上級国民という表現があります。一般の庶民と違うんだとマウントをとるイヤ~な感じですね。もしかしたら、自分を貴族と勘違いしているのかもしれません。
貴族?日本にそんな身分の人いるの?鳥貴族なら行ったよ~と言う方(笑)、1947年まで華族という貴族階級が日本に存在していました。そして、海外に目を向ければまだまだ世襲貴族というような人がいます。
普段の会話で貴族が出てくることはそれほどありませんが、貴族階級や独身貴族など貴族をからめた面白い表現はけっこうあるものです。
そこで今回の記事は日常英会話にあまり出てこない英語「貴族」と、現代でも使われる貴族を使った表現を紹介します。
貴族を英語で訳す
そもそも貴族とは身分や家柄が尊く、社会の上流にいて社会的に特権を持つ上流階級に属する人を指します。特権階級という言い方もあり、特権という部分がキーポイントになります。
noble
noble(ノウブル)は名詞で「貴族・貴族階級の人」、形容詞で「(人が)貴族の・貴族階級に属する」です。
nobleの形容詞には、以下の意味もあります。
(考え・性格が)気高い、高潔な
(行ないが)高貴な考えに基づく、寛大な
(外観が)堂々とした、壮大な
貴族とはこれらを兼ね備えた優れた人物でなければならないのかもしれません。
ここで例文をみてみましょう。
He is connected with a noble family.
訳)彼は貴族の家系と関係しています。
She belongs to a noble and gentle family.
訳)彼女は高貴で立派な家柄の家系に属しています。
これらの例文で分かるのは家系=familyというように意外にも簡単に表現できること、関係していたり(connected)、属している(belongs to)が貴族の家系を話すときの典型的な表現になっているという点です。また、gentle familyのgentleは優しいという他「育ちが良い・立派な家柄」という意味をもつところにも注目です。
貴族の前後の言葉(貴族階級・貴族政治・独身貴族・労働貴族)
ここでは、貴族がついた他の表現をみていきます。もともとある言葉、後から世相に影響されてできた表現、貴族のついた四字熟語がいろいろあります。それぞれの意味と合わせて英語のフレーズを紹介します。
貴族階級
3つの層、上流層・中産総・下層のなかで貴族は上流層であることは分かりますますね。上流層はさらに上から国王&王族、貴族階級、地主階級と分かれていきます。
貴族階級の英語はpeerage(ピアリジ)です。
さらに貴族には、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵という5つの爵位があります。この爵位が貴族の階級です。アニメで伯爵や伯爵夫人など見聞きしたり、男爵イモというように商品のネーミングに使われることがあります。
Duke of Cambridge is a member of the British peerage.
訳)ケンブリッジ公爵は英国の貴族階級の一員である。
貴族政治
貴族政治とは英語でaristocracy(アリストクラスィ)、少数の特権階級を中心に行なわれる政治を言います。
aristocracyは名詞で「貴族政治」の他、「貴族・貴族社会」「上流階級」という意味ももっています。
Aristocracy means politics in which a privileged class of people of high status and family origin, known as the aristocracy, was at the centre of the government.
訳)貴族政治とは、貴族と呼ばれる身分や家柄の高い特権階級が政権の中心を占めて行なった政治である。
aristocracyの名詞aristocratは貴族階級の人の意味もありますが、nobleとの違いが気になりますのでここで確認しておきましょう。
nobleは王や王女から忠誠心を買われ特別な特権や称号を与えられた人、一方でaristocratは社会で最も高い社会階級に属する人のことです。日本語で同じ貴族と言っても、英語ではそれぞれの意味で使い分けされているんですね。
独身貴族
ここまでちょっと固い話が続きました。独身貴族という言葉は皆さんもご存知ですね。
結婚をせず、独身生活を大いに楽しんでいる人を独身貴族と呼びます。独身だけにお金にゆとりがあり、趣味やソーシャルなど、またはファッションにもこだわれます。独身貴族は日本独特の表現ですが、英語では単純にsingle aristocrat, または独身男性のbachelorを使ったaristocratic bachelorなどになります。あ、あの番組バチェラー・ジャパンだと思った人、あのbachelorは独身男性を指すんですね。
Neil is a single aristocrat, he can go on a holiday at least three times a year.
訳)ニールは独身貴族だから、少なくとも年に3回はホリデーに行くのよ。
労働貴族
労働貴族とは労働者のなかの貴族を意味し、一般の労働者よりも特別に高い賃金と安定した社会的地位をもっている人を指します。これらは労働組合、政党など労働者関係の機関で指導的地位にいます。労働を表すlaborとやはりaristocracyの組み合わせになります。
The labor aristocracy enjoys exceptional higher wages and a more stable social position than ordinary workers.
訳)一般の労働者に比べ、労働貴族は格別に高い賃金と安定した社会的地位を享受している。
貴族を使った表現(貴族の地位、貴族のような)
貴族と言えば、ヨーロッパの貴族に限らず日本の公家(くげ)なども含まれます。権力とお金があるというイメージがありますが、そういった印象が表現に使われることがあります。
貴族の地位
筆者の住むイギリスには英国貴族がいます。英国貴族は、公爵/Duke・侯爵/Marqui・伯爵/Earl・子爵/Viscount・男爵/Baronといった5つの階級があります。Duke of Cornwallはチャールズ皇太子、Duke of Cambridgeならウィリアム王子というように使われます。彼らは皆、公爵という階級にあるということですね。
Prince Charles is Duke of Cornwall and he is the eldest son of the reigning British monarch.
訳)チャールズ皇太子はコンウォール公爵で、現職の英国君主の長男である。
貴族のような
「貴族のような」という表現には、優雅な生活をしている、上質なものに囲まれているというイメージがあります。aristocrat(アリストクラト・貴族的な人)を使うことでいろいろ広がります。
I want to live like an aristocrat.
訳)貴族のような暮らしがしたいなぁ。
Hana looks so gorgeous in an elegant dress like an aristocrat.
訳)ハナは貴族のようなエレガントなドレスでとても華やかに見えるね。
まとめ
nobleとは王や王女から忠誠心を買われ特別な特権や称号を与えられた人
aristocratとは社会で最も高い社会階級に属する人
- aristocracy(名詞・アリストクラスィ)は貴族・貴族社会・貴族政治
- aristocrat(名詞・アリストクラト)は貴族階級の人・貴族的な人
- aristocratic(形容詞・アリストクラティク)は貴族の・貴族のような
なかなか巡り会えない貴族の方々ですが、「独身貴族」や「貴族のような」というように生活で使える表現がたくさんあります。
今回の記事をお読みになって、いつもは使わない表現が一つ増えていたら嬉しいです!