英語を学んでいる皆さんが留学を考えるとき、イギリスでtier1~tier5という5段階の異なるビザを目にされたことがあるかもしれません。このtierは、ゲームやビジネスでも使用される表現であることをご存知ですか?
この記事では、英語tierについて意味と使い方を例文とともに解説します。イギリスの各種ビザtier1~tier5、ゲームやビジネスでどう使用されているかについても紹介しましょう。
tierの意味
tierは名詞と動詞の使い方があり、カタカナ語の読み方はティアのようにします。以下、名詞と動詞に分けてtierの意味を紹介します。
名詞tierの意味
名詞tierの意味は「層」や「階層」です。物事をいくつかに分け、段階的に設定・配置・順位を示すようなときにtierを使用します。語源を見ても「層・階層」の意味を持つラテン語tearisであることからも理解できます。
例えば、スポーツ観戦やコンサートで行くスタジアムの座席だったり、結婚式の豪華なウェディングケーキは何層にもなっていますが、こういった各レベルやランクがtierです。
ちなみに、tierの類語にはrank/level/gradeなどが挙がります。
動詞tierの意味
tierが動詞になると「~を段々に並べる」や「積み上げる」の意味になります。どちらもいくつかのものが層になって、横または縦に重なっているイメージがあります。
tierの使い方を例文で紹介
ここでは、名詞と動詞のtierの使い方を紹介します。それぞれに分け、具体的な例文で確認しましょう。
名詞tierの使い方
tierは数えられる名詞・可算名詞です。複数の層やレベルを述べるときには必ずtiersと-sをつけましょう。
訳)私たちは3段のウェディングケーキを注文しました。
上から下に向かってケーキ台が大きくなっていくウェディングケーキをイメージしてください。それぞれが重なり合って層ができます。その状態をtiersで表現しています。
ちなみに、ウェディングケーキが登場したのは18世紀、イギリスのビクトリア女王の結婚式に使われたのが始まりと言われています。この時代から2段でも5段でもない、3段のウェディングケーキだったこと、皆でケーキを分け合うことから「幸せ」の象徴とされてきました。
訳)スタジアムの上段に座っている友達が見えるよ。
スポーツ観戦やコンサートでは事前に席のチケットを購入します。段々となった席をtierが表現しています。上段のエリアはthe upper-tier seating areaとすることもできます。
動詞tierの使い方
動詞tierの活用は、tier-tiered-tieredです。tierはおもに名詞として使用される単語ですが、動詞の例文もみておきましょう。動詞の意味は「~を段々に並べる」「積み上げる」でしたね。
訳)ロンドンの劇場の座席は急勾配になっています。
何年も前になりますが2018年、The King and Iのロンドン公演を観に行きました。渡辺謙が主演を務めたことでも話題になりました。この時のシアターはウエストエンドのThe London Palladium。2階・3階はかなりの勾配になっていました。この例文でもあるとおり、steeply(急勾配で・急な角度で)な配列に並べられた席を受動態tieredで表しています。
ご興味のある方は、以下のThe London PalladiumWebサイトをご覧ください。
The London Palladium
イギリスのtierシステムとは?
英語を学んでいる皆さんにとって、将来海外へ留学することも考えられているかもしれません。または、イギリスに留学したよ、という人にとってはtierは親しみのある言葉でしょう。ここでは、イギリスにおけるtierを紹介します。
イギリス滞在のためのtierビザ
イギリスビザ制度は2008年に大幅な改革がありました。2021年以降は段階的な見直しがあるなか、5つのtierに分かれていたビザ制度も廃止されました。それまでのtierビザシステムでは、以下のような分け方になっていました。
tier1 起業家・投資家ビザ
tier2 就労ビザ
tier3 非熟練労働者ビザ
tier4 成人の学生ビザ
tier5 ワーキングホリデービザ
それぞれのビザには必要なポイントがあり、それらを取得して自分の取得したいビザの申請をするという方法でした。したがって、層になっているビザの階級をtierが表していたのです。現在では、就労ビザ、学生ビザやファミリービザなどに分かれています。
ゲームのTierとは?
次に紹介するのはゲーム業界におけるtierです。ゲームをする際、tierという言葉を見かけたことはありませんか?
ゲームのtier
デジタルカードゲームや格闘ゲームなど、多くのゲームでtierが使用されています。例えば、eスポーツではtierは強さのランキングを表し、一番上のトップ階層をtier1として、その後にtier2と続いていきます。また、ゲームのキャラクターなどがそれぞれのレベルによってランクづけされますが、これをa tier listと呼びます。
訳)ティアリストは、キャラクターやアイテムを視覚的に比較する方法で、競争の場でよく使用されます。例えば、より高いティアのキャラクターやアイテムは、より強力または高品質であると考えられます。
普段ゲームを楽しむ人にとっては、ティアは親しみのある言葉かもしれませんね。
ビジネスのTierとは?
続けて、ビジネスにおけるtierがどのように使われているか紹介しましょう。組織における階層であったり、製品を3段階の価格設定に分けるときなどにtierを使用します。
ビジネスのtier
物事を比較したり分類するときに使う単語がtierでした。ビジネスシーンでも使用される表現を例文でみて見ましょう。
訳)彼は、すぐに会社のトップ層にまで上がり詰めました。
訳)同社は、顧客に3段階のサブスクリプションプランを提供しています。
訳)その企業は、従業員の業績評価をするための階層制度を導入しました。
物事が一つだけではない、いくつかの段階やランクに分けられているときに使用する単語がtierということが分かります。
自動車部品のTier1、Tier2、Tier3
最後に紹介するのは自動車業界で使用されるTier 1、Tier 2、Tier 3という表現です。
自動車部品業界の業界構造Tier
自動車を製造する段階はいくつかあり、例えばホンダが1から100まですべてを行なうわけではありません。そこで、ホンダと直接取引する1会社を一次サプライヤーをTier 1、Tier 1に部品などを納品する会社がTier 2、Tier 2に納品する会社をTier 3と表現します。このように、自動車業界は階層状態のサプライチェーンで構成されており、各階層をTier1、Tier 2、Tier 3のように呼んでいるのです。
訳)自動車メーカーは、モジュールおよびシステムサプライヤー(Tier1)に依存しており、モジュールおよびシステムサプライヤーはコンポーネントメーカー(Tier2)に依存し、コンポーネントメーカーは部品サプライヤー(Tier3)に依存しています。
自動車業界を目指す人はぜひTier 1、Tier 2、Tier 3を覚えましょう。海外の自動車メーカーでも、これらのサプライチェーンを持たないメーカーはありません。
まとめ
3段のウエディングケーキから、企業内のトップの階層、自動車業界のサプライチェーンまで、世間には様々な「層・階層」が存在します。これらは英語tierで表現できることが分かりました。今後、ぜひtierを意識して使うようにしてみましょう。
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