奴隷制度があった時代のことであったり、アメリカの内戦Civil Warをテーマにした映画があります。奴隷とは人の所有物になった人々ですが、奴隷を表す単語が現在では他のニュアンスで使用されていることをご存知ですか?
この記事では、英語slaveの意味と使い方を解説します。そもそもの意味から現代社会で使われているニュアンスまで紹介しましょう。
slaveの意味
さっそく、1600年代に初めて奴隷が発生した際の意味、そして現代の奴隷事情を紹介しながら英語表現slaveをみていきます。
アメリカ、イギリスにおける初めての奴隷
History.comによれば、1619年に最初の捕虜がジェームズタウン植民地に到着したことが、アメリカにおける奴隷制度の始まりと見なされることが多く、Historic Englandではロンドンの貿易商ウィリアム・タワーソンが1556~1557年にかけてプリマスからアフリカへの航海中に奴隷にするために人々を捕らえたということです。
この時代、貿易商たちによる人を売り買いするというビジネスが行なわれていたことによって、多くの人が奴隷として苦しみました。特に、アフリカ系アメリカ人の奴隷制度は有名であり、自由が奪われ人権が無視された非道なものでした。
引用:
History.com
Historic England
奴隷としてのslave
このように捕らわれていた奴隷を英語slaveで表現します。カタカナ語の読み方はスレイヴです。slaveは名詞として「奴隷・捕らわれている人」や、形容詞として「奴隷の」という意味を持ちます。
slaveを名詞として使用する場合、可算名詞のためslavesと-sを付け加えましょう。
ここでは、BBC WORLDSERVICE.comのThe story of Africaからslaveが使われた英文を紹介します。
18世紀の奴隷貿易の最盛期には、推定600万人のアフリカ人が大西洋を渡る旅を強いられ、以下ではそのときの状況を説明しています。
訳)反抗的な奴隷は、他の奴隷たちへの教訓として、船長の命令で手や腕、足を切断されるなどの拷問を受けたり、女性が襲われて傷つけられたりしたという話もあります。
rebellious slavesは「反抗的な奴隷」になります。as a lessonとして他の奴隷への教訓という訳になっていますが、見せしめとするほうが正解でしょう。
奴隷としてのslaveに関する表現には、human slave(人間の奴隷)、indentured slave(契約奴隷)やslave plantation(奴隷農園)などがあります。
現代のslave
slaveは奴隷だけでなく、奴隷のように「あくせく働く(人)」という意味でも使われます。奴隷のような働き方とも言えるでしょう。
このslaveについては、後ほど詳しく解説します。
slave driverの意味
ここからは、slaveが使われたいくつかのフレーズを紹介します。まずは、slave driverです。
slave driverで「奴隷を働かせる責任者」
driverと言えば通常、運転手ですね。driverを動詞driveにすると「操縦する」「駆動する」だったり「追いやる・至らせる」になります。
そして、slave driverにすると「奴隷を働かせる責任者」の意味になります。
訳)奴隷使いは鞭打ちや拷問など、奴隷をひどく扱いました。
奴隷使いは奴隷を監視し、仕事が遅かったり逃げようとするなど様々な理由で処罰をしました。そして奴隷には権利がなく、所有者の言いなりにならざるを得なかったのです。
slaveの意味 – スラング
slaveをスラング表現として使うと、何かの奴隷になるというニュアンスから何かに影響され過ぎていることを表します。
スラングslaveで「影響され過ぎている」
「影響され過ぎている」または「とりこになった」ことをスラングslaveが表現します。a slave to ◯◯の形にし、◯◯に虜になっているものを当てはめましょう。
訳)彼はゲームのとりこだ。
奴隷のように、◯◯に捕われているという捉え方もできます。ゲームのやり過ぎによる悪い影響を考えてもslaveが使用されている点が分かります。
slave laborの意味
次に紹介するのはslave laborです。laborには作業、仕事や労働力という意味があります。では、slave laborの意味と使い方をみていきましょう。
slave laborで「奴隷労働」
slaveは奴隷ですので、彼らの労働力=奴隷労働を英語slave laborで表します。slave laborという言葉は1810年くらいに初めて記録されていますが、この場合、労働環境が過酷である意味が含まれます。
訳)その鉄道の線路は、奴隷労働によって建設された。
訳)現代の奴隷制度に関する捜査中、男が逮捕されました。
この例文のように、現代社会の強制労働という受け取り方もあります。この場合は、modern slaveryやforced labourと表現することもあります。ちなみに、単語laborはイギリス英語にするとlabourとなります。
現代でも、移住労働者が奴隷制の犠牲になっており、強制労働や強制結婚などが強いられています。
Slaveとmasterの意味
ここまで、奴隷に関する気の重くなる話しが続きました。ここからは、話題を変えてシステム系におけるslave、加えてmasterの意味を紹介します。
冗長化におけるslaveとmaster
IT用語の冗長化(じょうちょうか)は、使用しているシステムに万が一障害が起こったときでも運用を継続できるために必要です。冗長化を構成するものにマスターとスレーブがあります。マスターはスレーブを制御する側の装置となります。奴隷使いと奴隷の関係というと、少し過激でしょうか。
ITにおけるslave
上で、冗長化におけるマスターとスレーブと関係を説明しました。ここでは、英語でどのような解説になるかみていきましょう。
ITにおけるslave例文
訳)マスターに障害が発生した場合、スレーブがマスターの役割を引き継ぐ準備ができていなければなりません。そのため、マスターとスレーブは瞬時に役割を切り替えることができます。
slave awayの意味
最後に紹介するのは、フレーズslave awayです。
slave awayは=to work very hardのことになります。
slave awayで「一生懸命働く」
労働に従事するというニュアンスから、slave awayにすると「一生懸命働く」の意味で使用されます。
訳)今日は終日、道路工事で一生懸命働いた。だけど、お金はほとんどもらえない。
訳)健康状態を理由に、無理に働くことはありません。
slaveは「あくせく働く(人)」という意味でも使われることを「現代のslave」の部分で述べました。奴隷のような働き方とも言えるでしょう。特に、長時間、または辛い仕事を指します。
なお、奴隷は同じ作業を繰り返し行なうことから、slaveは働くという意味以外で「繰り返し行なう」という動詞としても使われます。
まとめ
slaveは代表的な意味としての「奴隷」をはじめ、奴隷労働など悪しき歴史を表現するだけでなく、現代でも奴隷のように「あくせく働く(人)」や一生懸命働く、繰り返すといった様々な意味があります。
歴史的観点からも、使う際には少し注意が必要な単語であることも理解しましょう。
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