「アウトローなやつ」または「アウトローな生活」などといった表現を聞いたことはありませんか?
かしこまった場所やビジネスシーンではあまり好まれない言葉ですが、テレビやインターネット動画では耳にしたことがある人も多いですよね。
普段の会話でもしばしば耳にする「アウトロー」は、英語”outlaw”に由来したカタカナ言葉です。
日本語では、社会からのはみ出し者的な意味合いで用いられることが多いですが、英語ではどのような意味を表すのでしょうか。
今回は、映画タイトルにもなっているカタカナ言葉「アウトロー」について、英語の意味と用法、そして類義語を解説していきます。
「アウトロー」の意味
「アウトロー」は、不良や無法者を表す言葉として広く用いられているカタカナ言葉です。
英語”outlaw”に由来しており、法の保護や社会秩序から外れた人物を表します。
「アウトロー」と聞くと、「社会不適合者」のような、かなりネガティブなイメージを持たれる場合がほとんどですよね。
しかし、音楽においては一つのジャンルとして地位を確立しており、本業に加えてブログやSNSなどで「アウトロー」な生きざまを発信し、ファンからの共感・人気を集めているケースもあります。
「アウトロー」の定義は、国や地域、文化、慣習などによっても違います。
暴力や窃盗、薬物など、罪を犯す者は当然として、それ以外にも法は順守しているものの、社会生活におけるモラルやマナーを欠いたような人物を含んでいる場合もあります。
法に触れる行為は許されないにしても、服装や言葉遣いなどは、しばしば個性の一つとして認められる風潮になり、よっぽどのことでない限り許容されるべきとも考えられています。
「アウトロー」の類語としては、以下のような日本語があります。
チンピラ、不良、ヤンキー、暴走族、ならず者、地回り、やくざ、ごろつき、暴力団、極道、無法者、一匹狼など |
上記のような言葉で表現される人たちは、社会の規範を重んじる人から「アウトロー」と見なされがちです。
一般的に、服装や生活態度に問題があるとされ、中学や高校などの学校生活においては特に厳しく指導される傾向が強いです。
服装や髪型が奇抜な人や、目立った行動を取る人などが、偏見で「アウトロー」の括りに入れられてしまうことも少なくありません。
必ずしも悪い意味で用いられるのではなく、ときには人々を魅了したり、羨望のまなざしを向けられたりする「アウトロー」。
「犯罪者」や「無法者」というよりは、もう少しマイルドなイメージで「不良」「やんちゃ」「奇抜」のような意味もあると理解しておくと良いでしょう。
「アウトロー」の使用例
「アウトロー」の使い方には以下のような表現があります。
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「アウトロー」という言葉自体がタイトルになった映画がありましたね。
2012年に公開された映画「アウトロー(原題: Jack Reacher)」は、観たことがある人も多いのではないでしょうか。
ジャック・リーチャー作のベストセラー小説「アウトロー(原題: One Shot)」を原作とし、まさに「アウトロー」な主人公の生き様を描いた作品として大ヒットしました。
トム・クルーズ主演ということもあり、映画ではとてもかっこよく描かれ、憧れた人もいるかもしれません。
フィクション作品では注目と人気を集めるような「アウトロー」ですが、実際のところは、過度な偏見や差別を受け、生きづらさを感じることもあるでしょう。
年齢とともにちょっと違う「アウトロー」な自分を改め、一般社会に溶け込むよう努力している人もいるかもしれません。
「アウトロー」は、良い意味も悪い意味も持っている表現なので、状況や話し相手によって適切に使い分けることが大切です。
”outlaw”の意味
「アウトロー」の元になっている英語”outlawは、名詞、動詞、形容詞3つの用法を持つ英語です。
名詞の場合は、「無法者」や「(逮捕に至っていない)犯罪者」を指し、おもに法律違反を犯す人を指しています。
動詞の場合は、「違法にする」あるいは「法的に禁止する」という意味で使われることが多いです。
形容詞としての使用頻度は低いですが、「犯罪者の」または「法律違反の」といった意味で用いられるので合わせて覚えておくと良いでしょう。
辞書では、以下のように定義されています。
- a person who has broken the law and who lives separately from the other parts of society because they want to escape legal punishment
法を犯し、法的処罰から逃れたいがために社の他の人々を離れて暮らす人- to make something illegal or unacceptable
違法または容認できないことをする
”outlaw”は、「〜の外」を表す”out”と「法律」を表す”law”を組み合わせた単語で、法から外れた者=「無法者」「ならず者」を意味します。
法律を無視するような無法者や犯罪者を指した名詞の他に、「禁じる」「法で規制する」など違法行為を禁止する意味で動詞としても使われます。
”outlaw”の発音記号は、 /ˈaʊt.lɔː/ で、「アウッロゥ」のように読みます。
カタカナで言う「アウトロー」と違い、英語では「ト」とはっきり発音しません。
英語で正しく発音できるようしっかり習得しておきましょう。
”outlaw”は、古ノルス語の”utlagi”(無法者)と”utlagr”(追放された)に由来した中世英語”utlaga”(法律の外に置かれた人)が語源といわれています。
動詞”utlagian”(追放する、非合法宣言する)の意味も合わさり、「誰かを法の保護と恩恵を受けられないようにする」という意味で使われるようになり、現在の”outlaw”に変化してきました。
”outlaw”を使った例文
日本語の「アウトロー」と同じ意味で使える英語の”outlaw”。
使用頻度の高い名詞と動詞の用法を、それぞれ例文で確認してみましょう。
名詞としての”outlaw”
訳)ギャングのリーダーは、無法者として悪名高い人物でした。
訳)彼は幼い頃から無法者でしたが、その後人生を好転させました。
訳)昨夜、駐車場で見かけた不審な男は、逃亡中の犯罪者でした。
動詞としての”outlaw”
訳)新しい法律では、公共の場での喫煙が禁止されます。
訳)その州は、保護林での狩猟を禁止しました。
訳)未成年者の飲酒は、何年も前に法律で禁止されました。
”outlaw”の類語
「無法者」や「ならず者」を意味する”outlaw”は、他にもいろいろな英語に言い換えられます。
「罪を犯した者」や「曲がり者」などを表す英語を紹介します。
criminal
”criminal”は、法律に違反したり、罪を犯したりした人を意味する名詞です。
まだ逮捕されていない状態も含む”outlaw”に対し、”criminal”は、刑事事件として確定されたものに使われます。
形容詞としては、「犯罪的な」「非合法な」という意味でも用いられますよ。
訳)彼の行為は、裁判官によって犯罪であるとみなされました。
felon
”felon”は、おもに「凶悪犯罪者」と訳され、特に重い罪を犯した者を意味する名詞です。
殺人や強盗など、重大で深刻な犯罪を指して使われます。
訳)友人が重罪犯となり、刑務所に入ったなんて信じられませんでした。
bandit
”bandit”は、「泥棒」や「山賊」といった悪党や犯罪者を表す英語です。
法を犯す者や危険人物として使われることが一般的ですが、西部劇や冒険小説などに登場する悪役キャラクターとして描かれることもあります。
訳)旅行者は、危険な道中で強盗に遭わないよう気をつけなければなりませんでした。
crook
”crook”は、「曲がる」「湾曲する」「盗む」といった意味を持つ英語です。
「不正行為」や「詐欺」を指した隠語としても使われることがあります。
訳)報道によれば、警察が悪党を逮捕したそうです。
まとめ
映画タイトルとしても知られているカタカナ言葉「アウトロー」について、英語の意味と用法、そして類義語を解説しました。
「アウトロー」は、英語”outlaw”をカタカナ表記した言葉です。
「無法者」や「犯罪者」などを表す点では、同じような使い方ができますが、英語”outlaw”には「禁止する」という意味で動詞としての用法もあります。
フィクションではかっこよく憧れの存在として描かれる「アウトロー」は、実際には偏見や軽蔑の眼差しを向けられることも少なくありません。
名詞と動詞、両方の用法と意味とを理解し、”outlaw”を正しく使いこなしていきましょう。
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