睡眠学習を英語学習に組み込むことで、学習効果をグッと高めることができます。

睡眠学習といわれると「なんだかうさんくさい、怪しそう」だと思われるかと思います。

確かに少し前まで、睡眠学習を売り文句にした商品が乱立し、「科学的根拠に乏しい」として批判の声が多かったです。

しかし、最近になって「睡眠学習は正しく行えば効果的だ」とする科学論文も発表され再び注目を集めています。

この記事では、そんな「睡眠学習」を英語学習に組み込んで、より学習を効果的なものにする方法をお伝えします。

睡眠学習で英語を身につけるための条件

睡眠学習で英語を身に着けるためには、以下の条件があります。

  1. 寝る前に覚えたいことを頭に入れておく
  2. 起きた後に覚えたことを復習する
  3. 寝ている間に、覚えたことに関連する音声を流す

順番に見ていきましょう。

1.寝る前に覚えたいことを頭に入れておく

睡眠学習の効果を最大限に得るために「覚えたいことを寝る前に覚えておく」ことが重要です。

睡眠学習の大前提として、「寝ている間に新しいことは覚えられない」ことが挙げられます。

睡眠学習は、起きている間に覚えたことを睡眠中に脳が自動で整理する特性を活かした学習法だからです。

例えば英単語などの単純な記憶作業を行うとき、「暗記は寝る前が効果的!」というのが英語学習業界で通説になっています。

これには明確な根拠があります。

神経科学に関連した研究論文に特化した「Nature Neuroscience」に掲載された、ドイツのリューベック大学が発表した論文によると、「暗記系の勉強は寝る前にするのが効果的。なぜなら睡眠は記憶の定着作業の必須項目で、脳は寝ることで情報や記憶を整理して保管するから。」との旨が書かれています。↓

参考:Labile or stable: opposing consequences for memory when reactivated during waking and sleep | Nature Neuroscience

このことから、睡眠学習の効果を最大限に得るために「寝る前の勉強」が重要なことがわかります。

2.覚えたことを起きた後に復習する

つづいて、睡眠学習の効果を最大限に得るために「覚えたことを起きた後に復習する」ことが重要です。

なぜなら、以下の2つの理由があるからです。

  1. 朝は脳がクリアで(※)アウトプット作業に最適だから
  2. 記憶の長期定着に最適なタイミングだから

※アウトプットについては詳しく後述します。

順番に見ていきましょう。

1.朝は脳がクリアでアウトプット作業に最適だから

一般的に朝起きた後の2~3時間は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれています。脳が最もクリアで高い集中力を発揮できるのがこの「脳のゴールデンタイム」です。

この「脳のゴールデンタイム」は、想像力を使うクリエイティブな作業や、思考力を使う勉強と非常に相性が良いです。

思考力を使う勉強とは、「知識のアウトプット」を指します。

アウトプットとは、「すでにある知識を使って思考する活動」を指します。

反対に、新しい知識を取り入れることを「インプット」を呼びます。

例えば、英語の勉強でいうと以下の2つがアウトプットとしてイメージしやすいですね。

  • 単語の小テスト
  • 過去問の問題演習
  • 英文の音読

対してインプット作業は以下のようなことです。

  • 英単語の暗記作業
  • 例文の暗記

つまり、睡眠によって脳が整理される前にインプット作業(=単語の暗記)を寝る前に行い、睡眠によって脳が整理された後にアウトプット作業(=覚えた単語の確認)を朝の時間帯に行うのが効果的だといえます。

2.記憶の長期定着に最適なタイミングだから

起きた後のゴールデンタイムは、記憶の長期定着に最適なタイミングだといえます。

英単語などの暗記作業は、長期定着させてこそ本領を発揮(はっき)します。

人間の脳の記憶領域には、「短期記憶」と「長期記憶」があります。

例えば、皆さまは小学校低学年で覚えた「九九」を大人になった今でも忘れることはなく、現在でも使い続けています。

しかし、とっさに告げられた電話番号などの「数字の羅列」などはすぐに忘れてしまうのではないでしょうか?

これが「短期記憶」と「長期記憶」の差です。

英単語も数字の羅列と同様に、せっかく覚えても脳の中で「短期記憶」に割り振られてしまいます。

しかし、短時間でも良いので一度覚えたものを24時間以内に思い出すと、記憶の定着率がグッと伸びることがカナダのウォータールー大学の研究で発表されています。

さらに前述したとおり、朝起きたタイミングはアウトプット作業に最適なタイミングなので、「睡眠による記憶の定着」と「最適な復習のタイミング」のダブルパンチで最適な記憶の長期定着を狙えるということです。

3.寝ている間に、覚えたことに関連する音声を流す

最後に、「寝ている間に、覚えたことに関連する音声を流す」方法です。

例えば、寝る前に英単語帳で勉強していたとしたら、寝ている間にその単語帳のCDやダウンロード音声を流すといったイメージです。

「寝てて意識がないのに、ホントに効果があるの?」と思うかもしれませんが、スイス国立科学財団の研究によると、「睡眠中の外国語の聞き流しに効果がある」とされています。

この研究では、仮眠中に外国語の単語を聞いたグループと、起きている間に単語を聞き眠らなかったグループに分けて、数時間後に単語のテストをしています。その結果、睡眠中に単語を聞き流したグループの方が単語の意味を理解していたそうです。

寝ている間に脳が覚えていってくれるので気軽に行えます。試してみる価値は十分にありますね。(ただし、くれぐれも睡眠の妨げにならない程度に実践しましょう。)

新しく発見された「睡眠学習」の効果

新しく発見された「睡眠学習」の効果

前述の「睡眠学習で英語を身に着けるための条件」の中で、「寝ている間に音声を流すだけで、記憶効率が上がる」という驚くべきことをお伝えしましたね。

確かに少し前までは「睡眠学習を掲げる商品は、科学的根拠が薄い」と非難されてきました。

このことから「睡眠学習は怪しい」とのイメージが持たれてきました。

しかし2012年に、「Nature」に掲載された論文で、なんと「睡眠学習によって記憶を強化できる」との内容が発表され、再び睡眠学習が注目されるようになりました。

論文によれば、ドイツ語のネイティブスピーカーにオランダ語の単語を暗記させ、その後仮眠を取るグループと起きたままのグループに分けました。

その後単語テストを行った結果、仮眠をしたグループは、仮眠をしなかったグループに比べて、単語の意味をよりよく理解していたといいます。

さらに、同じ「仮眠を取ったグループ」に焦点を当ててみても、覚えたものを睡眠中に聞く効果について確認がされています。

journal Nature Neuroscienceに掲載されたある論文によると、あるグループにピアノの曲を2つ練習させ、その後90分の仮眠を取っている時に一方だけの課題曲を聞かせたそうです。すると、睡眠中に聞いた課題曲はもう一方の課題曲と比較して演奏できる被験者が4%多かったことが語られています。

このように、睡眠学習について科学的な根拠が新しく出てきていることがわかりますね。

睡眠学習は復習に最適

前項「睡眠学習で英語を身につけるための条件」で少し触れましたが、睡眠学習で新しい知識は得ることができません。

だからこそ、前提として「復習に効果的な勉強法」という認識が必要です。

最適な時間に最適な勉強をして、効率的に英語を身につけましょう。

睡眠学習を活用して、単語やフレーズを覚えよう!

睡眠学習を活用して、単語やフレーズを覚えよう!

睡眠学習は復習に最適で、インプットしたものを効果的に定着させるのに有効だとお伝えしてきました。

英語学習においては、単語学習や英語のフレーズを効率的に覚えるのに応用ができますね。

寝る前に単語とフレーズを覚え、寝ている間にCDやダウンロード音声を静かに流し、起きてから覚えたものを復習する……という形で効果的に単語やフレーズを覚えていきましょう!

まとめ

この記事では、英語の勉強に睡眠学習を活用する方法についてお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、もうご自身の英語学習に睡眠学習を組み込んで、より効果的にできるかをご存知のことでしょう。

この記事でお伝えしたことで、あなたの英語学習をより豊かになれば幸いです。