海と中世の街並みが共存する人気の観光地となっています。
中でも島の北部に位置するのが「ロードス島の中世都市(Medieval City of Rhodes)」。ユネスコの世界遺産に登録されたこの旧市街には、石畳の路地、堅固な城壁、騎士たちの歴史が息づいています。
この記事では、そんなロードス島の魅力をたっぷり紹介しながら、「英語で旅を楽しむ」ためのフレーズもご紹介します。
ロードス島の中世都市とは?

ロードス島の中世都市について、基本情報をみていきましょう。
ロードス島とは?
ロードス島(Rhodes)は、ギリシャの島々の中でも面積が大きく、アジア側(トルコ)に最も近い場所にあります。そのため、古くから東西の文化や宗教が交錯する戦略的な地でした。
古代には「太陽神ヘリオスの巨像(Colossus of Rhodes)」が港に立ち、世界七不思議のひとつに数えられていました。
その後、中世になると聖ヨハネ騎士団(Knights of St. John)が島を支配。強大なオスマン帝国との戦いに備えて、この地を要塞都市へと変貌させたのです。
現在の旧市街は、まさにその騎士団が築いた中世の都市の姿をそのまま残しており、歴史とロマンを感じさせる空間となっています。
聖ヨハネ騎士団とは?
聖ヨハネ騎士団は、もともとエルサレムに設立されたキリスト教の軍事修道会(military order)で、巡礼者を保護する目的で結成されました。しかし、イスラム勢力との戦いの中で聖地を追われ、やがて本拠地をロードス島へと移します。
1309年から1522年までの200年以上もの間、この島を守り抜いた彼らは、数々の防御施設を築き、都市全体を「巨大な城塞」として仕上げました。
アクセス情報
日本からロードス島への旅は少し長旅になります。東京からヨーロッパ経由でアテネまで約15時間。アテネからロードス島(国内線)まで約1時間です。現地ではタクシーやバスも使いやすく、旧市街は徒歩でじっくり巡るのがおすすめです。
ロードス島の中世都市の歴史
この島の歴史は驚くほど古く、幾度となく支配者が入れ替わっています。その主な流れを紹介します。
紀元前408年、古代ロドス市が建設され、紀元前2世紀、ローマ帝国の同盟国に。395年ビザンチン帝国の一部となります。
1291年、聖ヨハネ騎士団がキプロスへ退避。1309年、騎士団がロードス島を占拠・要塞化し、1522年にはオスマン帝国により征服されます。
1912年、イタリア王国が占領し、1947年にギリシャに正式統合されます。
長い歴史の中で宗教や文化が折り重なり、それが現在のロードスの多様な建築様式や雰囲気につながっています。
世界遺産としての価値とは?
「ロードス島の中世都市」は1988年にユネスコの世界遺産に登録されました。正式な登録名は、Medieval City of Rhodesです。
訳)ロードス島の中世都市は、1988年にユネスコの世界遺産に登録されました。
登録理由は?
この旧市街は、ヨーロッパとアジア、キリスト教とイスラム教という異なる文化が交差する地で、以下のような点が評価されています。
- 東西の文化が交わる地点として、重要な役割を果たした。特に聖ヨハネ騎士団が築いた城塞都市は、西欧の軍事建築とビザンチンやイスラムの影響が融合した独自の様式を持つ。このような建築や都市構造は、十字軍時代における文化交流の証拠である。
- ヨーロッパ中世の軍事都市の傑作。特に、全長約4kmにもおよぶ堅牢な城壁や要塞システム、騎士団の宮殿などは、防御都市建築の優れた例ですある。
- 伝統的な生活様式や街並みが現代まで継承されてきた。
城壁内の面積は約78ヘクタール。全長4km以上の石造りの城壁が取り囲んでいます。
覚えておきたい英語フレーズ

旅の英語学習もこの機会に楽しんでみましょう!
訳)この都市はゴシック、ビザンチン、オスマンの影響が融合しています。
訳)まるで時代をさかのぼったような気分になります。
訳)中世の市壁に沿って歩くことができます。
訳)騎士団長の館は絶対に見逃せません。
ロードス島の中世都市のおすすめポイント

ロードス旧市街には、訪れるべき魅力的なスポットがたくさんあります。特におすすめしたい見どころをいくつか紹介します。
騎士団の宮殿(Palace of the Grand Master)
かつて聖ヨハネ騎士団の本部として使われていた壮大な建物。14世紀に建設され、騎士団の象徴ともいえる場所です。宮殿内には中世の調度品やモザイク画が展示され、荘厳な雰囲気に圧倒されます。現在は博物館としても利用されています。
騎士団通り(Street of the Knights)
石畳のまっすぐなこの通りは、ヨーロッパ各国から来た騎士たちが滞在した建物が並ぶ歴史的スポット。今でも当時の建築がそのまま残っています。通りにはフランス、スペイン、イタリアなど、出身地別の騎士団の宿舎(イン)があり、違いを比べて歩くのも楽しいです。
市壁と要塞システム(City Walls and Fortifications)
旧市街全体を取り囲む城壁は、全長およそ4km。分厚い石造りで、かつては幾度もの包囲戦を耐え抜いた堅牢な防衛システムでした。ところどころにある門や塔からは街を見下ろすことができ、歴史の重みを感じさせてくれます。特に夜のライトアップは幻想的です。
旧市街(Old Town)
旧市街の中は迷路のように入り組んでおり、地図を見ずに歩くのも楽しいでしょう。カフェや手工芸品のショップが軒を連ね、中世の街に溶け込むように日常が広がっています。
ユダヤ人地区(Jewish Quarter)
中世から20世紀初頭まで、ユダヤ人コミュニティが存在していた地区です。プラテイア・エブライオン・マルティロン(ユダヤ人殉教者の広場)には、ナチスの迫害で命を落とした人々を悼む記念碑もあります。静かなこのエリアは、ロードスの多文化的な歴史を物語っています。
スレイマン・モスク(Mosque of Suleiman)
オスマン帝国時代、1522年の征服後に建てられたイスラム教のモスク。鮮やかなピンク色の外観が特徴で、ヨーロッパ的な街並みの中でひときわ目を引きます。これはロードスが中世から近代にかけて、多くの文化と宗教が交差した証でもあります。
ロルドゥ・スミスの塔(Roloi Clock Tower)
旧市街の高台にそびえる時計塔。17世紀に建てられたこの塔に登ると、ロードスの街並みと青いエーゲ海を一望できます。登るには少し階段がありますが、頂上からのパノラマビューは絶景です。
まとめ:英語で広がる世界遺産の旅
ロードス島の中世都市は、「歴史がそのまま残る町」。その魅力は、騎士たちの物語や異文化の融合にあります。
英語を使いながら現地を巡れば、旅の体験はもっと豊かになります。次の旅の目的地に、Rhodes Island をぜひ加えてみてください。
