日本語の「逆」はいろいろなシーンで使える便利な表現です。しかし、英語で同じように「逆」を表現するにはどうすれば良いかご存知ですか?果たして、すべて同じ単語で事足りるのでしょうか。
ということで、今回のテーマは「逆」です。
結論を先に言ってしまうと、英語で「逆」を表す言葉は1つではありません。意味や文脈によって、さまざまな単語や熟語が使われます。
この記事では、それらの1つひとつを詳しく分類して説明していきます。これを読めば、英語でも日本語と同様の「逆」感が表現できるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「逆」は英語で何て言う?
日本語の「逆」という言葉はとても便利な表現で、以下のように、これ1つでさまざまな意味を表すことができます。
- 「正義の逆は悪です」
- 「日本とアメリカでは走る車線が逆です」
- 「そのポスターは逆向きです」
- 「シャツを逆に着ています」
- 「キャップを逆に被る」
- 「アルファベットを逆から読みます」
- 「靴を逆に履いています」
- 「簡単だと思ったけれど、逆に難しかった」
- 「家にいるなら逆に外出したい」
しかし、これらを英語にする場合はそれぞれ異なる表現を使います。そのため、残念ながら「逆といえばこれ」という決まり表現は無いんです。
「逆」を英語で表すには、それが何の逆を表しているのかをしっかり理解し、適切な表現を選ぶ必要があります。1つずつ詳しく確認していきましょう。
意味が逆
意味が逆、つまり「正反対」になっている場合は “opposite” で表します。読み方は「オポジット」です。
たとえば、「正義の逆は悪」「夏の逆は冬」といった具合です。ほとんどの場合は “the opposite” とthe が付いた形で使われます。
特に、意味が逆の言葉である「反対語(対義語)」を表す際は “the opposite word” と言います。
What is the opposite word of “justice”?
訳)「正義」の対義語は?
It is “evil”.
訳)「悪」だね。
向きが逆
右と左など、向きが逆になっている場合は “the other” で表します。
the opposite と the other はよく似ていますが、その違いは可能性が2つ以上あるかどうかにあります。
たとえば、正義と悪は逆ですが、世の中には正義と悪の「どちらでもない」ものも存在します。このように、可能性が3つ以上あるものの逆を表す際は opposite が適切です。
一方、右と左は逆ですが、「右でも左でもない」という3つ目の可能性はありません。このように、可能性が2つしかないものの逆を表す際は the other が適切でしょう。
とはいえ、実際の会話ではそんな厳密に使い分けがされるわけではないので、「opposite ≒the other」と考えてしまって問題ありません。
We drive on the left in Japan.
訳)日本は左側通行だよ。
But we have to drive on the other way in America.
訳)でも、アメリカでは反対側を運転しなければいけないんだ。
上下が逆
上と下が逆、つまり「逆さま」になっている状態は “upside down” と表します。上側(upside)と下側(down[side])が逆ということで、比較的理解しやすいのではないでしょうか。
ちなみに、「Aの上下をひっくりかえす」と言いたい場合は “turn A upside down” と表現します。
The poster is hung upside down.
訳)ポスターが上下逆にかかっています。
裏表が逆
裏と表が逆になっている、つまり「裏返し」の状態は “inside out” と表します。
内側(insde)と外側(out[side])が逆になっているということで、upside down と同じ構成になっています。
Hey, your T-shirt is inside out.
訳)ねえ、Tシャツが裏返しになってるよ。
For real? It’s embarrassing!
訳)まじ?恥ずっ!
後ろ前が逆
ものの後ろ前が逆になっている状態は “back to front”、あるいは “backward” と言います。イギリス英語の場合は back to front が多く、アメリカ英語だと backward が多い傾向にあるようです。
He always wears a cap backward.
訳)彼はいつも帽子を後ろ前逆に被ります。
左右が逆
ここまでの流れからすると、左右が逆は “leftside to right” とでも言いそうですよね。しかし、このような表現は一般的ではなく、英語には左右が逆という状態をピンポイントで表す表現が存在しません。そのため、「逆で間違っている」と考えて “wrong” で表すのが自然です。読み方は「ロング」です。
Your shoes are on the wrong feet.
訳)靴が左右逆だよ。
Yeah, I dare do it. It’s very fashionable, isn’t it?
訳)うん、敢えて逆に履いてるんだ。めっちゃオシャレじゃない?
Are you serious?
訳)え、本気?
また、wrong はもともと「間違っている」という意味なので、左右以外でも「間違った逆」なら何でも表すことが可能です。
Hello. Where are you now?
訳)もしもし、今どこにいる?
Sorry, I’ve got on the train to the wrong direction.
訳)ごめん、逆方向の電車に乗っちゃった。
順番が逆
順番が逆回転する様子を表す際は “reverse” を使います。読み方は「リバース」です。
身近なところで言うと、自動車のギアにあるRが reverse の略です。自動車をバックさせるためには、ギアを逆回転させなければいけませんよね。
Let’s say alphabets in reverse order.
訳)アルファベットを逆の順番で言ってみましょう。
「逆に言えば」は英語で何て言う?
ここまでは主に位置関係や順番などの「逆」を表す英語表現を確認してきました。続いては、文章や発言の内容が逆であることを表す表現を確認していきましょう。
on the other hand
“on the other hand” は前の発言と逆のことを言う際にとても便利な表現です。他の言葉で言い換えれば「反対に」となります。
My father works weekdays. On the other hand, my mother does weekends.
訳)父は平日働いていて、逆に母は週末働いています。
on the contrary
“on the contrary” は、直前の文内容を否定して「逆に」と主張する際に使います。他の言葉で言い換えると「それどころか」が適切です。この場合、on the contrary の後ろが本当に言いたいことになる傾向にあります。
I thought the video game was easy at first, but on the contrary it was very difficult.
訳)そのゲーム、最初は簡単だと思ったんだけど、逆に激ムズだったんだ。
to put it the other way around
“to put it the other way around” は、同じことの別の側面を言いたいときに使います。「逆に」以外だと「裏を返せば」という訳語が適切です。
I can become friends with anyone, but to put it the other way around, I can’t become friends with anyone.
訳)私は誰とでも仲良くなれる、でもそれは、逆に誰とも仲良くなれないということなの。
Sorry, I don’t get it.
訳)ごめん、わけがわからない。
conversely
“conversely” は、主に論文などの書き言葉で使われるフォーマルな「逆に」です。別の言葉で言い換えると「視点を変えれば」が近いです。
We human beings make efforts when we are imperfect, and conversely, we do nothing when we are perfect.
訳)私たち人類は不完全な時には努力をし、逆に完全な時には何もしません。
vice versa
「逆に」の先が言うまでもない場合は、文末に “vice versa(ヴァイス ヴァーサ)” を付けましょう。言葉を補うと「逆もまた然り」といった意味になります。ラテン語由来の言葉なので、少しあらたまった文脈で使われることが多いです。
We come to know more about Japanese when we study English, and vice versa.
訳)英語を勉強すると日本語についてもっとわかるようになるし、逆もまた同様です。
それって本当に逆?日本語独特の表現「逆に」in English
冒頭で言った通り、日本語の「逆」は非常に便利な表現です。しかしその便利さゆえに、特に意味が逆になっていない場合でも「逆に」と乱用してしまっているケースが多々見られます。
ここでは、そんな日本語独特の「逆に」を敢えて英語に訳すとしたらどうなるかを確認していきましょう。
逆に(むしろ)
日本語の「逆に」が多用されるのは、「むしろ」の意味の場合が大半です。このような「逆に」は rather を用いて表しましょう。
主張として言う場合は “would rather”、接続詞的に使う場合は “or rather” を使います。
I would rather go out than stay home.
訳)家にいるなら、逆に外出したいな。
The meeting was not boring, or rather it was interesting.
訳)ミーティングは退屈じゃなくて、逆に面白かったよ。
逆に(実際は)
単に事実を強調するために添えている「逆に」は、「実際は」を表す actually を添えると近い意味合いになります。
ここまで来ると、もはや何が「逆」なのかわかりませんね。
You are actually smart.
訳)君って逆に賢いよね。
What do you mean?
訳)どういう意味?
逆に(ちなみに)
ただ話題を切り替えるために「逆に」が使われることもあります。そのような場合は「ちなみに」を表す “by the way” を添えると良いでしょう。
ただし、日本語の場合と同様、あまり乱用し過ぎると会話の流れを阻害してしまいます。口癖にならないよう注意しましょう。
By the way, I did A. By the way, I watched B. By the way, I played C.
訳)逆にAしたんだー。あ、逆にB観たわー。そんで、逆にCやってさー。
Stop saying “by the way”!
訳)「逆に」をやめて!
まとめ
今回は、「逆」をテーマに確認していきました。
日本語では一括りに「逆」と言って済ませられることも、英語では細かい意味ごとに表現が異なります。今回ご紹介したことを参考に、その時々に最適な「逆」を表現できるようにしていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!