みなさんは「リサイタル」と聞いてどのような意味をイメージしますか?
歌や楽器の演奏会、ダンスやスピーチの発表会などを想像した方も多いでしょう。

「リサイタル」は英語の”recital”をカタカナ表記した言葉です。
日本語では、音楽における独唱会、または独奏会を表現するときに使われます。
「リサイタル」は、とても身近で、生活になじんでいるカタカナ言葉ですが、英語の”recital”も日本語と同じように使えるのでしょうか?

今回は、演奏会を表す英語として知られている「リサイタル」について、英語”recital”の意味と正しい使い方、類義語を紹介していきます。

「リサイタル」の意味

「リサイタル」の意味

「リサイタル」とは、英語の”recital”をカタカナで表記した言葉です。
歌や楽器の演奏を、1人または少数の演奏者が観客の前で披露するパフォーマンスを意味します。
一般的には、クラシック音楽の演奏会を指して使われますが、歌やダンス、詩の朗読など、さまざまな芸術分野で幅広く用いられています。

独唱会や独奏会のこと

類義語:コンサート、コンクール、コンテスト、音楽会、演奏、ライブ

参考:デジタル大辞泉

「リサイタル」はもともと、詩の朗読会を意味した言葉でしたが、現在ではクラシック音楽の独奏会を示す場合がほととんどです。
「リサイタル」において、演奏家は1人またはごく少数で、主役のほかに演奏者や伴奏者などはいません。

「リサイタル」の使用例には、以下のような表現が挙げられます。

彼女は、慈善事業の一環でピアノリサイタルを開きました。
・その歌手は、初めてのリサイタルを前にとても緊張していました。
・娘のリサイタルが無事成功して、安心しました。
・先日のダンスリサイタルには、大勢の観客が集まりました。
・モールでは即興のオルガンリサイタルが開催されていました。

「リサイタル」「コンサート」「ライブ」の違い

単独の演奏会を意味する「リサイタル」と似た言葉に、「コンサート」「ライブ」という2つのカタカナ言葉があります。
どちらも音楽の発表や演奏に関連したワードですが、意味に違いはあるのでしょうか。

「リサイタル」「コンサート」「ライブ」の違いを以下に示します。

リサイタル メインの演奏家は1人で、単独またはごく少数による演奏会
コンサート 複数人の奏者または楽団、団体による演奏会
ライブ 生演奏と生歌を披露する場

フルートやバイオリンなど旋律楽器においては、ピアノやハープなどの伴奏がつく場合もあり、ある程度の人数がいても「リサイタル」と呼ばれます。

通常、「リサイタル」の主役は1人です。
ほかの楽器の伴奏や、オーケストラの協奏を伴いながら、奏者が1人で演奏することを独奏、1人で歌曲をうたうことを独唱(ソロ)といいます。

一方で、「コンサート」は、複数の演奏者や歌手がステージに立って披露することを意味します。
会場の規模が「リサイタル」に比べて大きく、やや形式ばっているような演奏会は、「コンサート」と呼ばれることが多いです。
楽団やバンドによるオーケストラやオペラなどのフォーマルな演奏会は、コンサートとして扱われます。

「コンサート」と混同してしまいがちな「ライブ」も解説しておきましょう。
ライブとは、「ライブコンサート」を略した言葉でもあり、録音や録画でない生演奏を意味した言葉です。
演奏会には、録音したものも含まれるため、生演奏と明確に区別するために「ライブコンサート」というこ言葉が使われるようになりました。

日本に限っては、比較的規模の小さいライブハウスで行うものを「ライブ」、大きなホールなどで行う公演を「コンサート」と呼ぶことが多いですよ。

”recital”の意味

”recital”は、主役が1人またはごく少数の演奏会を意味する名詞です。

辞書では以下のように定義されており、音楽の独奏会、歌の独唱会、詩の朗読会といった意味だけでなく、詳しい説明や物語などを表現するときに使われます。

  • a performance of music or poetry, usually given by one person or a small group of people
    音楽または詩の演奏。通常、一人または少人数のグループによって行われる。
  • a spoken description of a series of events
    一連の出来事を口頭で説明すること
  • the main details about a contract including who it involves and why they are making the contract, often given before the main text of a contract
    契約に誰が関与し、なぜ契約を結ぶのかなど、本文の前に記載された契約に関する主な詳細のこと

参考:
Cambridge Dictionary
Longman Dictionary of Contemporary English

”recital”の発音記号は、/rɪˈsaɪ.təl/ で、カタカナにすると「リサイトゥォル」のように読めます。
「saɪ」の部分にアクセントを置き、「サイ」を強く発音しましょう。

”recital”は、1510年代に、「事実の再話や声明を含む契約書の部分」を意味する法律用語として登場しました。
1560年代からは、聴衆に向かって詩を朗読する行為として「語られるもの、話、説明」という意味で使われるようになりました。
現在の「音楽の演奏会、パフォーマンス」としての意味は、1811年頃に使用が始まったといわれています。

”recital”を使った例文

”recital”を使った例文

”recital”には、「独奏会」「独唱会」のほかに「説明」「短い話」といった意味があります。
それぞれの意味を表す”recital”の使い方を例文で紹介していきます。

「演奏会」「独奏会」を意味する”recital”

Aさん
A musical prodigy, she has also managed to secure a solo recital in London.
訳)音楽の天才である彼女は、ロンドンでのソロリサイタルも実現させています。
Aさん
The violin recitals are given during the summer on the grounds of a historic castle.
訳)ヴァイオリンリサイタルは夏の間、歴史ある城の敷地内で開催されます。
Aさん
She also visited Germany again, performing piano recitals at prestigious concert halls in many of its cities.
訳)彼女はまたドイツを訪れ、多くの都市の一流コンサートホールでピアノリサイタルを開きました。

「詳しい説明」「短い話」を意味する”recital”

Aさん
He was forced to listen to a recital of his many shortcomings.
訳)彼は、自分の欠点の数々を聞かされました。
Aさん
She gave us a long, boring recital of all her troubles.
訳)彼女はわたしたちに、自分の悩みを退屈なほど長々と話してくれました。
Aさん
Their faces clouded during the recital.
訳)その説明を聞いている間、彼らの顔は雲っていました。

”recital”の類義語

「演奏会」や「発表会」などの意味を持つ”recital”の類義語を例文とともに紹介します。

performance

”performance”は、「パフォーマンス」「演技」という意味を持つ英語です。
音楽の演奏や舞台など、特に芸術的な活動や仕事の成果を披露する場を表現する際に使われます。

Aさん
The band did three performances at the Royal Albert Hall.
バンドはロイヤル・アルバート・ホールで3公演を行いました。

concert

”concert”は、大規模な音楽イベント、音楽公演を意味する英語です。
日本語でも「コンサート」として浸透しているとても身近な単語で、通常、多くの人が集結し、アーティストやバンドが演奏を行うことを指します。
”recital”より規模が大きく、奏者も観客も多い演奏会を表現する場合によく用いられます。

Aさん
The musician finished the concert with a song from his first album.
訳)ミュージシャンは彼のファーストアルバムからの曲でコンサートを終えました。

show

”show”は、映画や演技、演奏、歌唱などを観客に見せるためのイベントを指した英語です。
視覚的な要素を含んだパフォーマンスに限らず、音楽の演奏や詩の朗読といった作品発表の場も表現します。

Aさん
Our aim is to make it easier for young unknown artists to show their work.
訳)わたしたちの目的は、無名の若手アーティストが作品を披露しやすくすることです。

account

”account”は、「記述」「報告」「説明」などの意味を表す英語です。
ある出来事・問題について順を追って説明するとき、金銭に関わる報告や始末書を表現するときに使われます。

Aさん
I gave a detailed account of what had happened that night.
訳)わたしはその夜起こったことを詳細に説明しました。

statement

”statement”は、文書や口頭による「陳述」「声明」「供述」を意味する英語です。
事実や理由、個人的な意見を述べるときなど、多様な場面で幅広く使われています。

Aさん
She gave a thrilling recital of her adventures in the Andes.
訳)彼女は、アンデスでの冒険をスリリングに語ってくれました。

description

”description”は、「記述」「叙述」「描写」のほかに、物品や計画などの「説明書」「解説書」といった意味を持つ英語です。
ものや人、状況の特徴や性質を詳しく説明するときによく使われます。

Aさん
He gave a description of the surgery he was about to perform.
訳)彼は、これから行う手術について説明しました。

まとめ

独奏会、独唱会を意味する英語として知られている「リサイタル」について、英語”recital”の正しい使い方と類義語を紹介しました。

「リサイタル」は、英語”recital”をカタカナで表記した言葉で、おもに音楽関連の演奏会または発表会のことを指します。
「コンサート」や「ライブ」のように、「リサイタル」と似たような意味を持つ言葉もありますが、人数や演奏スタイルによって使い方が異なります。

”recital”には、演奏会のニュアンスとは全く異なる「説明」や「短い話」といった意味もあるので、しっかり覚えておきましょう。

合わせて読みたいおすすめ関連記事: