日本語の「身につける」は非常に便利な表現です。「洋服を身につける」などと、実際の身体につける場合だけでなく、「知識を身につける」と抽象的に身につけることも表せます。

では、そんな「身につける」を英語で表すにはどうすればいいでしょう。これらの使い方にピッタリ当てはまる表現があるのでしょうか。

ということで、今回のテーマは「身につける」です。日本語の「身につける」という表現の意味を確認しつつ、英語で同様の意味を表す表現について詳しく確認していきます。

これを読めば、英語でも「身につける」というニュアンスを表現できるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

そもそも「身につける」ってどういう意味?

「身につける」を表す英語表現を確認する前に、まずは「身につける」という日本語が表す意味について確認しておきましょう。

この表現には「身に着ける」「身に付ける」という2種類の漢字表記が存在しますが、それぞれ以下の意味を表します。

  • 身に着ける:具体的な身(身体)に付ける⇒着る
  • 身に付ける:抽象的な身(自分自身)に付ける⇒知識や技術、習慣などを習得する

日本語の場合、これらは同じ「身につける」という動詞に集約されているものの、実際はまったく異なる意味です。そのため、英語で表現する際は、それぞれ異なる表現に翻訳する必要があります。

それでは、「身に着ける」と「身に付ける」に分けて、具体的な英語表現を確認していきましょう。

「身に着ける」in English

「身に着ける」in English

日本語の「身に着ける」、つまり「着る」に相当する英語表現は “put on” と”wear” です。

とはいえ、それぞれに表す意味合いが少し異なるので、詳しく確認していきましょう。

「身に着ける」①:put on

“put on” は「着る」という動作を表します。発音はそのまま「プット オン」ですが、実際は縮まって「プトォン」と聞こえます。

put は「置く」、on は「上に」という意味なので、put on は直訳すると「(身体の)上に~を置く」という意味。まさに「身に着ける」という日本語ピッタリの表現です。

洋服から帽子、アクセサリーまで、身体の上に着けるものなら何にでも使うことができます。日本語が「着る」「履く」「着ける」などとアイテムによって使い分けることを思うと、英語の方が簡単ですね。

Aさん
Once you put on this shirt, you’ll never want to take them off.
訳)このシャツを一度着たら、もう脱ぎたくなくなりますよ。
Bさん
Are you kidding…not kidding.
訳)そんなバカな…マジだ。

 

「身に着ける」②:wear

“wear” は「着ている」という状態を表します。そのため、「身に着ける」というより「身に着けている」に相当します。発音記号は「wéɚ(wéə)」、カタカナだと「ウェアー」と発音します。

wear は先述のput on と同様、洋服に限らず身に着けるもの全般に使うことができます。しかし、live や know と同じように「~している」を表す状態動詞なので、「着る」という動作を表すことはできません。put on は「動作」、wear は「状態」と使い分けましょう。

Aさん
You always wear the hat, don’t you?
訳)その帽子いつも被ってるよね。
Bさん
Yeah, it is like a part of me.
訳)うん、もう僕の一部みたいなもんだね。

 

「身に付ける」in English

「身に付ける」in English

日本語の「身に付ける」、つまり「(知識や技術、習慣などを)習得する」に相当する英語表現は “acquire”、”gain”、”learn”、”develop” の4種類です。

とはいえ、それぞれに表すニュアンスや、習得するものが異なります。1つずつ詳しく確認していきましょう。

「身に付ける」①:acquire

日本語の「身に付ける」に最も近いニュアンスなのは “acquire” です。発音記号は「əkwάɪɚ」、カタカナで表すと「アクワイアー」となります。

acquire は、ある程度の時間をかけ、努力をして何かを手に入れることを表します。具体的な物を手に入れる場合だけでなく、知識や技術といった目に見えないものを習得する際にも使われます。そのため、日本語の「身に付ける」と同じく、知識・技術・習慣すべての習得を表すことができます。

Aさん
I want to acquire knowledge and skills about PC.
訳)パソコンに関する知識と技術を身に付けたいです。

「身に付ける」②:gain

“gain” は、価値ある知識や技術を身に付けることを表します。発音記号は「géɪn」、カタカナだと「ゲイン」です。

gain の語源である “gein” は、古英語で「利益」を意味する言葉でした。そこから、gain は「何か価値あるものを手に入れる」という意味を表すようになりました。

知識や技術といった「能力」は、基本的にすべて価値あるものなので gain を使って表すことができます。その一方、習慣の場合は良くも悪くも「癖」であり、価値があるとは限らないため、gain はあまり使われません。

Aさん
You should gain a profound knowledge of English.
訳)あなたは英語の深い知識を身に付けるべきです。

「身に付ける」③:learn

“learn” は、何かを学ぶ(勉強する)ことによって身に付けることを表します。発音記号は「lˈɚːn」、カタカナだと「ラーン」です。

learn は study と同じように、勉強によって何かを習得することを表します。たとえば、知識や技術の場合、先生から教わったり、教科書を使ったりして学ぶことができるので、learn で表現可能です。

Aさん
I learned a lot of knowledge in my schooldays.
訳)私は学生時代に多くの知識を身に付けました。

その一方、習慣は基本的に、人から教わったり本などで学習したりしないものなので、learn で表すことは稀です。

「身に付ける」④:develop

前出の gain や learn と異なり、習慣を身に付けることを表せるのが “develop” です。発音記号は「dɪvéləp」、カタカナだと「ディヴェロップ」となります。

develop は本来「発達させる、発展させる」で、何かをコツコツと積み重ねることを表します。そのため、日々の繰り返しによって身に付く習慣を表すにはピッタリです。

Aさん
I’ve developed a healthy eating habit.
訳)私は健康的な食習慣を身に付けました。

しかし、習慣の中には不本意に身に付いてしまう「悪い習慣」もあります。その場合はコツコツとした積み重ねでなく、気が付いたら勝手に身に付いていた(持っていた)ことになるので、have を使って表す方がよいでしょう。

Aさん
I’ve had an unhealthy eating habit.
訳)不健康な食習慣が身に付いてしまいました。

まとめ

今回は「身につける」というテーマでお話ししてきました。

日本語の「身につける」には「身に着ける(着る)」「身に付ける(習得する)」という2種類の意味があり、それぞれに相当する英語表現が異なっています。

今回ご紹介したことを参考に、英語でも場面に合わせて「身につける」を的確に表現していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!