「ブラフマー」という神様の名前を聞いたことはありますか?
インドの神話(ヒンドゥー教の神話)では、世界をつくり出した“創造の神”としてとても有名です。ゲームやアニメ、マンガのキャラクターの名前の元になっていることもあり、世界の神話を調べるときに必ず出てくる存在の一人です。
ブラフマーは「トリムルティ」と呼ばれる三大神のひとりで、世界をつくる役割を担当しています。残りの二人は「維持の神ヴィシュヌ」と「破壊の神シヴァ」です。この3人で、宇宙のサイクルをぐるぐると回していると考えられています。
この記事では、ブラフマーの神話や役割、面白いエピソードを小学生でもわかりやすいように解説します。そして最後には「英語で説明してみよう!」のコーナーも用意しているので、英語学習にも役立ちますよ。

ブラフマーとは?

ブラフマーとは?

ブラフマーは、ヒンドゥー教における「創造の神」です。世界を生み出した神様として、神話の中でとても重要な役割を担っています。ヒンドゥー教には「トリムルティ(三大神)」と呼ばれる3人の神がいて、ブラフマーはそのひとりです。残りの2人は「世界を維持するヴィシュヌ」と「世界を破壊するシヴァ」で、この三柱の神が宇宙の循環を表していると考えられています。
ブラフマーは、4つの顔と4本の腕を持つ姿で描かれることが多いです。4つの顔は、それぞれが「ヴェーダ」と呼ばれるヒンドゥー教の聖典を表しているとされます。また、4本の腕には本や数珠、水を入れる壺などを持ち、知恵や創造を象徴しています。
インドでは昔からとても大切にされてきた神様ですが、実は現代ではブラフマーを祀る寺院は数が少なく、ヴィシュヌやシヴァに比べると信仰はあまり広がっていません。これには、神話の中でのエピソードが関係しているとも言われています。

英語で説明しよう!
Brahma is the god of creation in Hindu mythology.
(ブラフマーはヒンドゥー教の神話における創造の神です。)
He is one of the three main gods, along with Vishnu and Shiva.
(彼はヴィシュヌとシヴァとともに三大神のひとりです。)
Brahma is often shown with four faces and four arms.
(ブラフマーはしばしば4つの顔と4本の腕を持つ姿で描かれます。)

ブラフマーの役割と神話のエピソード

ブラフマーは「創造の神」として、宇宙や世界、人間、動植物などあらゆるものを生み出したと伝えられています。ヒンドゥー教の神話では、彼が最初に水の中に黄金の卵(ヒラニヤガルバ)を置き、その中から世界が始まったとされています。この「黄金の卵の神話」は、インド神話における最も有名な創造の物語のひとつです。
また、ブラフマーの隣には常に妻である「サラスヴァティー(学問と芸術の女神)」が描かれます。サラスヴァティーは知恵や言葉、音楽を司る女神で、ブラフマーとともに「創造」と「知恵」が切り離せないものであることを表しています。
しかしブラフマーは、シヴァやヴィシュヌほど信仰が盛んではありません。その理由のひとつに、「ブラフマーが欲望を抑えきれず、不適切な行いをしたために信仰が衰えた」とする神話エピソードがあります。このため、ブラフマーを祀る寺院は非常に少なく、インド全体でも代表的なものはラージャスターン州のプシュカル寺院ぐらいだと言われています。

英語で説明しよう!

Brahma created the world, humans, animals, and plants.
(ブラフマーは世界、人間、動物、植物を創造しました。)

He is linked to the story of the golden egg, from which the universe began.
(彼は宇宙が始まった黄金の卵の物語と関係しています。)

Brahma’s wife is Saraswati, the goddess of wisdom and arts.
(ブラフマーの妻は、知恵と芸術の女神サラスヴァティーです。)

Unlike Vishnu or Shiva, Brahma has only a few temples in India.
(ヴィシュヌやシヴァと違って、ブラフマーを祀る寺院はインドでも少ないです。)

ブラフマーとトリムルティ(三大神)

ヒンドゥー教では、ブラフマー(創造)、ヴィシュヌ(維持)、シヴァ(破壊)の三柱を「トリムルティ」と呼びます。この三大神は、それぞれ異なる役割を担いながらも、宇宙のサイクルを保つために欠かせない存在とされています。

  • ブラフマー … 世界を創造する神
  • ヴィシュヌ … 世界を維持し、秩序を守る神
  • シヴァ … 世界を破壊し、新しい再生を促す神

この三位一体の考え方は、キリスト教の「三位一体(父・子・聖霊)」と比較されることもありますが、ヒンドゥー教においては宇宙の循環や調和を象徴するものとして理解されています。
ただし、実際の信仰ではヴィシュヌやシヴァへの信仰が中心であり、ブラフマーを強く信仰する宗派はほとんど存在しません。これは、前述の神話のエピソードやブラフマーに関する制約(寺院の少なさなど)が影響しています。

英語で説明しよう!
Hinduism has three main gods called the Trimurti.
(ヒンドゥー教には「トリムルティ」と呼ばれる三大神がいます。)
Brahma is the creator, Vishnu is the preserver, and Shiva is the destroyer.
(ブラフマーは創造、ヴィシュヌは維持、シヴァは破壊を司ります。)
Together, they keep the cycle of the universe.
(三柱は一緒に宇宙のサイクルを保っています。)

ブラフマーにまつわる神話エピソード

ブラフマーにまつわる神話エピソード

ブラフマーに関する神話は、ヒンドゥー教の創造の物語や他の神々との関係性を理解する上で欠かせません。ここでは代表的なエピソードを紹介します。

創造の神話

ブラフマーは宇宙の始まりに「黄金の卵(ヒラニヤガルバ)」から生まれたとされています。その後、彼は大地・空・天を分け、世界の秩序を作りました。人類や神々を生み出し、時間の流れを定めるなど、あらゆる存在の根源を作り上げた存在です。

サラスヴァティとの関係

ブラフマーの配偶神は「学問と芸術の女神」サラスヴァティです。彼女は音楽や知識の象徴であり、ブラフマーが創造を行う際に知恵を与えたとされます。そのため、二人は「知識と創造」の象徴的な組み合わせと考えられています。

シヴァとの逸話

ブラフマーとシヴァの間には対立の神話もあります。ある時、ブラフマーが「自分こそ最高の神だ」と主張し、真実を曲げたため、シヴァは彼に罰を与えました。この出来事によってブラフマーの信仰が広がらなかったとも伝えられています。

これらの神話は、ブラフマーの「創造神」としての側面だけでなく、人間的な弱さや他の神々との関係を浮き彫りにしています。

英語で説明しよう!
Brahma was born from a golden egg called Hiranyagarbha.
(ブラフマーは「ヒラニヤガルバ」と呼ばれる黄金の卵から生まれました。)
He created the earth, the sky, and the heavens, and gave order to the world.
(彼は大地、空、天を創り、世界に秩序を与えました。)
His wife Saraswati is the goddess of wisdom and arts, helping him in creation.
(彼の妻サラスヴァティは知恵と芸術の女神で、創造を助けました。)
One story says Brahma lied and was punished by Shiva.
(ある物語では、ブラフマーが嘘をつき、シヴァに罰を受けたとされています。)

ブラフマーを英語で説明してみよう!

ブラフマーを英語で説明してみよう!

ここでは、今まで学んだブラフマーの知識をもとに、実際に英語で説明する練習をしてみましょう。小学生でもシンプルに話せるように、短い文章を組み合わせています。

英語例文と日本語訳
Brahma is the Hindu god of creation.
(ブラフマーはヒンドゥー教の創造の神です。)
He was born from a golden egg called Hiranyagarbha.
(彼は「ヒラニヤガルバ」と呼ばれる黄金の卵から生まれました。)
Brahma made the earth, the sky, and the heavens.
(ブラフマーは大地、空、天を作りました。)
His wife Saraswati is the goddess of wisdom and arts.
(彼の妻サラスヴァティは知恵と芸術の女神です。)
One story says Brahma lied and was punished by Shiva.
(ある物語では、ブラフマーが嘘をつき、シヴァに罰を受けたとされています。)
Brahma is important, but only a few temples in India worship him today.
(ブラフマーは重要な神ですが、現代のインドで彼を祀る寺院は少ないです。)

まとめ

ブラフマーはヒンドゥー教において創造の神として非常に重要な役割を担っています。黄金の卵「ヒラニヤガルバ」から生まれ、世界を創り出した存在として知られますが、同時にシヴァやヴィシュヌのように現代で広く信仰されるわけではなく、インド国内でもブラフマーを祀る寺院は限られています。
また、ブラフマーの妻サラスヴァティは知恵や芸術の女神として人気が高く、学生や芸術家にとって大切な存在です。こうした背景から、ブラフマーは神話の世界では欠かせない存在でありながら、現代においてはやや影の薄い神といえるでしょう。
英語学習の視点では、ブラフマーについて簡単な英文で説明できるようになると、ヒンドゥー神話だけでなく文化理解にも役立ちます。「創造」「知恵」「罰」などのキーワードを覚えることで、英会話や学校での発表にも活かせます。
まとめると、ブラフマーは「世界を作った神」という壮大な役割を持ちながらも、信仰の広がりには独特の特徴がある神です。英語で説明するときには、シンプルに「God of creation」と言えるようにしておきましょう。

参照:Wikipedia|ブラフマー