日本だけでなく、世界中で使われたもっとも古い武器のひとつが「槍(やり)」です。槍は、長い柄の先に刀剣がついた形になります。

ところで海外にもある槍ですが、どのような英語になるのでしょう?

この記事では、普段ほとんど見ることのない武器「槍」の英語について取りあげます。海外の槍、また外国人が稽古する槍術という武道、オリンピック競技の槍投げ、または”横槍を入れる”といったフレーズなど、幅広く紹介しましょう。

槍の英語とその読み方

槍は、一端が鋭い金属の尖った棒状の武器で、手に持ったり投げたりして使います。映画などで、鎧を着た兵士が槍を持ってお城のゲート前で待機しているようなイメージがあるのではないでしょうか?海外の美術館でも、古い槍が展示されていることがあります。
日本の槍を見てみると、先端の金属の長さや形の違いで、素槍・銀杏穂槍・菊池槍・平三角槍などなど多くの種類があります。

槍は英語で「spear」

さて、槍の英語は「spear」になります。
1本の槍はa spearまたはthe spear、2本以上であればspearsと複数形にします。
発音はスピアのような感じで、歌手のブリトニー・スピアーズの名前はBritney Spearsなので近いですね。また、asparagus spearならアスパラガスの芽という意味で、確かにアスパラは槍のような形をしていると言えるかもしれません。
ここで、一気にspearを覚えてしまいましょう。

spearの使い方を例文で紹介

それでは、spearという単語を使えるように、具体的な例文を挙げてみましょう。

Aさん
A spear is a pole weapon with a pointed tip.
訳)槍は、先端が尖った棒状の武器です。

シンプルな英文ですが、槍の状態をしっかりと表しています。

Aさん
It’s said the first stone-tipped spears in the early days were used by the Neanderthals.
訳)初期の、最初の先端が石の槍はネアンデルタール人によって使用されたと言われています。

ネアンデルタール人は、大昔にヨーロッパで出現した化石人類です。約20万年前とも40万年前にいたとも言われ、人類にもっとも近い親類です。このネアンデルタール人はマンモスやゾウなどの大きな動物を狩猟して生活していました。その狩りに石の槍を作って使っていたんですね。
英語学習をしていて興味のある方への情報ですが、ロンドンのNatural History Museum(ロンドン自然史博物館)にはネアンデルタール人の展示があります。

spearとペアに使うshield

武器には種類が多くありますが、槍とペアのようにして使う盾(たて)があります。盾は英語でshield(シールド)になります。

兵士が片手にspear、もう片方の手にshieldを持てば対戦の準備になります。セットにして覚えることをおすすめします。

Aさん
A shield is made of a piece of metal or other material and is carried to protect the front of the body when being attacked.
訳)盾は金属または他の材料でできており、攻撃されたときに体の前面を保護するために携帯される。

「槍で突く」「竹槍」といった表現を紹介

「槍で突く」「竹槍」といった表現を紹介槍は投げることもありますが、片手に持って突いて使うのが一般的な武器です。そして、竹槍という槍もあります。
それらの英語表現を紹介しましょう。

槍で突く

槍で突かれたらとても痛そうですね。明智光秀の娘で悲劇の女性細川ガラシャは家臣に部屋の外から槍で突かせ亡くなりました。

”槍で突く”は英語で「stab with a spear」で表現します。
stab(スタブ)はナイフなど鋭利なもので突き刺す、人を中傷するときに使われる単語です。殺人事件で誰々が刺された、というときにもstabが使われます。

Aさん
A spear is used for stabbing.
訳)槍は突くために使われる。
Aさん
The enemy stabbed our soldier with a spear in front of us.
訳)敵は、目の前で私たち側の兵士を槍で突いた。

竹槍

槍のなかでも竹槍という槍があります。竹の幹の先端を斜めに切って尖らせ、本来の槍の代わりに日本で使われました。
竹はご存じのとおりbambooで、bamboo spearにすることで”竹やり”を表現します。

Aさん
It was a terrible time when women and young boys were trained to fight with bamboo spears to protect their own country.
訳)女性や少年が自分の国を守るため、竹槍で戦うように訓練されたのは恐ろしい時代だった。

武道「槍道」の英語

槍道(そうどう)という武道があります。筆者は剣道道場をイギリスで運営しており、少し興味があって調べてみました。

槍術は英語でSojutsu

槍は初期の日本神話で重要な役割を果たしていたそうです。そして江戸時代、槍が大名の格式を表す道具になります。そして、槍術という武道に多くの流派が生まれました。

今では槍術を教えているところはほぼないようですが、全日本槍道連盟があり、独自のルールで活動しています。剣道に関しては全日本剣道連盟になりますが、異なる団体です。

試合ルールは剣道と同じ面・小手・胴、そして垂れというものがあり、試合場のなかでこれらのポイントを槍で打突して競います。

イギリスで槍術?!

歴史系の日本映画やドラマが好きな外国人にとっては、薙刀(なぎなた)などはある程度知られているでしょうが、イギリスで槍術を学べるのかという興味で調べてみました。すると、いくつか見つかりました。
5日間の集中講座で400ポンド(約73,000円)のような道場がありました。

Aさん
This is a 5 day intensive course specially focused on the practical use of the Spear.
訳)槍の実践的な使い方に特化した5日間の集中コースです。

参考:Seal Martial Arts:

競技「槍投げ」の英語

競技「槍投げ」の英語オリンピック競技に”槍投げ”があります。助走をつけて、槍をいかに遠くへ投げるかという競技です。槍投げの世界記録保持者は98.48メートルという記録を打ち出したそうです。98メートルと言えば、横浜のみなとみらいビルの高さくらいにもなるといいますから、どうやって細い棒をそんなに飛ばせるのかまったく想像ができません。

槍投げの英語はjavelin throwing

javelin throwingが陸上競技の槍投げの英語になります。
javelin(ジャヴェリン)は、特に競技用のヤリ、そして古代・中世のジャベリンという武器の意味があります。そのジャヴェリンをthrow(投げる)んですね。

Aさん
The world record for javelin throwing is 98.48m.
訳)槍投げの世界記録は98.48メートルだ。
Aさん
It’s important that you throw the javelin when your arm is as high as possible.
訳)腕をできるだけ高く上げた状態で槍を投げることが重要です。

「横槍を入れる」の英語

”横槍を入れる”の意味を知っていますか?
そもそもは戦いのとき、横合いから槍で突きかかることを言っていましたが、私たちにとっては、第三者が急に口を挟んでくるような状況に使うほうが自然ですね。

”横槍を入れる”の英語はinterrupt

interruptという単語には、一時的に「中断する・遮断する」、「妨害する・邪魔する・割り込む」といった意味があります。さらに、”横槍を入れる”にピッタリな「(人の話を)遮る」「〜の話の腰を折る」「〜に口を挟む」「チャチャを入れる」の意味もあるんです。

ネイティブがよく使うフレーズ”Sorry to interrupt you”は、人が話しているときに、どうしても聞きたいことがあるときなどやむを得ず、口を挟むときの声がけ”ちょっとさえぎってすみません”に使われます。

Aさん
Stop interrupting when I’m speaking!
訳)私が話しているときに、横槍を入れないで!
Aさん
He interrupted our conversation again!
訳)彼、また私たちの会話に横槍を入れたよ!

英語圏の人たちは特に、この辺のマナーをわきまえている印象があります。interruptしないよう気をつけましょう。

「槍」の英語まとめ

槍の英語はspearということが分かりました。日常英会話で使えるフレーズ”横槍を入れる”はinterruptで表すことも紹介しました。
普段は馴染みのない槍ではありますが、関連用語から語彙数を増やすことができます。
引き続き、英語学習を続けていきましょう!