希望の会社から内定をもらったとき、おそらく大半の人が「採用された」と言うでしょう。
人事だけでなく、自分の提案や意見を受け入れてもらったときも、同じく「採用された」と言いますよね。
同じ「採用」という日本語でも、人を雇用するという意味もあれば、相手の考えを受け入れるという意味もあります。
複数の意味を持つ「採用」を英語で言うとしたら、どのような単語を使うのが正しいのでしょうか?
今回は、「採用」を表す英語について、それぞれの単語が持つ意味と使い方を解説していきます。
人を「採用」するときの英語
「採用」と聞いてまず思い浮かぶのが、人事に関する「採用」ですね。
人を採用するときによく使われる3つの英語、recruit, hire, employ を順に解説します。
recruit
“recruit”は、「(人を)採用する」または「(人を)募集する」という意味を持つ動詞です。
「リクルート」として日本語でも浸透しているので、比較的馴染みのある言葉といえますね。
英英辞書では、下記のように定義されています。
to persuade someone to work for a company or become a new member of an organization, especially the army
会社で働くように誰かを説得したり、組織、特に軍隊の新しいメンバーになったりすること
“persuade”とあるように、特定の目的や役割のために応募者や候補者を活動に参加させたり説得したりする行為を表しています。
ホームページや広告、エージェントなどを通して、積極的に採用をPRするのをイメージするとわかりやすいです。
採用されて入った新入社員は”new recruits”と呼ばれます。
【例文1】
Are you recruiting staff?
訳)求人募集していますか?
Yes, we will recruit a new staff member.
訳)はい、新しいスタッフを募集しています。
【例文2】
These days, there is a trend to actively recruit candidates with high ability and experience.
訳)最近は、能力や経験の高い候補者を積極的に採用する傾向がみられます。
That’s because we need to recruit skilled staff from the international market.
訳)海外から優秀な人材を採用する必要がありますからね。
「中途採用」や「新卒採用」などは、”recruit”の名詞形”recruitment”を使って表現します。
【例文3】
I think that new graduate recruitment HP will be finished nicely by this.
訳)これで新卒採用のホームページも素敵に仕上がるかと。
(new graduate recruitment:新卒採用)
Great. I admire your work.
訳)素晴らしいね。君の仕事ぶりには感心するよ。
【例文4】
Compared to other countries, why is mid-career recruitment not so common in Japan?
訳)他の国に比べて、どうして日本では中途採用が一般的じゃないの?
(mid-career recruitment:中途採用)
I’m not sure. Even though they’ll be great for the company.
訳)わからない。即戦力になるのにね。
hire
“hire”は、”recruit”同様に人を採用するときによく使われる英語です。
英英辞書にも書かれているように、仕事や地位のために人を雇う行為、つまり従業員として雇用することを表しています。
新入社員は、新しく雇用された人という意味で”new hires”と呼ばれることもあります。
to employ someone or pay someone to do a particular job
特定の仕事に従事する人を雇ったり、その人にお金を払ったりすること
【例文1】
We need to hire someone new.
訳)新しい人を採用しなくては。
You’re planning to hire more staff next month, right?
訳)来月、新しいスタッフを採用するんでしょ?
【例文2】
We plan to hire some new employees this year.
訳)今年は、新入社員を何人か採用する予定なんだ。
Hope you can secure excellent talented people.
訳)優秀な人材を確保できるといいね。
employ
“employ”も「採用」に関する話題でよく登場する英語です。
“hire”に比べると、雇用に継続性があり、正式に長期的に雇っているという意味が強くなります。
会社(組織)のために継続的に働くことを前提として対価(給料)を支払うイメージです。
to have someone work or do a job for you and pay them for it
誰かを働かせたり、仕事をさせたりして、その対価を支払うこと
【例文1】
Our company employs more than 50 people every year.
訳)わたしの会社では毎年50人以上の従業員を採用しているのよ。
Wow! That’s a lot!
訳)うわぁ!すごい多いね!
【例文2】
Listen! I was employed by the company of my first choice!
訳)ねえ聞いて!第一志望の会社に採用されたよ!
Congrats! I’m glad to hear that.
訳)おめでとう!安心したよ。
「採用面接」や「採用情報」などと言いたいときは、”employ”の名詞形”employment”を使って表現するのが一般的です。
【例文3】
How’s the job hunting going?
訳)就活は順調?
Yeah, I have a big employment interview tomorrow morning.
訳)うん、明日の午前中に採用面接があるんだ。
(employment interview:採用面接)
【例文4】
We have recently redesigned the employment information area of our website.
訳)サイト内の採用情報をリニューアルしたのよ。
(employment information:採用情報)
Yeah, I’ve visited the site! It is really easy to read.
訳)見たよ!読みやすくてよかった。
意見や方法を「採用」するときの英語
「採用」という言葉を使うのは、人事に限ったことではありません。
アイディアや意見、提案、方法などを受け入れるときにもわたしたちは「採用」と言いますよね。
意見や方法を「採用」するときに使われる2つの英語を解説していきましょう。
adopt
“adopt”は、新しいものを受け入れるという意味で「採用」を表す英語です。
英英辞書の定義からも、新しい考えや意見、方法を受け入れ自分のものにしていくことを意味しているとわかります。
- to accept or start to use something new
何か新しいものを受け入れたり、使い始めたりすること- to choose someone or something or take something as your own
誰かや何かを選んだり、何かを自分のものとして受け止めたりすること
【例文1】
Let’s adopt this way.
訳)この方法を採用しよう。
Good. I’ll adopt your opinion.
訳)いいね。君の考えを採用するよ。
【例文2】
What new approaches did you adopt?
訳)新しいアプローチとしてはどのようなものを採用したの?
Her proposal was adopted after the meeting.
訳)会議の後、彼女の提案が採用されたよ。
accept
“accept”も、提案や方法の「採用」でよく使われる英語です。
日本語訳では「受け入れる」と覚えている人も多いかと思います。
辞書の説明にあるように、相手の意見に同意したり、満足のいく結果であるとみなしたりするという意味を持っていることがわかります。
to agree to take something, or to consider something as satisfactory, reasonable, or true
何かを取ることに同意すること、または何かを満足のいく、合理的または真実であるとみなすこと
【例文1】
I would like to accept your proposal immediately.
訳)すぐにでもあなたの提案を採用したいと思っています。
Thank you for putting it that way.
訳)そのように言っていただけて嬉しいです。
【例文2】
My boss accepted my point of view.
訳)上司はわたしの見方を採用してくれたわ。
Your enthusiasm came across.
訳)熱意が伝わったんだね。
まとめ
「採用」を表す英語について、人の「採用」と考えの「採用」に分けて、それぞれの単語が持つ意味と使い方を解説しました。
一般的な人の「採用」には、”recruit”、”hire”、”employ”の3つがよく使われます。
一方、考えや意見などの「採用」は、”adopt”と”accept”で表すことが多いです。
日本語ではどれも同じ「採用」ですが、英語の意味をしっかりと理解することで文脈や状況に応じた正しい言い回しができるようになります。
紹介した例文を参考に練習し、表現のバリエーションを増やしていきましょう!