神を主人公にした神話は多くあります。日本の神話に登場する天照大御神(アマテラス)やギリシャ神話のゼウスといったところが有名でしょう。
ところで、インド神話のシヴァが破壊を司どる神であることをご存知ですか?
この記事では、インド・ヒンドゥー教の三大主神の一人「シヴァ」について紹介します。シヴァという人物について、英語表現とともにみていきます。
シヴァってどんな神?
まずは、シヴァがどのような神であるかについて紹介します。インド・ヒンドゥー教についても簡単に触れましょう。
インド・ヒンドゥー教とは?
ヒンドゥー教(Hinduism)は約4,000年前のインド発祥の宗教であり、キリスト教そしてイスラム教に次いで、世界で3番目に信者が多くいます。その数、世界で約11億人いると言われています。
ヒンドゥー教では、輪廻転生、カルマ、解脱という概念を重視し、多様な神々を崇拝します。その一人が本記事で紹介する「シヴァ」になります。
シヴァってどんな神?
ヒンドゥー教では多くの神がいますが、なんとその数3,300万とも3億3,300万とも言われています。
そのなかで、重要な位置を占めているのが3人の神です。3人の神とは、ブラフマー、ヴィシュヌ、そしてシヴァというトップ3です。
トップ3である神々は、ブラフマーが世界の創造、ヴィシュヌがその維持、そしてシヴァが「破壊の神」ということであり、このサイクルをそれぞれが司どっています。シヴァは破壊するだけでなく「破壊と再生」の神とも言われています。
破壊の神「シヴァ」の英語表現

さて、ここではシヴァとシヴァがどのような神であるかを英語でどう表現するか紹介しましょう。
シヴァの英語
シヴァの英語は”Shiva”になります。Sivaと書かれることもありますが、Shivaのほうがより一般的です。
訳)シヴァは、ヒンドゥー教の三大神のうちの一人です。
シヴァを英語で説明
Shiva is known as “the destroyer” as well as “the recreator” and part of the Trimurti along with Brahma and Vishnu.
訳)シヴァ神は「破壊者」であると同時に「再創造者」としても知られ、ブラフマー、ヴィシュヌとともに三神一体のなかの1人です。
この例文に出てきたTrimurti(トリムルティ)は三神を指す表現です。サンスクリット語では「三身像」を意味しています。
シヴァ神の役割とは?
ここまでも紹介したとおり、シヴァは「破壊と再生」の神です。破壊と再生の対象は、宇宙というスケールの大きなものです。ここで、シヴァの役割を紹介します。
ヒンドゥー教の宇宙観
ヒンドゥー教は宇宙観を持ち、宇宙の中心に須弥山(しゅみせん)がそびえています。須弥山はインド神話でメール山とされ、その周りを大陸や海が環状に囲み、その地上には聖者や神の世界が、地下には地獄があるという考え方があります。このことから、ヒンドゥー教の神々の住処は宇宙に存在するということになります。
訳)ヒンドゥー教の宇宙観は、輪廻転生と深く関係しています。
reincarnationで「輪廻転生」です。輪廻転生とは、魂が何度も生まれ変わり死に変わることを繰り返すという考えで、ヒンドゥー教だけでなく仏教に共通する概念です。
宇宙は神によって創造され維持をし、そして最終的に破壊されるというサイクルが繰り返されるとされます。これは輪廻転生と密接に関連しています。
シヴァの役割は「破壊」
ヒンドゥー教における宇宙のサイクルは創造・維持・破壊です。このなかで、宇宙を破壊し、次の創造へと繋げる神がシヴァでしたね。
ここで、BBCからシヴァの役割について書かれた記事を紹介しましょう。
訳)シヴァ神の役割は、再創造するために宇宙を破壊することです。
訳)ヒンドゥー教徒は、シヴァの破壊力と再生力は、この世界の幻想や不完全さを破壊し、有益な変化への道を開くために、今も使われていると信じています。
訳)ヒンドゥー教の信仰によれば、この破壊は恣意的なものではなく建設的なものです。そのため、シヴァは善と悪の両方の源とみなされ、多くの矛盾する要素を組み合わせる存在とみなされています。
シヴァのルックスは?
破壊の神として、シヴァはインパクトの強いルックスをイメージする人もいるかもしれませんね。
ここでは、シヴァがどのような特徴を持っているか紹介しましょう。
シヴァのルックス紹介
シヴァは男性として、顔と喉は常に青色で表現されます。第三の目を持ち、コブラのネックレスをつけ、額には白い灰で水平に3本の線ヴィブーティが引かれ、3つの突起のあるトライデントを持っています。
コブラのネックレスについて、英語の説明をみてみましょう。
Some traditions also say that the snake represents Shiva’s power of destruction and recreation. The snake sheds its skin to make way for new, smooth skin.
訳)これは世界で最も危険な生き物に対するシヴァの力を表しています。
また、蛇はシヴァの破壊力と再生の力を表すという言い伝えもあります。蛇は、新しい滑らかな皮膚を作るために脱皮します。
他の神々は豪華に描かれるのに対し、シヴァは簡素な動物の皮をまとい、通常はヨガの姿勢で表現されます。破壊者ではありますが、通常は微笑み、穏やかに描かれています。
シヴァの人物像をさらに紹介

シヴァには配偶者がいますし、ダンスの王と呼ばれている側面もあります。
シヴァの妻・パールヴァティー
シヴァ神の配偶者がパールヴァティーです。ヒンドゥー教において、重要な女神の1人であり、様々な側面を持つ女神として描かれます。
訳)パールヴァティーはヒマラヤと呼ばれる山の娘として生まれ、シヴァの愛情を勝ち取りました。
シヴァとパールヴァティーは幸福の完璧な例として崇められており、どちらか一方だけが描かれることは滅多にないほどのカップルです。
ダンスの王・シヴァ
ダンスはそもそもインドでは重要な芸術形式です。そしてシヴァはダンスの達人と考えられ、時代の終わりに宇宙を破壊するためにタンダブというダンス(死の宇宙ダンス)を行ないます。
シヴァのシンボル「シヴァ・リンガ」

最後に、シヴァ神のシンボルとして祀られるシヴァ・リンガを紹介しましょう。いったいどういったものなのでしょう?
シヴァ・リンガという像
ヒンドゥー教においてリンガ(linga)はシヴァ・リンガと呼ばれることがあり、シヴァ神を抽象的に表現します。その形は円筒状で、形の無い宇宙のエネルギーと男性原理と女性原理の結合を象徴しています。
シヴァ・リンガは寺院に祀られており、恵み・健康・豊穣を象徴し崇拝の対象とされています。近年では、男性器を意味するとすることもありますが、リンガはシヴァがいかなる特徴も超越し、宇宙に浸透している形を表現しています。
まとめ
本記事では、インド・ヒンドゥー教の三大主神の一人「シヴァ」について紹介しました。「破壊の神」として最高神に位置づけられているShivaは、現代でもインドの人々に崇拝されているのです。
引用:BBC ”Shiva”
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