日本語には地域によって方言がありますね。テレビで話されている日本語は問題なく理解できるのに、旅先でその土地の人の話す言葉がわからなかった、なんていう経験をされた方もいるのでは?
日本語に方言があるように、英語にも方言はあります。むしろ異なる国でも話されている英語は、日本語より多種多様な方言があるといえるかもしれません。
そこで今回は、方言の英語での表現や国ごとや地域ごとの英語の方言、いわゆる標準語とされる英語についてご紹介します。
英語を勉強する際に方言が気になる方はぜひ参考にしてくださいね。
方言って英語で何て言う?
まずは「方言」の英語を確認しましょう。「方言」は英語では「dialect」といいます。例えば関西弁は英語では「Kansai dialect」と、dialectの前に地名を付けて表現します。
似たような表現に「accent」があります。「accent」が意味するのは「訛り」。
「dialect」と「accent」はよく似ていますが、実はその意味は異なります。その違いを確認しましょう。
dialectとaccentの違い
「dialog」は、ある地方でのみ使われる言葉のこと。そこには、文法や単語などの言葉の違いが含まれます。
一方「accent」は発音やイントネーションの訛りを意味します。
「dialog」と「accent」の違いを日本語で具体例を用いて説明しますね。
- dialect :ばってん、ほかす、めんそーれ、めんこいなど
- accent:「橋」「歯」「手」「目」などは東京と関西ではイントネーションが異なる
「dialect」は言葉自体がその土地特有のもののため、理解しにくいことがありますが、「accent」はイントネーションが異なるだけで、同じ言葉を使っているため比較的理解しやすいでしょう。
ただし、日常会話ではそこまで厳密に使い分けなくても大丈夫。カジュアルな会話では、「accent」を「方言」の意味で使うことのほうが多いです。アクセントが異なる関西弁も、「Kansai accent」ではなく、「Kansai dialect」でOKです。
彼女は日本語訛りのある英語を話す。
現地の方言を理解するのは難しかった。
英語には方言がいくつある?
英語を使っている国は世界で約80カ国。それぞれの地域で使われている英語に特徴があるため、約160種類もの方言があるとされています。これらの方言は英語が伝わった背景から、大きくアメリカ英語とイギリス英語の二つに分かれます。
- アメリカ英語:アメリカ、カナダ、フィリピン、プエルトリコなど
- イギリス英語:イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インド、香港など
イギリス英語はかつてイギリスの植民地化にあった国を中心に使われています。アメリカ英語を使う国はイギリス英語と比べるとそれほど多くありませんが、使用している人口はイギリス英語よりも多いのが特徴です。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
アメリカ英語とイギリス英語の主な違いを確認しましょう。
大きく違うのは、次の4つです。
1:スペル
英文を読んでいて、「あれ、スペルが違う」と思ったことはありませんか?アメリカ英語とイギリス英語では単語のスペルが異なることがあります。代表的なものをご紹介します。
アメリカ英語 | イギリス英語 |
er
theater center |
re
theatre centre |
or
favorite color |
our
favourite colour |
ize
realize apologize |
ise
realise apologise |
og
dialog catalog |
ogue
dialogue catalogue |
2:発音
アメリカ英語とイギリス英語は発音が異なります。比較的ローマ字読みに近いイギリス英語の方が聞き取りやすいと感じる人が多いかもしれませんね。
アメリカ英語とイギリス英語の代表的な発音の違いは次の3つです。
- Tの発音:アメリカ英語では「T」の音はきちんと発音されないが、イギリス英語でははっきり発音。
アメリカ英語 | イギリス英語 | |
water | ワーラー | ウォーター |
party | パーリー | パーティー |
- Rの発音:アメリカ英語では舌を巻いて発音するが、イギリス英語では発音が控えめ。
アメリカ英語 | イギリス英語 | |
store | ストアー | ストー |
car | カアー | カー |
- Aの発音:アメリカ英語では「エィ」、イギリス英語では「ア」と発音。
アメリカ英語 | イギリス英語 | |
can | キャン | カン |
tomato | トメィト | トマト |
3:文法
アメリカ英語とイギリス英語、文法にも違うポイントがあります。
- 過去形・過去分詞の末尾
アメリカ英語で過去形や過去分詞の末尾がedになるものの中には、イギリス英語ではtになるものがあります。
アメリカ英語 | イギリス英語 |
learned | learnt |
burned | burnt |
dreamed | dreamt |
- 集合名詞の扱い
アメリカ英語では単数として扱われる集合名詞がイギリス英語では複数扱いされることがあります。
アメリカ英語 | イギリス英語 |
My family lives in Japan. | My family live in Japan. |
- takeとhaveの違い
日本語では「する」という意味で広く使われる「take」と「have」ですが、アメリカ英語ではtakeが、イギリス英語ではhaveが好んで使われる傾向があります。
アメリカ英語 | イギリス英語 |
take a bath | have a bath |
take a break | have a break |
4:単語
アメリカ英語とイギリス英語では単語が異なるものがあります。
アメリカ英語 | イギリス英語 |
fall | autumn |
soccer | football |
elevator | lift |
bill | note |
cab | taxi |
英語に標準語ってあるの?
日本語には標準語があります。標準語とされているのはいわゆる東京で話されている言葉ですね。
英語をマスターしたいのなら、「標準の英語を話せるようになりたい」と思うでしょう。では、英語に標準語はあるのでしょうか?
端的に言うと英語に標準語はありません。
ご紹介したように、アメリカ英語とイギリス英語にも違いがあります。大きく分けるとアメリカ英語に分類される、カナダやフィリピン、プエルトリコの英語にもそれぞれ訛りや方言はありますし、イギリス英語であるニュージーランドやオーストラリア、インドや香港の英語にもそれぞれの特徴があります。
標準語は英語では「standard language」といいますが、これだけの国と地域を越えて話されている英語にいわゆる「スタンダート」を決めることはほぼ不可能と言えるでしょう。
世界中には、英語が母国語の人よりも学習して英語を身につけた人の方が多いもの。重視すべきは「標準語」ではなく「伝わる英語」かもしれませんね。
まとめ
今回は英語の方言についてご紹介しました。同じ英語でもイギリス英語とアメリカ英語には違いがあります。どちらが正しくて、どちらが間違っているではなく、どちらも正しい英語。わたしたちも「正しい英語」にとらわれず、できるだけ多くの人とコミュニケーションが取れるように、いろんな英語を聞いて、柔軟に対応できる英語力を身につけたいですね。