「侘び寂び(わびさび)」は、日本文化を象徴する美意識のひとつですが、英語でうまく説明するのは難しい言葉でもあります。
「質素で静かな美しさ」「時間の経過や不完全さに宿る味わい」など、単語だけではなく背景を含めて説明する必要があります。
この記事では、「侘び寂び」を英語でどう表現するのか、またその関連語である「風情」「美学」「味わい」なども合わせて紹介します。
英語を学び直している人にもわかりやすく、例文を交えて解説するので、外国人に日本の美意識を伝えたいときにぜひ活用してください。
「侘び寂び」を英語で外国人に説明するには?

「侘び寂び(わびさび)」は、一言で英語に訳すのが難しい言葉です。
なぜなら、これは単なる言葉ではなく、日本人独特の価値観や感性を含んだ「美の概念」だからです。
なおWikipediaによれば、「侘び寂び」は以下のように定義されています。
侘び寂び(わびさび):慎ましく、質素なものの中に、奥深さや豊かさなど「趣」を感じる心、日本の美意識。
英語での表現例
- Wabi-sabi(※日本語をそのまま使用)
- A sense of beauty found in imperfection and transience
(不完全さと儚さに見出される美しさの感覚) - The beauty of simplicity and impermanence
(簡素さと無常の美)
上記にあるように”wabi-sabi”はそのまま英語でも通じることがあります。
特にアートやデザイン、哲学に関心のある外国人の間では知られてきています。
全く知らない人に話す場合は、長文になったとしても、概念を噛み砕いて説明する必要があるでしょう。
説明するときに使える例文
Wabi-sabi is a traditional Japanese aesthetic that values simplicity, imperfection, and the beauty of nature.
(侘び寂びとは、簡素さ、不完全さ、自然の美しさを重んじる日本の伝統的な美意識です。)
In Japanese culture, wabi-sabi teaches us to appreciate the beauty of things that are humble and incomplete.
(日本文化では、侘び寂びは、質素で未完成なものの中にある美を味わうことを教えてくれます。)
Wabi-sabi reflects the transient nature of life and encourages us to find beauty in aging and decay.
(侘び寂びは人生の儚さを映し出し、老いや朽ちるものの中に美を見つけることを促します。)
「侘び寂び」の例文
ここでは、英語で「侘び寂び」を使った自然な英文を3つ紹介します。
例文1
The tea room was designed with a wabi-sabi aesthetic, featuring natural wood and subtle imperfections.
(その茶室は侘び寂びの美意識で設計されており、自然な木材と控えめな不完全さが特徴です。)
例文2
I find wabi-sabi in the cracked teacup I’ve used for years—it feels more meaningful than something new.
(私は長年使ってきたひび割れた湯のみの中に侘び寂びを感じます。新品よりも意味を感じるのです。)
例文3
Wabi-sabi teaches us that nothing lasts forever and that imperfection can be beautiful.
(侘び寂びは、永遠に続くものはなく、不完全さにも美があることを教えてくれます。)
「日本の美意識」を英語で何て言う?
日本人なら自然に感じ取れる美意識も、英語で説明しようとすると難しく感じることがありますよね。
「日本の美意識」に関するいくつかの英語表現を紹介するので、実際に使いながら覚えてみてください。
英語での表現例
- Japanese aesthetic sense(日本の美意識)
- Sense of beauty in Japanese culture(日本文化における美の感覚)
- Traditional Japanese aesthetics(伝統的な日本の美学)
“aesthetic”は「美的な」「美学」などの意味がある単語です。
発音に苦労する人もいますが、日本語風にカタカナで書くと、「エスセティック」または「エステティック」のような音になります。
英語の例文
The Japanese aesthetic sense emphasizes simplicity, harmony with nature, and quiet elegance.
(日本の美意識は、簡素さ、自然との調和、そして静かな気品を重んじます。)
「風情」「趣き」「情趣」「味わい」「味」を英語で何て言う?

これらの日本語も、英語に直訳しにくいニュアンスを持っています。
英語での表現例
英語での表現例を、まとめました。
| 日本語 | 英語表現 | 説明 |
|---|---|---|
| 風情(ふぜい) | charm / elegance / atmosphere | 落ち着いた雰囲気や趣のある様子 |
| 趣き(おもむき) | flavor / character | 味わいや風格 |
| 情趣(じょうしゅ) | sentiment / poetic charm | 情感、詩的な雰囲気 |
| 味わい | taste / depth / richness | 深みや奥行きのある感覚 |
| 味 | taste / flavor | 食べ物の味や、比喩的な味わい |
英語の例文
The old temple has a special charm that cannot be replicated by modern architecture.
(その古い寺には、現代建築では再現できない特別な風情があります。)
The rustic cup has a warm, handmade taste that mass-produced items lack.
(その素朴な湯のみには、量産品にはない手作りの味わいがあります。)
「美学」を英語で何て言う?
「美学」は、芸術やデザインを語るときに重要な言葉です。
英語では次のように表現できます。
英語での表現例
- Aesthetics(美学)
- Philosophy of beauty(美の哲学)
- Artistic taste(芸術的なセンス)
英語の例文
Japanese aesthetics often focus on subtlety, natural materials, and the passing of time.
(日本の美学はしばしば、控えめさ、自然素材、時間の経過に焦点を当てます。)
Her artistic taste reflects a deep understanding of wabi-sabi.
(彼女の芸術的なセンスは、侘び寂びの深い理解を反映しています。)
まとめ
「侘び寂び」は、英語に訳すのが難しい日本独自の感性ですが、”imperfection”(不完全さ)、”simplicity”(簡素さ)や、”transience”(儚さ)などの英語表現を使って説明することができます。
また、同じように訳しにくい「風情」「味わい」「美学」なども、例文とあわせて覚えておくと便利です。
英語を学び直す過程で、こうした文化的な言葉を英語で説明できるようになることは、語学力のステップアップにもつながります。
少しずつ、表現の幅を広げていきましょう。
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