人の上に立ち指示をしたり責任を負う人、それが監督です。映画やスポーツの世界、そして現場監督といったように多くのシーンで監督がいます。

さて、監督を英語で言うと?
日本語では一つの表現で済むものの、英語ではシーン別に使い分けるということがよくあります。「監督」にしてもそうなんですね。

この記事では、各業界別に「監督」の表現を学びます。この機会に英語表現の迷いを無くしていきましょう。

映画監督

世界中に映画ファンがいます。出演している役者が好き、ラブコメやアクションなどジャンルが好きなど、それぞれの好みがはっきり分かれるところです。お子さんがいれば、春休みや夏休みにはディズニーやMarvelの新作を観るのが定番というご家庭もあるのではないでしょうか?

そして、◯○監督が好きというパターン。この映画監督の作品はすべて観ているといった会話も聞かれることがありますね。
映画監督とは、一つの作品を作り上げるために工程から完成まですべての責任を担う人のことです。ハリウッド俳優クリント・イーストウッド氏は映画監督としても有名ですね。

さっそく、英語の表現を2つ紹介しましょう。

a film director
a movie director

filmもmovieも映画という意味です。筆者の住むイギリスではmovieよりfilmが断然使われています。
そして、映画監督はdirectorと呼ばれるところに注目しましょう。

このdirectorをさらに詳しくみてみます。
directorを辞書で調べると「導く人・指導者」「重役・取締役」「製作責任者」そしてオーケストラの「指揮者」といった意味があることが分かります。名刺にdirectorと書いてあれば、その企業の取締役ですね。
映画監督という点では「映画・テレビ番組などの監督」があります。
日本語ではディレクターという言葉もありますが、英語directorの発音はダイレクタァという感じになります。
directorを分解してみるとさらに理解が進みます。directorはdirect(監督する・指示する)+ or(〜する人)で構成されているのです。

映画監督の使い方を例文で確認しましょう。filmはすべてmovieに置き換えられます。

Aさん
I would like to become a film director in the future.
訳)将来、映画監督になりたいと思っています。
Aさん
His wife is a film director in France.
訳)彼の奥さまはフランスで映画監督をされています。
Aさん
Who is your favourite film director?
訳)好きな映画監督は?
Aさん
Clint Eastwood is famous not only as the actor but also as a film director.
訳)クリント・イーストウッドは俳優としてだけでなく、映画監督としても有名だよね。

このように、監督は監督でも映画制作の携わる人はa film directorまたはa movie directorになります。

スポーツ競技の監督

スポーツ競技の監督

さて、スポーツ競技の監督です。皆さんはdirectorで伝わると思いますか?
実はスポーツ業界の指揮者については、基本的に「a head coach」と「a manager」という2つの表現が使われます。どちらも、アスリートをトレーニングし育成するプロフェッショナル。一般のコーチ陣よりも知名度も報酬も高くなります。

a head coach

バスケやアメリカンフットボール(アメフト)などでは監督をa head coachと呼ぶことがよくあります。何人かコーチがいる場合でも、ヘッドコーチはそのトップです。

Aさん
The head coach of the basketball trained the team to win the national competition.
訳)バスケットボールの監督はチームを全国大会で優勝させるために鍛えた。
Aさん
The leadership by the head coach of the American football was not good enough and the members lost their motivation.
訳)アメフトの監督の采配がうまくいかず、メンバーのモチベーションが下がってしまった。

a manager

サッカーや野球、また卓球に至っても、いくつかのスポーツでは監督をmanagerと呼びます。managerも分解してみると、manage(管理する)+ er(~する人)で構成されています。
例えば、英語で野球監督はbaseball manager、サッカー監督ならfootball managerといった具合です。フットボール発祥の国イギリスではプレミアリーグがトップのリーグですが、監督は必ずmanagerと呼ばれます。マンチェスターシティのペップ・グアルディオラ氏、リヴァプールのユルゲン・クロップ氏などかなり有名ですね。人気が高く、テレビコマーシャルに出演ということもあります。

Aさん
Harrison has been a manager since last year.
訳)ハリソンは去年から監督を務めている。
Aさん
The football manager was delighted with the result.
訳)そのフットボールの監督は結果に喜んでいた。

a head coachとa managerの違いは?

ヘッドコーチとマネージャー、この2つの違いとは何でしょう。
例えばフットボールチーム。マネージャーは一般的にチームの運営と機能に関して権限を持つ人物です。必要であればチームに選手を加えることへも関わります。プロのスポーツであれば実際の競技指導で止まらず、経営や運営にも関わるためmanage(管理する)+ er(~する人)なんだと考えると覚えやすいですね。
一方、ヘッドコーチは基本、チームの勝利を確実にすることが第一の任務です。

コーチと監督、英語で違う?

コーチを調べるとcoach、監督をみてみてもmanagerに加えてcoachが出てくるので少し混乱してしまうかもしれません。
さらに、日本語で言うコーチは監督をサポートするassistant coachの意味になっていたりします。
よって、監督と言いたいときに英語でコーチだと言うと、外国人にとっては日本人が使うassistant coachと理解され本来の監督と取られないことも。監督がアシスタントコーチと呼ばれるということになり、これは全くの間違いになってしまいます。

普段、日本語として使っている言葉が英語から生まれたものでも、その使われ方が違うことがあるという例になります。これらを面白いと思えるようになると、英語学習が楽しく感じられるのかもしれません。

~を監督する

~を監督する

ここまでは、監督という人についてみてきましたが、最後は「〜を監督する」という動詞としての表現を紹介しましょう。

direct

「直接の・遠慮のない」のdirect(ダイレクト)には「映画を監督する」という意味があります。映画監督がa film directorであることからも、映画と言えばdirectと関連する言葉を使うということをぜひ覚えましょう。

Aさん
One day I want to direct an action film.
訳)いつか、アクション映画の監督をしたいな。

supervise

仕事・組織・人間を監督する場合、supervise(スーパーヴァイズ)が使われます。指揮する、また監視するという意味もあります。また、superviseは子どもの安全面を考えたときの見守りというニュアンスも含みます。

Aさん
I’ll supervise the Math exam tomorrow.
訳)明日、数学の試験を監督します。

監督する人をsupervisor(スーパーヴァイザァ)と呼びます。英語で現場監督もsupervisorになります。

oversee

特に人や仕事を監督(監視)するときに使うのがoversee(オウヴァースィー)です。「離れてこっそり見る」というニュアンスも含みます。

Aさん
We must employ someone to oversee the next project.
訳)次プロジェクトを監督する人を雇わなければなりません。

まとめ

  • 映画監督 a film director/a movie director
  • スポーツ競技の監督 a head coach/a manager
  • ~を監督する direct/supervise/oversee

監督という言葉一つとっても、英語にすると異なる表現があることが分かります。適切な表現を使えるようになるには失敗をしながらも継続は力なり!頑張りましょう。