昨年末に話題沸騰となったサッカーワールドカップ、惜しくも勝利を勝ち取れず苦い思いをした日本でしたが、クロアチア戦では同点に並び日本中、いや世界中が注目を集めた瞬間でもありました。

さて、このような会話を英会話で用いる際に「同点」はどのように表現すればよいのでしょうか。引き分けを意味することばで、「ドロー」という単語を聞きます。英語で「draw」と綴りますが「絵を描く」を意味する「drawing(ドローイング)」のスペルと同じです。

なぜ同じ単語でこうも意味が違うのか。どんな競技にも使えるの?draw以外の「引き分け」は?drawingとどうやって使い分けるの?これらすべての疑問質問にお答えすべく、本記事で「draw」を徹底解説!

品詞によって変わる!draw意味とは?

1.ものを引く

動詞・名詞で使われる「draw」。この「draw」の基本的な意味は「引っぱる」です。そのほかにも「近づく」「引き抜く」「描写する」などの意味を持っています。一見するとそれぞれの意味の関連性は薄そうに感じられますが、絵を描く意味で使われるdrawは「えんぴつなどで線を引く」というイメージで、やはり「引く」がキーとなります。ちなみにdrawを名詞で使うと「引き分け」や「くじ引き」といった意味にもなります。

海外でATMを使用した経験がある方だと「withdraw」(預金引き出し)も頭に浮かぶのでは。

冒頭にも述べたように、drawの基本的な意味は「引き出す/引っ張る」です。そう考えると身近にあるものでは「引き出し」は英語で「drawer」なのも納得がいきますね。

動詞としての「draw」

「draw」は不規則変化する動詞で、過去形は「drew」、過去分詞は「drawn」です。
「draw」の基本的な意味は「引く・引っぱる」ですが、その中でも大きく3つのイメージに分けられます。

  1. ものを引く(引っ張る、引き出す)
  2. 何かが自分に近づく(引きつける)
  3. 描く(線を引く)

このように3つの「引く」に分けられるのですが、それぞれニュアンスが異なります。
以下例文を交えて解説していきます。

名詞としての「draw」

「draw」を名詞として使う際にはどのような意味になるかを解説します。

日本語でも「勝負が引き分けになる」ことを「ドロー」と言いますが、この「ドロー」は「draw」を使います。
「draw」は動詞だけでなく名詞としても活用でき、名詞で使う際にこの「引き分け」や「くじ引き」という意味を持ちます。

動詞では引く・引っ張るなどの意味で活用できることを解説しました。同じ「draw」の単語を使うのに、ドローイング(描写)や引き分けといったように、相容れない意味合いで同じ単語が用いられることに結びつきがないように感じられます。しかしこれまでの基本的な「draw」が持つ、平行的に何かものを引く動作の意味合いが含まれているところから、ペイントとは違い、線を引きながら描く「ドローイング」と、平行を意味する「引き分け」の間にも共通点があることが見えてきます。

Aさん
The game resulted in a draw.
訳)その試合の結果は引き分けに終わった。
解説)「result in …」は「結果は…に終わる」という意味の熟語です。

Aさん
The game was a draw.
訳)その試合は引き分けだった。

【動詞編】「draw」の意味と例文と慣用句

2.何かが自分に近づく(引きつける)

1.ものを引く

一言に「引く」と言っても、ドアノブや綱など、一点にぐっと力を入れて自分の方向に引く動作の「pull」であったり、ピンと平行に引っ張る「stretch」とも違い、「draw」は軽い力でなめらかに何かを引っ張る、または引き抜く動作を表します。
カーテンや紐(ひも)などがイメージしやすいと思います。日本語では上記いずれの動作も「引く」の単語で表現できますが、「draw」の引くは牽引(けんいん)の意味合いも含まれています

「引く」に関してまとめた記事はこちらです!

Aさん
Would you draw the curtains?
訳)カーテンを引いてもらえますか?
※カーテンを開ける時にも閉める時にも使えます。

Aさん
My son fell asleep in the cart so I had to carefully draw the cart on my way home.
訳)息子がカートの中で寝落ちしちゃって、帰りは気を付けて引っ張って帰らなきゃいけなかった。
Aさん
Nervousness made me draw a belt tight.
訳)緊張のあまりベルトを引く手に力が入った。
Aさん
He drew 100,000 yen from his bank account.
訳)彼は銀行口座から10万円引き出しました。

 

2.何かが自分に近づく(引きつける)

「pull」の方の引くはdoor、cloth、handなど物理的に手に取ることができる物や人などが目的語に結びつきやすいですが、「draw」は物理的に何かを引く以外にも、attention や conclusion など、抽象的な表現にも使うことができます

Aさん
Her beautiful eyes drew my attention.
訳)彼女の美しい目に惹きつけられました。
Aさん
His witty and funny speech drew all audience.
訳)彼の機転の利いた面白いスピーチは会場全ての人を惹きつけた。

「引き出す」というところから draw a conclusion「結果を出す/導き出す」という意味にもなります。フレーズで覚えておくといいでしょう。

Aさん
We drew a conclusion about Children bilingualism from an article.
訳)我々は、この論文から子どものバイリンガリズムについてある結果を導き出した。
Aさん
The third test result was the key to drawing a conclusion.
訳)三回目の実験結果がこの結論を導き出すキーとなった。

そのほかにも、物ではなくても、イベントや季節などの抽象的な表現にも使えます。

Aさん
Christmas is drawing near.
訳)クリスマスが近づいています。

3.描く(線を引く)

日本語でもドローイングは「絵を描く」という表現と一致しますよね。

Aさん
Draw a straight line between points A and B.
訳)点Aと点Bの間に直線を引きなさい。
Aさん
She drew a picture of her family.
訳)彼女は家族の絵をかきました。
Aさん
I’ll draw a rough map from the station to my house.
訳)駅からうちまでの略図をかきます。

draw以外の「描く」の意味をもつ英単語は?

3.描く(線を引く)

ペイントもスケッチも描写も日本語では全て「絵を描く」と表現できますが、英語では「draw」「paint」「sketch」などそれぞれ異なる単語で、どのような種類の「描く」なのかを使い分けます。この3つの使い分けに関しては以下の記事に詳しく記載しています。

是非参考にしてください!

draw以外の「引き分け」の意味をもつ英単語は?

draw以外の引き分けを表現する英語

では「引き分け」を表現する単語はdraw以外にどのような単語があるのでしょう。おそらくすぐに思い浮かぶのは「tie」ではないでしょうか。ドローと同じく日本語でも「引き分け」の意味での「タイ」はよく耳にしますよね。

この「draw」と「tie」どちらも同じように「引き分け・同点」として世界的に広く使われています。

ただしクリケットに関しては別で、「tie」か「draw」かでゲームの内容が変わってきます。また、サッカーでは「tie」も「draw」も比較的同じように使われるのに対し、ラグビーでは「tie」はほぼ使われず「draw」と表現する傾向にあります。

このように、競技のルールによる定義の違いなどはありますが、クリケットについて熱く語り合ったりでもしない限り「それ、間違ってるよ!」などと厳しい指摘を受けることもないと思うので(笑)あくまで「例外」として頭の隅に置いておきましょう。

むしろクリケットに精通する人を見つけたら、

Aさん
I heard that tie and draw are different meanings in cricket is that true?
訳)クリケットではタイとドローの意味がそれぞれ違うって聞いたんだけど、ほんと?

などと率先して聞いてみれば、熱く解説してくれるかもしれません!

文脈によっては「引き分け」と言い換えることもできますが、「点数が同じ」ことを強調したいときは「引き分け」ではなく「同点」と言いたい場面もありますよね。引き分けと類似する表現「同点」についてもご紹介します。

「引き分け」を意味する表現 draw / tie

Aさん
Hey, I missed the last night’s game how did it end?
訳)ねえ、昨日の試合見逃しちゃったんだけど、どうなった?
Bさん
Well, it was pretty dramatic. Japan was winning in the first 30 minutes but Spain caught up and ended in a tie in the first half.
訳)なかなか劇的な試合だったよ。前半30分は日本が勝ってたんだけど、スペインがスコアを決めて追いついて前半は同点に終わった。
Bさん
Then in the second half, Spain did very aggressively and got scored like in 5 minutes. Spain caught momentum and they went threw with their best motivation.
訳)後半は凄い勢いでスペインが攻めて最初の5分で点を入れたんだ。その後も最高のモチベーションでスペインの波だったよ。
Bさん
Honestly, I thought Japan would be lost but guess what. Japan scored in the last 5 minutes. That’s how that game ended draw.
訳)正直日本はこのまま負けるかなーって思ってたんだけど、なんとラスト5分でスコアを決めて最後は引き分けに終わったってわけ。
Aさん
What an exciting game was! Unbelievably I missed it!
訳)そんな熱戦を見逃しちゃったなんて、自分でも信じられない!

さて、この例文で試合の説明をするBさん、前半の説明のときは「tie」を使っているのに、後半戦で引き分けに終わった説明に関しては「draw」を使っています。これはただその時の気分で分けたのではなく、ちゃんとした理由があるのです。
同じ引き分けを意味する「tie」と「draw」ですが、「draw」には最終結果の意味合いも含まれています。そのため、後半戦が終わり最終結果となった「引き分け」には tie ではなく「draw」を使ったのです。
どちらも使っても決して間違いというわけではなく、特に大きな問題にはなりませんが、前述したように「draw」を使うことによって、その試合全体の最終結果に結びつくということは頭に入れておくといいでしょう。そこを理解した上で使うことで、ちょっとした誤解を招くリスク回避にもなり、スムーズに会話が進むはずです。

「同着」を意味する表現 dead heat

デッドヒートも馴染みがある言葉ではないでしょうか。英語の綴りは「dead heat」です。これは一斉のスタートでゴールに着いた順番により優劣を決める競技、例えばマラソン、競走、競馬などによく使われ「同着」を意味します。

Aさん
Go! Go for it!
訳)いけ!がんばれー!
Bさん
Which one are you following?
訳)どれ応援してるの?
Aさん
The red one. Look it is winning…. wait. no no no…
訳)赤い馬だよ。ほら、ダントツで勝ってる。。。え、ちょっとまって。。。
Bさん
Yeah, the yellow one is catching up and just behind.
訳)うん、黄いろがすぐ後ろに追いついたね。
Aさん
No way! was it dead heat!? I saw the red one was won!
訳)うそだ!今の同着!?赤が勝ったの見たって!
Bさん
It was dead heat sorry.
訳)うんにゃ、同着だったね、残念。

ここで自分の知っているデッドヒートとは意味が違うなと思ったあなた。英語の「dead heat」では同着を意味しますが、いわゆる和製英語で「デッドヒート」というと「熱戦」や「接戦」を表すことになり、英語との意味合いが少し違ってきます。「熱戦・接戦・激戦」と表現したいときは「close game」が適切です。

Aさん
Mmhhm…. This is so hard to guess which is going to win.
訳)うーん…これは勝敗の予測が難しい試合だな。
Bさん
Same here. This is going to be a close game.
訳)同感。これは激戦になるぞ。

「同点」を意味する表現 tied score / even score

tied score

「tie」は「引き分け」として使えると説明しました。引き分けと表現する場合には名詞で使いますが、動詞を過去形にした「tied」と、得点を意味する「score」と一緒に使うことで「同点」と表現できます。

Aさん
This game ended with a tied score.
訳)この試合は同点に終わった。

even score

「even」は色々な意味と使い方がありますが「等しい・平らな」などの意味から、「score」と一緒に使うことで同点の意味になります。使い方は「tied score」と同じです。その時の自分の表現したい「同点」と「引き分け」を使い分けてみてください。

Aさん
Do you know how the match between Japan and Spain ended up?
訳)スペイン戦がどう終わったか知ってる?
Bさん
It ended with an even score.
訳)同点に終わったよ。

試合を意味する単語で「match」と「game」がよく使われますが、これらふたつの使い分け、みなさんは知っていますか?どっちを使うべきか迷う「試合」に関する表現も以下の記事を参考にしてください!

まとめ

「draw」は「引き分け」だけでなく、さまざまな表現に応用できる単語であることを解説してきました。

普段であれば「Pulling cartain」や「Her smile got my attention」などと言うところを、あえて「Drawing cartain」「Her smile draw my attention」などに言い換えてみてはいかがでしょう。表現がより豊かになり、会話の輪も広がるはず。

そして「draw」以外にも様々な「引き分け」があることもご紹介しました。

日本語では「引き分け」や「同点」以外にこれらに類似した言葉はそう多くありませんが、英語だとさまざまな表現方法があります。どのタイミングで使うのか、その単語を動詞として使うのか、名詞として使うのか。また、自分がどういった表現をしたいのかなどで、それらの単語の使い方が変わってきます。

「引き分け」だけではない「Draw」の持つ意味、また「Draw」 だけではない「引き分け」の表現。正しく理解し何気ない日常の英会話をもっともっと楽しみましょう!