芸術分野において作品を創作する人は「作家」と呼ばれています。
作家には小説家や絵本作家、放送作家をはじめいろいろな種類があり、職業としている人もいれば趣味として楽しんでいる人などさまざまです。

日本語の「作家」には複数の意味が含まれていますが、英語では何と言うのでしょうか?
今回は、「作家」を意味する英語 author, writer, novelist, artist の意味の違いと正しい使い分けを解説します。

“author”はゼロから作品を創造する「作家」

“author”は、「作家」や「著者」、「作者」を意味する最も一般的な英語です。

英英辞書では、下記のように定義されています。
“book, article, play”の書き手であり、何かを作り出す人であることがわかりますね。

  • the writer of a book, article, play, etc.
    本、記事、演劇などの書き手のこと
  • a person who begins or creates something
    何かを始めたり創造したりする人のこと

参考:AUTHOR | 意味, Cambridge 英語辞書

古フランス語”auctor/ acteor”から来た言葉で、生産者や創設者、作家、責任者などを意味するラテン語”auctor”とも関連しています。
14世紀後半以降、書き手や執筆者、文章の作成者として広く用いられるようになりました。

【例文1】

Aさん
I love this picture book author’s writing style.
訳)この絵本作家の文体が大好きなの。
Bさん
Yeah, the author of this book is very talented.
訳)そうだね、この作者はとても才能があるよ。

 

【例文2】

Aさん
Just between the two of us…my father is the author.
訳)ここだけの話、その作家、わたしのお父さんなんだ。
Bさん
Really? He is a famous author who created another best-selling book, right?
訳)本当に?またベストセラーになった有名な作家だよね?

 

【例文3】

Aさん
Osamu Dazai is my favorite author and his name is familiar to us all.
訳)太宰治はわたしの大好きな作家で、彼の名前は誰もが知っているわ。
Bさん
Yes. I have also read some of his work.
訳)僕もいくつか読んだことがあるよ。

 

【例文4】

Aさん
My sister has written many books and finally became an author!
訳)姉はたくさんの本を書き、ついに作家になったの!
Bさん
Wow! Please let us invite her to next month’s book fair, where several well-known authors will be coming.
訳)わあ、すごい!来月の図書展、有名な作家が何人か来るから、ぜひ招待させてよ。

 

“writer”は事実に基づいた文章を書く「作家」

"writer"は事実に基づいた文章を書く「作家」

“writer”も、「作家」を意味する表現としてよく使われている英語です。
日本語訳は、”author”の「作家」や「著者」、「作者」とほぼ同じと思っておいて問題ありません。

“author”と”wrier”の違いを1つ挙げるなら、若干ニュアンスが異なる点です。
“author”がアイディアと文章の発案者であるのに対し、“writer”は特定の文章を文字に起こしたり、事実に基づいて執筆したりすることを指しています。

英英辞書に載っている意味からも、”writer”は文章を書くことに特化しているイメージが強いことがわかりますね。
発案者や責任者とは別で、あくまでも文書の作成のみを行っている印象があります。
日本語の「ライター」のように、書くことを仕事としている人を”writer”と呼ぶことも多いです。

a person who writes articles, books, etc., to be published
出版される本や記事などを書く人のこと

参考:WRITER | 意味, Cambridge 英語辞書

【例文1】

Aさん
My daughter started writing as a professional writer.
訳)娘がプロの作家として執筆活動を始めたの。
Bさん
Great! Being a writer is a challenging job.
訳)いいね!作家はやりがいのある仕事だよ。

 

【例文2】

Aさん
I am convinced she is a very talented writer. What did you think after you read?
訳)彼女はとても優秀な作家だと思う。あなたは読んでみて、どう感じた?
Bさん
I consider her a great writer, too.
訳)僕も彼女は素晴らしい作家だと思ったよ。

 

【例文3】

Aさん
Does your brother work as a writer?
訳)お兄さんは作家として活動しているの?
Bさん
No, I am the one working as a writer, not my brother.
訳)いや、作家として働いてしているのは僕で、兄ではないんだ。

 

【例文4】

Aさん
The company is hiring a new professional TV script writer.
訳)その会社はプロの放送作家を募集しているよ。
Bさん
I think I’ll apply.
訳)応募してみようかな。

 

“novelist”は「小説家」

"novelist"は「小説家」

物語や小説を書いている「小説家」は、英語で”novelist”と言います。
「小説」を意味する”novel”に、「〜する人」を表す”-ist”がついた単語です。

英英辞書でも下記のように定義されており、小説を書く人=「小説家」を意味していることがわかります。
作家のなかでも「小説家」と言いたいときには、”novelist”を使うとわかりやすく、その後の会話もスムーズに進められるでしょう。

a person who writes novels
小説を書く人のこと

参考:NOVELIST | 意味, Cambridge 英語辞書

【例文1】

Aさん
Who’s your favorite novelist?
訳)あなたが好きな小説家は誰?
Bさん
Umm…there are many good novelists out there; sometimes it’s so hard to decide on my favorite one.
訳)うーん、素晴らしい小説家がいっぱいで1人を選ぶのは難しいよ。

 

【例文2】

Aさん
Haruki Murakami is a famous Japanese novelist.
訳)村上春樹は日本の有名な小説家よね。
Bさん
Yes, he is a well-known, award-winning novelist.
訳)うん、彼は数々の受賞歴もある有名な小説家だ。

 

【例文3】

Aさん
You are amazing and the best novelist in my opinion!
訳)あなたは素晴らしく、わたしのな知る中で最高の小説家よ!
Bさん
I’m glad to hear that. When I was young, I liked writing and reading novels.
訳)そう言ってもらえて嬉しいよ。小さい頃は小説を書いたり読んだりするのが好きだったんだ。

 

【例文4】

Aさん
I heard he has also worked as a novelist, not only a journalist.
訳)彼はジャーナリストだけでなく、小説家としても活躍しているんだって。
Bさん
Wow, it is not easy for him to establish himself as a freelancer.
訳)フリーで活動するのは難しいのに、彼はすごいね。

 

“artist”は幅広い分野の「芸術家」

"artist"は幅広い分野の「芸術家」

「ハンドメイド作家」や「陶芸作家」など幅広い芸術分野における「作家」は、英語で”artist”と言うと伝わりやすいです。

英英辞書の定義にもあるように、”artist”には画家やミュージシャンなど、幅広い意味を持っていることがわかります。
手芸やアクセサリーといったハンドメイド品の作家、陶芸や彫刻、絵画などの美術品の作家は”artist”と表現するのが正解です。

  • someone who paints, draws, or makes sculptures
    絵を描く人や彫刻を作る人のこと
  • someone who performs music
    音楽を演奏する人のこと
  • someone who creates things with great skill and imagination
    優れた技術と想像力で何かを創造する人のこと

参考:ARTIST | 意味, Cambridge 英語辞書

【例文1】

Aさん
Who is known as one of the world’s greatest artists?
訳)世界で最も偉大な作家の1人として知られているのは誰でしょう?
Bさん
Picasso! Actually, I collect his works.
訳)ピカソでしょ!じつは彼の作品を集めているんだ。

 

【例文2】

Aさん
There are sculptures as well as paintings of famous artists.
訳)有名な芸術家の絵画だけでなく、彫刻もあるのよ。
Bさん
This museum is very nice. It is a place I would like to visit again.
訳)とても素敵な場所だね。また訪れたいな。

 

【例文3】

Aさん
My friend is a handmade artist. She mainly makes clothes and fancy objects handmade and sells them.
訳)友達はハンドメイド作家で、洋服やおしゃれな小物等をハンドメイドして売っているの。
Bさん
I’ll stop by her store sometime.
訳)今度お店に寄ってみるよ。

 

【例文4】

Aさん
Who is Katy? Did you know her name?
訳)ケイティって誰?名前知ってた?
Bさん
She’s a performance artist who is much talked about recently.
訳)彼女は最近話題の舞台アーティストだよ。

 

まとめ

「作家」を意味する英語 author, writer, novelist, artist の意味の違いと正しい使い分けを解説しました。

「作家」を表す英語には、”author”や” writer”のほかにも、”novelist”や”artist”などがあります。
なかでもよく使われるのが創造者としての意味合いが強い”author”とおもに執筆者を意味する”writer”の2つです。
小説家には”novelist”を、芸術分野を含めた作家には”artist”を使います。

状況や文脈に応じて適した単語を使えるようになると、表現力の幅が広がって英会話が一層楽しく感じられますよ。