英語を勉強する中で、形容詞はとても大切な役割を果たしています。
形容詞は、人やものの性質や特徴を表す言葉です。形容詞を使うと、自分の言いたいことをもっと正確に、分かりやすく伝えることができます。
この記事では、英語の文法の中での形容詞の基本的な使い方や、使い方によって意味がどのように変わるのかを、例文を使ってくわしく説明します。
また、形容詞と似ている品詞の副詞との違いについても説明しますので、形容詞の役割がよりはっきりと理解できるでしょう。
形容詞の使い方をマスターすれば、あなたの英語の表現力はぐんぐん上達しますよ。
形容詞とは何か?その役割と重要性
英語を身につけるうえで、必ず理解しておかなければならない品詞のひとつが形容詞です。
形容詞とは、物や人の特徴、性質、状態などを描写するために用いられる単語のことを指します。
形容詞を上手に使うことで、自分の伝えたい内容をより正確かつ詳細に相手に伝えることができます。
私たちが言葉で物事を表現する際、主に名詞を中心とした話題になることが多いでしょう。
例えば、人であれば”Mr. Smith”(スミスさん)、物であれば”apple”(リンゴ)、事柄であれば”picnic”(ピクニック)などです。
ただ名詞を並べただけでは、具体的に何を言いたいのかが相手に伝わりにくくなってしまいます。
でも、形容詞を使うことで表現の幅が広がり、ニュアンスを細かく伝えることができるのです。
The hardworking student studies hard every day.
訳)勉強熱心な学生は、毎日一生懸命勉強します。
ここでは “hardworking”(勤勉な)という形容詞が“student”(学生)という名詞を修飾し、学生がどんな人かを表しています。
She wore a stunning red dress to the party.
訳)彼女はパーティーに素敵な赤いドレスを着ていました。
この例文では “stunning”(素敵な)と “red”(赤い)という2つの形容詞が “dress”(ドレス)という名詞を描写し、ドレスの特徴を伝えています。
The old bicycle made a lot of noise as he rode down the street.
訳)彼が通りを走るときに、古びた自転車がガタガタと音を立てました。
ここでは “old”(古い)という形容詞が “bicycle”(自転車)という名詞を修飾し、自転車の状態を表現しています。
形容詞と副詞のちがい
形容詞と似たものに副詞があります。
形容詞が名詞の状態などを説明するものであるのに対し、副詞は動詞や形容詞の状態などを説明するものです。
例えば「ゆっくりとした動き」と「ゆっくり動く」という2つの表現は、一見すると同じ意味に見えるかもしれません。ですが、前者では「ゆっくりとした」という形容詞が「動き」という名詞の状態を表しているのに対し、後者は「ゆっくり」という副詞が「動く」という動詞の状態を表しています。
これは、英語の場合でも同様であり「ゆっくりとした動き」は “slow action” 、「ゆっくり動く」は “slowly act” となり、それぞれ “slow” は形容詞、”slowly” は副詞として扱われます。
以下の例文でちがいを確認してみましょう。
The slow movement of the dancer was graceful and elegant.
訳)ダンサーのゆっくりとした動きは、優雅で洗練されていました。
The dancer moved slowly across the stage, captivating the audience.
訳)ダンサーはステージ上をゆっくりと動き、観客を魅了しました。
“slow”は形容詞として“movement”(動き)という名詞を修飾し、“slowly”は副詞として“moved”(動いた)という動詞を修飾しています。
英語における形容詞の基本的な使い方
形容詞は、英語の文章や会話の中でよく使われており、人やものの特徴や状態をより詳しく正確に伝えるためには欠かせません。
形容詞を適切に使いこなすことで、自分の意図や考えを相手にわかりやすく伝えることができるのです。
ここでは、英語における形容詞の基本的な使い方について見ていきましょう。
名詞を前から修飾する場合
形容詞の最もよく見られる使い方は、名詞の前に置いてその名詞の状態や特徴を表すことです。
例えば、「赤いリンゴ」を英語で表現する場合、”red apple”のように形容詞 “red” を名詞 “apple” の前に置きます。
この語順は日本語と同じであるため、日本人にとってはわかりやすいと言えるでしょう。名詞を前から修飾することで、話題の対象をより具体的に指定することができます。
I like red apples better than green apples.
訳)私は緑のリンゴよりも赤いリンゴの方が好きです。
“apple”だけでは、聞き手はあらゆる種類のリンゴを想像しなければなりませんが、”red apple”と言えば、赤いリンゴに限定されます。
さらに、”red and sweet apple”のように複数の形容詞を用いれば、「赤くて甘いリンゴ」という具合に、より詳細な情報を伝えることができるのです。
I’m looking for red and sweet apples to use in my pie recipe.
訳)私はパイを作るために、赤くて甘いリンゴを探しています。
ただし、形容詞と名詞の語順には例外もあります。
“something”、”anything”、”nothing”などの不定代名詞を形容詞で修飾する場合、形容詞は後ろに置きます。
つまり、「何か新しいもの」は”something new”と表現し、”new something”とは言いません。
I want to experience something new this weekend.
訳)今週末は何か新しいことを体験したい。
be動詞に続けて用いる場合
形容詞のもう一つの重要な使い方は、be動詞(am, is, are, was, were)の後ろに置いて、主語の状態や特徴を表すことです。
英文は、主語、動詞、目的語、補語の4つの要素で構成されています。このうち、主語と動詞は文として成立するために必須の要素です。形容詞を名詞の前に置くだけでは、完全な文にはなりません。
例えば「リンゴが赤い」という文を作る場合、”red apple”だけでは文として成り立ちません。リンゴ(apple)と赤い(red)を結びつけるためには、”The apple is red.”(そのリンゴは赤い)や、”Apples are red.”(リンゴは赤い)のように、be動詞を使う必要があります。
The flowers in the garden are beautiful.
訳)庭の花々は美しいです。
主語は “The flowers”(花々)、動詞は”are”(〜です)、そして形容詞”beautiful”(美しい)が補語(主語の説明役)として使われています。
The new restaurant on Main Street is popular among locals.
訳)メインストリートにある新しいレストランは、地元の人々の間で人気があります。
主語は “The new restaurant on Main Street”(メインストリートにある新しいレストラン)、動詞は”is”(〜です)、そして形容詞”popular”(人気がある)が補語として使われています。
感覚動詞の後に置く形容詞
英語では、感覚動詞(sense verbs)と呼ばれる動詞の後ろに形容詞を置いて、主語の状態や特徴を表すことができます。
感覚動詞には、以下のようなものがあります:
- look(〜に見える)
- sound(〜に聞こえる)
- smell(〜のにおいがする)
- taste(〜の味がする)
- feel(〜に感じる)
これらの感覚動詞の後ろに形容詞を置くことで、主語がどのように見える、聞こえる、におう、味がする、感じるのかを表現できます。
The music sounds beautiful.
訳)その音楽はとても美しい響きです。
感覚動詞 “sound”(〜に聞こえる)の後ろに、形容詞 “beautiful”(美しい)が置かれています。
これによって「その音楽=とても美しい響き」という主語の状態が表現されています。
The flowers smell sweet.
訳)その花々は甘い香りがします。
感覚動詞 “smell”(〜のにおいがする)の後ろに形容詞 “sweet”(甘い)が置かれ、「その花々は甘い香りがする」という主語の特徴が表現されています。
このように、感覚動詞の後ろに形容詞を置くことで、主語の状態や特徴をより具体的に描写することができるのです。
これは、be動詞の後ろに形容詞を置く場合と同じ機能を果たしているといえます。
形容詞の語順
英語で複数の形容詞を名詞の前に置く場合、たいていは以下の語順に従います。
Opinion(意見) > Size(大きさ) > Age(年齢) > Shape(形) > Color(色) > Origin(由来) > Material(材質) > Purpose(目的)
この語順は、「OSASCOMP(オサスコンプ)」や「OSACOMP(オサコンプ)」などの頭文字で覚えることができます。
例えば、「a beautiful large old rectangular red French wooden writing desk」(美しい大きな古い長方形の赤いフランス製の木製の書斎机)という表現では、以下のように形容詞が並んでいます:
- Opinion(意見):beautiful(美しい)
- Size(大きさ):large(大きな)
- Age(年齢):old(古い)
- Shape(形):rectangular(長方形の)
- Color(色):red(赤い)
- Origin(由来):French(フランス製の)
- Material(材質):wooden(木製の)
- Purpose(目的):writing(書斎用の)
The writer’s new office features a beautiful large old rectangular red French wooden writing desk, which serves as the centerpiece of the room.
訳)作家の新しいオフィスには、美しい大きな古い長方形の赤いフランス製の木製の書斎机があり、部屋の中で際立った存在となっています。
この例文では、「a beautiful large old rectangular red French wooden writing desk」という複数の形容詞が「OSASCOMP」の語順に従って並んでいる句が使われています。
ただし、実際の会話や文章ではこれほど多くの形容詞を使用することはなく、多くの場合2〜3個の形容詞を使って名詞を修飾します。
また、この語順は絶対的なルールではありません。状況や文脈に応じて、形容詞の順序が変わる場合もあります。
具体例から見る形容詞の意味の違い
形容詞は名詞や代名詞を修飾し、それらの特徴を表す品詞です。しかし、同じ形容詞でも、使い方によって意味合いが変化することがあります。
ここでは具体的な例を見ながら、形容詞の使い方による意味のちがいを見ていきましょう。
名詞の前に置く場合とbe動詞に続けて使う場合の違い
同じ形容詞でも、名詞の前に置くか、be動詞に続けて使うかによって、表す意味が異なる場合があります。
例えば、“old”という形容詞は、“his old high school”のように名詞の前に置くと「彼が以前通っていた高校」という意味になります。
I visited my old hometown and met some of my old friends.
訳)私は以前住んでいた故郷を訪れ、昔の友人たちに会いました。
しかし “his father is old” のようにbe動詞の後ろに置くと「彼の父親は年老いている」という意味になります。
My grandfather is quite old, but he’s still very active and healthy.
訳)私の祖父はかなり年老いていますが、まだまだ元気で健康です。
このように、形容詞の位置によってニュアンスが変わるので、伝えたい内容によって使い分けが必要です。
名詞とセットでしか使われない形容詞
一部の形容詞は、特定の名詞とセットでのみ使われます。
例えば、“bridal”(花嫁の)という形容詞は、“bridal season”(花嫁の季節)のように名詞と組み合わせて使われます。しかし”This season is bridal”のように単独で用いると不自然な表現になります。
The bridal shop offers a wide selection of beautiful wedding dresses.
訳)そのブライダルショップでは、美しいウェディングドレスを幅広く取り揃えています。
同じように、“indoor”(室内の)も “indoor dress”(室内着)のように名詞とセットで使われるのが一般的で、”He is indoor”のように単独で使うことはありません。
The indoor swimming pool is perfect for exercising on rainy days.
訳)室内プールは雨の日の運動にぴったりです。
これらの形容詞を使う際に、名詞の組み合わせに注意することで、自然で分かりやすい英語表現ができます。
be動詞とセットで使われる形容詞
名詞ではなく、be動詞とセットで使われる形容詞もあります。
代表的な例は、“alive”(生きている)です。
“He is alive”(彼は生きている)のようにbe動詞と共に使われますが、“alive person”のように名詞と直接組み合わせることはできません。
Despite the serious accident, the driver is still alive and recovering in the hospital.
訳)深刻な事故にもかかわらず、運転手はまだ生きており、病院で治療中です。
他にも、“alone”(ひとりで)、”asleep”(眠って)、”awake”(目が覚めて)、”due”(支払われるべき)などの形容詞は、be動詞とセットで用いられます。
The baby is asleep in her crib, so please be quiet.
訳)赤ちゃんが眠っているので、静かにしてください。
形容詞を使いこなせれば英語の表現力が飛躍的に高まる
この記事では、形容詞の使い方やルール、使い方による意味のちがいなどの基本をお伝えしました。
形容詞にはいくつかの用法があるのですが、それを正しく理解して使いこなせるようになれば、英語の表現力を大幅に高めることが可能になります。
形容詞を駆使して微妙なニュアンスを伝えられるようになれば、海外に行ってもコミュニケーションに苦労することがなくなります。
英語をマスターしたいのであれば、まずは形容詞の使い方をしっかりと学ぶようにしましょう。