英語を身に着けるために人気の方法はたくさんありますが、その中でも人気が高いのが「多読」と呼ばれる勉強法です。

多読は、「英語を読んで日本語に訳す」というプロセスから、「英語を英語のまま理解する」というプロセスに変換する勉強法であり、英語を読めるようになるための根本的な改善策であるのが人気の大きな要因です。

この記事では、そんな「多読」を用いた英語の勉強方法についてお伝えしていきます。

多読とは?そもそもどんな勉強法なの?

多読とは?そもそもどんな勉強法なの?

多読とは、自分が読めるレベルの英文をたくさん読むことで、英語の読解に慣れ、素早く正確に読む力を養う勉強法を指します。

普段私たちが慣れ親しんでいる日本語から離れ、易しいレベルの英語をたくさん読むことで「英語を英語のまま理解する感覚」を養うことで、読解力の向上を図るというわけです。

多読で効果的に英語の読解力を養うために、3つの鉄則があります。

  1. 難しい教材は使わない
  2. 辞書をひかない
  3. 返り読みをしない

3つの鉄則を順番に見ていきましょう。

1.難しい教材は使わない

多読をするときは難しい教材は使いません。

むしろ、積極的に「易しい」と感じる教材を取り入れていきます。

ここでいう「易しい教材」とは、「本を開いて目に入る英単語の90%が理解できる教材」を指します。

なので、英語に慣れ親しみ始めた英語中級者でも、絵本レベルの教材を使って多読していることも珍しくありません。

無理に背伸びをした教材を使うのではなく、「簡単だと感じる英文を、当たり前のように読めるようになる練習」だと意識することが大切です。

2.辞書をひかない

多読をしているときは、例え意味を知らない英単語が出てきたとしても、辞書を引くことはありません。

皆さんも、日本語のニュースや新聞を読んでいる時に、聞き馴染みのない専門用語が出てくることがあるかと思います。

しかし、その際に毎回辞書をひく人はとても少ないです。

なぜなら、私たちはその都度、それまでの文脈から意味を知らない用語の意味を推測して読んでいるからです。

多読では、このプロセスを英語でも行えるようになる訓練でもあります。

3.返り読みをしない

多読では、決して返り読みをしません。

「返り読みをしなくとも、正確に読めるようになる」ことこそが、多読の目的だからです。

返り読みとは、英語を文頭から文末まで読んだ後に、もう一度読み返すことを指します。

例えば、”It is very difficult for Japanese to read French.” という文章があったとします。

多くの日本人は、これをIt isからFrenchまで読んでから、もう一度 “To read French… is very difficult …” といった具合に、パズルを崩して組み立て直すように読み直します。

それもそのはずです。私たちは学校で「このように読む!」と学んだからのですから。

しかし、本当に英語が出来るようになりたければ、そのままではいけません。

英会話では、返り読みをする間もなく相手の口から英語が流れ続けますし、英文を読む時も毎回返り読みをしていたら時間もかかりますし、なにより疲れ果ててしまいます。

この返り読みをせずに、「It is difficult…むずかしいんだな for Japanese…日本人にとって難しいんだな to read……」といった具合で「英語を英語のまま理解する力」を、多読によって養うことが狙いです。

多読をする目的とは?

まとめ

多読とはどんなものか、多読の勉強法について解説しましたが、多読をする目的とは何なのでしょうか?

多読をする目的について説明していきます。

  1. 英語脳を作っていくこと
  2. リーディングの苦手意識をなくすこと

1. 英語脳を作っていくこと

多読をする一番の目的は、「英語脳」を作っていくことです。「英語耳」は聞いたことがあるけど、「英語脳」っていうのもあるのかと思われる方もおられるかもしれませんが、「英語脳」というのは、「英語で読み書きをし、英語で考える脳」のことです

英語圏で生まれ育った人は、当然ながら、幼少期から教育を受けるなかで、「英語脳」を作り、発達させています。英語脳を作るうえで、「多読」をすることは必要不可欠です。

2. リーディングの苦手意識をなくすこと

近年、日本でも英語教育、英語の4技能を伸ばすことに力を入れていますが、英語の長文読解が苦手な人は多いです。子供たちは、1、2歳からスマートフォンで動画を見て育ちますが、動画ばかり見て育ち、読書に触れることが少なく、「本が読めない、読解力がない」お子さんが増えていることも事実です。

英検、TOFLE、TOEICのどのテストでも、長文読解は出てきて、読書ができない人は、こういったテストで、なかなか上位レベルにまでたどり着けません。一方、子供の頃から英語のリーディングに触れている人は、英語の長文読解でも苦手意識をあまり感じず、楽しみながらリーディング問題を解けるようになります

実際、英検、TOFLEの上位レベルにたどり着いている人は、リーディングができて読解力があるので、そこまで到達できていると考えられます。

英語の多読におすすめな教材2選

英語の多読におすすめな教材2選

ここまで、英語の多読がどんなものかについてお伝えしてきましたが、ここからは「何を使って多読をすれば良いのか?」についてお伝えしていきます。

多読を実践する教材でもっともおすすめなのは、以下の2点です。

  1. ペンギンリーダーズ
  2. ラダーシリーズ

順番に見ていきましょう。

1.ペンギンリーダーズ(ピアソン・リーダーズ)

ペンギンリーダーズは、英語を学ぶ全ての人のために作られた、多読用の教材です。

現在は「ピアソン・リーダーズ」に名前を改めているそうですが、長い間「ペンギンリーダーズ」の名前で多くの英語学習者から愛されてきているので、この記事ではペンギンリーダーズの名前で統一します。

ペンギンリーダーズの優れている点は、以下の2点に集約されています。

  1. 適切なレベル分け
  2. 内容の豊富さ

1.適切なレベル分け

ペンギンリーダーズは、大きく7段階のレベルに分けられています。

  • イージースターツ・・・英検4級|TOEIC250点 200語
  • レベル2・・・英検3級|TOEIC350点 600語
  • レベル3・・・英検準2級|TOEIC400点 1200語
  • レベル4・・・英検2級|TOEIC500点 1700語
  • レベル5・・・英検2級~準1級|TOEIC600点 2300語
  • レベル6・・・英検準1級|TOEIC730点 3000語

以上のように、英検、TOEIC、必要な英語の語彙の数など、日本人にとって非常にわかりやすい目安が設けられています。

日本人にとってなじみ深いレベル分けがされていることで、手の出しやすさがまるで違います。

「これがいいだろうか? あれがいいだろうか?」と考えていると、英語を勉強する前から疲れてしまいますからね。

「誰でも簡単に、自分の英語レベルに合った教材が選びやすい」という優れた点があるといえます

2.内容の豊富さ

ペンギンリーダーズが収録している内容は豊富です。

童話、有名な映画タイトル、著名人についてなど、豊富な題材の中から自分が興味のある分野を選んで読むことができます。

英語を学ぶのに最適な、英文の質もさることながら、英語の勉強を抜きにしても著名人や世界の名作について知れるので自らの教養にもなります。

以上の「適切なレベル分け」と「内容の豊富さ」から、多読に最適な教材として真っ先におすすめできるシリーズだといえます。

2.ラダーシリーズ

ペンギンリーダーズと並び、多読の教材として最適と名高いのがラダーシリーズです。

ラダーシリーズは、使用する単語を限定して、やさしい英語で書き改められた、多読・速読に最適な英文リーダーです。

巻末にワードリストが付属しているため、辞書なしでどこでも読書が楽しめます。

ラダーシリーズで「はしご (ladder)」を一段ずつ登るように、ステップアップしましょう!

公式ホームページより

ラダーシリーズも、ペンギンリーダーズ同様に「適切なレベル分け」と「内容の豊富さ」を兼ね備えたシリーズです。

英検、TOEIC、使用語彙数で目安が設けられており、また豊富な題材の中から英語の勉強を抜きにしても自らの教養にできる優れたシリーズです。

ラダーシリーズの「ラダー」とは、英語で「はしご」を意味し、はしごを登るように読者の英語力を一段一段上げていくようなイメージで作られています。

1. 適切なレベル分け

ラダーシリーズは、使用する単語を限定して、やさしい英語で書き改められた、多読・速読に最適な英文リーダーで、大きく5段階のレベルに分けられます。

  • レベル1・・・英検4級|TOEIC300-400点 1,000語 
  • レベル2・・・英検3級|TOEIC400-500点 1,300語
  • レベル3・・・英検準2級|TOEIC500-600点   1,600語
  • レベル4・・・英検2級|TOEIC600-700点 2,000語
  • レベル5・・・英検準1級|TOEIC700点以上 制限なし
  • Special Edition・・レベル3-4|中学英語レベルでも無理なく読めるよう巻末のワードリストには全単語の意味を掲載

2. 内容の豊富さ

児童文学、海外文学、日本文学、冒険/ミステリー/SF、バイオグラフィ、ノンフィクションなどさまざまなジャンルがあります。

ラダーシリーズは、ペンギンリーダーズより少し語数が多めですが、さまざまなジャンルの中から自分の興味に合った本を選ぶことができます。

ペンギンリーダーズとラダーシリーズは、多読を始める人が他を差し置いて手に取るに相応しい、多読のバイブルだと言ってもいいです

Aさん
People tend to think that reading a lot is difficult, but if you start with a genre that interests you, English expressions will naturally enter your mind and become easier to for you  understand.
訳)多読は難しいものだと思われがちですが、自分の興味のあるジャンルから始めてみると、自然と英語表現が頭に入ってきて理解しやすくなります。
Bさん
The Penguin Readers and Ladder Series are written in easy English and are easy to understand.
訳)ペンギンリーダーズやラダーシリーズは、容易な英語で書かれているので、理解しやすいですね。

ラダーシリーズの売上ベスト20

ラダーシリーズは5段階の英語レベルで、さまざまなジャンルの本をありますが、どんは本が人気があるのでしょうか。ラダーシリーズの売上ベスト20を紹介します。

  1. The Little Prince 星の王子様
  2. Beauty and the Beast 美女と野獣
  3. The Albert Einstein Story アインシュタイン・ストーリー
  4. The Steve Jobs Story スティーブ・ジョブズ・ストーリー
  5. The Elon Mask Story イーロン・マスク・ストーリー
  6. And Then There Were None そして誰もいなくなった
  7. Introduction to AI Theory and Application AIの未来
  8. Alice’s Adventure in Wonderland 不思議の国のアリス
  9. Roman Holiday ローマの休日
  10. From the Files of Sherlock Homes シャーロック・ホームズ傑作短編集
  11. Murder on The Orient Express オリエント急行殺人事件
  12. The Best of Grimm’s Fairy Tales グリム名作選
  13.  Peter Pan ピーター・パン
  14. 100 Keys for Hope 自分を幸せにする英語100
  15. The Old man and the Sea  老人と海
  16. Ann of Green Gables 赤毛のアン
  17. Run, Melos, Run 走れメロス
  18. Winnie-the-Pooh クマのプーさん
  19. Adventures of Sherlock Homes シャーロック・ホームズの冒険
  20. Long-ago Stories of Japan 日本昔話1  桃太郎ほか

参考:https://ibcpub.co.jp/ladder/ranking30

まとめ

この記事では、人気の英語の勉強法である「多読」について、「多読」とは何なのか、どんなことを目的とした勉強法で、どんな風に勉強していくのか、そしてどんな教材で取り組むのがおすすめなのかをお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、すぐにでも多読に取り組んで英語力を伸ばすための知識が備わっているでしょう。

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語表現をより豊かに出来たら幸いです。