ディクテーションは英語のリスニング力を高めるのに優れた勉強方法として知られています。
ディクテーションを適切に実践すれば、英語のリスニングが苦手な人でも効果的にリスニング力を養い、得意分野にすることもできます。
この記事では、ディクテーションが英語力に与える大きな効果と、具体的に何を使ってどのようにディクテーションをすれば良いのかをお伝えします。
ディクテーションとは?どんな勉強方法?
ディクテーションとは、流れる英語音声を聞いて、そのままペンやタイピングで書き留めていく勉強法を指します。
英語の音声を使い、高い集中力で英語を書き留めていくので、リスニング力を養うトレーニングとして英語学習者に人気の高い勉強方法です。
ディクテーションにはどんな効果がある?
ディクテーションを実践することで、リスニング力の大幅アップを期待できます。
その根拠は主に以下の通りです。
- 高い集中力で取り組める
- リスニングの正確さが増す
- 自分の苦手を「見える化」できる
- 文字(つづり)と音声のギャップをダイレクトに認識できる
順番に見ていきましょう。
1.高い集中力で取り組める
ディクテーションは高い集中力で取り組めます。
なぜなら、少しでも気を抜いて音声を聞き逃すと、一気に音声に置いていかれてしまうからです。
ディクテーション中は聞き取った音声を書き留めている間も、止まることなく音声が流れ続けます。
不意に気を抜いて音声を聞き逃してしまうと、聞き逃してしまった部分は音声を巻き戻さないとわからないままです。
さらに一度わからない部分があると、その先の音声を聞き取るのにも支障が出ますし、何より音声を聞き終わった後に聞き取れなかった部分が空白になっているのは悔しさを伴いますよね。
なので「ふとした聞き逃し」を避けるために、高い集中力で取り組む環境が自然にできるのがディクテーションなのです。
こうした点から、「ディクテーションは音声が止まることなく流れ続けるため、高い集中力で取り組める勉強方法である」と言えます。
2.リスニングの正確さが増す
ディクテーションを実践することで、リスニングの正確さがグッと伸びることが期待できます。
なぜなら、聞いた音声を文字として書き留めることで、より具体性を増した形で残す作業をしているからです。
ディクテーション中は聞こえた英語の音声を文字として紙に書き留める必要があります。
それはつまり、普段は意味だけを追って理解しようとしている英語を、文字という「より具体的な形に変換している」と言えます。
文字という具体的な形で書き留めるために、より正確に聞き取ろうとする意識が働くので、ディクテーションを実践することでリスニングの正確性がグッと伸びることが期待できるということです。
3.自分の苦手を「見える化」できる
ディクテーションを実践することで、自分の苦手を「見える化」できます。
なぜなら、音声で聞き取れた部分も聞き取れなかった部分も、紙に形として残るからです。
ディクテーションをやった後には、自分が音声を書き留めた紙が残ります。
その紙を見れば、自分が何を聞き取れなかったのか、英単語がわからなくて聞き取れなかったのか、LとRが区別できなくて聞き取れなかったのか、音声の連結(リエゾン)がわからなくて聞き取れなかったのか、ゆっくりと分析することができます。
自分の苦手分野がわかっていれば、嫌でも苦手を埋めるために意識して取り組みますし、意識した分だけ改善されていきます。
ディクテーションは紙に書き留める勉強方法だからこそ、苦手分野が見える化されて効果的にリスニング力アップに貢献するということですね。
4.文字(つづり)と音声とのギャップをダイレクトに意識できる
ディクテーションを実践することで、英語の文字(つづり)と音声とのギャップ(差)をダイレクトに意識できます。
英語の文字(つづり)と音声とのギャップをダイレクトに意識できると、リスニング力がグンとアップします。
例えば、あなたはこんな経験をしたことがありませんか?
↑こうした「知ってる表現なのに聞き取れなかった」現象は、まさに「文字(つづり)と音声とのギャップ」によって引き起こされるんです。
では「文字(つづり)と音声とのギャップはと何なのか?」という話になるなのですが、ここでまた一つ例を挙げましょう。
あなたは「An apple」をどんな風に読むでしょうか?
文字通り読めば「アン アップル」になるでしょう。
しかし英語の発音では「An apple」を「アナァ ポゥ」と発音されます。
英語の文字では「An」と「Apple」の間にスペースがあるのに、実際に発音されると「An」の「n」と「Apple」の「A」が合わさって「ナ」と発音されるし、「Apple」の「le」も「ル」なのに「ゥ」と発音されるわけです。
このように、英語では文字(つづり)がそのまま読まれるわけではなく、アルファベット同士が連結したり、Appleの「le」のように、そもそも日本語の発音とは違う場合もあるわけです。
これが「文字(つづり)と音声とのギャップ」だというわけですね。
そしてディクテーションを実践することで、音声の「アナァポゥ」を「An apple」として認識する練習ができますし、音声から文字(つづり)、文字から単語や熟語のまとまりを認識する練習につながるわけです。
以上のことから、「ディクテーションを実践することで、文字(つづり)と音声とのギャップを強く意識し、結果リスニング力を大きくアップさせるのに役立つ」と言えます。
ディクテーションはどんな教材でやると良い?
ディクテーションは音声と紙とペンがあれば実践できる勉強法ですが、中でもより効果的に取り組める教材は以下の通りです。
- 単語帳の例文音声
- TOEICのPart1,2の音声
なぜ↑の教材がより効果的かというと、以下の要素が理由です。
- 文の長さがディクテーションにちょうどいい
- スクリプト(音声の台本)がある
文の長さがディクテーションにちょうどいい
まず、単語帳の例文音声もTOEICのPart1,2の音声も、文の長さがディクテーションにちょうどいいです。
前提として、ディクテーションは長い英文音声で実践する勉強方法ではありません。
なぜなら、音声を「読む」スピードよりも、「書く」スピードの方が遅いからです。
これを読んでいる皆様は日本語のネイティブスピーカーですが、日本語の日常会話やアナウンスが読まれるスピードで日本語を書き取っていくのは難しいでしょう。
英語ではなおさらそうです。
なので、英単語帳の例文音声やTOEICのPart1,2などの、短い文章を集中して書き留めていくのがディクテーションにマッチしていると言えるわけです。
スクリプト(音声の台本)がある
単語帳の例文音声やTOEICのPart1,2音声には、ほとんどの場合スクリプト(音声の台本)があります。
スクリプトを確認して初めて自分が書き留めた英文が合っていたかどうかを確認できるので、スクリプトの有無で学習効率は大きく変わります。
以上の「文の長さがちょうどいい」「スクリプトがある」という点から、単語帳の例文音声とTOEICのPart1,2の音声が、ディクテーションの教材にとても適した教材だと言えるわけですね。
まとめ
この記事では、ディクテーションが与える英語のリスニング力への効果の高さ、具体的にディクテーションを実践するために最適な教材についてお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、ディクテーションがどんな勉強方法であるのか、なぜディクテーションが英語学習に人気な勉強法なのか、具体的にディクテーションはどの教材を使って行えば効果的かをしっかり理解しているでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより豊かにできれば幸いです。