「弊社(へいしゃ)では新人研修として『チューター制度』を導入しています。」
「授業でわからなかったところをチューターさんがわかりやすく教えてくれました。」
以上の例文のように、「チューター」という言葉を目にすることがありますよね。
チューターさんとは広く「教えてくれる人」を指しますが、同じ「教えてくれる人」でも「先生」や「講師」とは明確に区別して使われます。
そこでこの記事では、「チューター」という言葉について、カタカナで使われる意味と、元々の英語である”tutor”の意味についてわかりやすく解説します。
「チューター」ってどんな意味なの?
カタカナの「チューター」が使われるときは、主に以下の意味で使われる場合が多いです。
チューター制度
「チューター」という言葉は「チューター制度」の形でよく見かけますよね。
「チューター制度」とは、学校や会社などで、先輩学生や先輩社員が、新入生や新入社員をサポートする体制のことを言います。
特にビジネスシーンにおいては、新入社員の教育プログラムを指して「チューター制度」を使うこともあるでしょう。
ビジネスシーンでの「チューター制度」は、新入社員に対して先輩社員が業務をサポートしたり、教育したりするプログラムのことを指して使います。
就職活動の際によく「OJT(On the Job Training)教育」という言葉を目にしたり耳にしたりしますが、OJT教育も新入社員が先輩社員に付き添う形で行われるので、先輩社員が「チューター」の立場となるわけですね。
「チューター」の「学習塾」での使われ方
「チューター」や「チューター制度」は、ビジネスシーンだけでなく教育業界や教育現場でも使われます。
例えば学習塾では、実際に授業を行う講師や先生の他に、大学生のチューターさんが生徒さんの学習をサポートするところもあります。
チューターさんは生徒さんに対して、授業の内容理解をサポートしたり、普段の学習のサポートなどもします。
実際に授業を行う講師や先生からは行き届きづらい、「学習者の目線」でのサポートができるのがチューターさんの強みだと言えますね。
チューターと講師の違い
「講師」も「チューターさん」も、どちらも勉強やお仕事を教える立場ですが、わかりやすく言えば以下の違いがあると言えます。
- 講師:具体的な知識を体系的に(全体を通して)教える役割
- チューターさん:足りない知識や技術を補ったり、勉強や仕事に対してサポートやアドバイスをする役割
講師は学校の先生のように、業務や知識について体系的に、全体を通して教えます。
授業やレッスンの間にわからないことがあれば答えることもできますが、基本は講師から生徒さんへ教えるのがメインです。
対してチューターさんは、教える相手を見ながら、その都度(つど)困りごとや必要な知識を補います。
学習塾のチューターさんは、生徒さんが学校の授業でわからなかったことを聞いて解決してあげたり、普段の学習に対してアドバイスをしますよね。
また新入社員を指導する先輩社員のチューターさんも、業務内容を全体を通して教えるわけではなく、自分の仕事ぶりを通して教えるので、「先輩社員がチューターとして新入社員に教えている」と言えるわけですね。
家庭教師も「チューター」と呼ぶことがある
学習塾の他にも、家庭教師を「チューター」と呼ぶことも多いです。
家庭教師は授業で学ぶ内容を教えますが、教師や講師のように、授業をして教えるわけではなく、既に授業で行った内容を反復して復習を促(うなが)したり、これからの授業で学ぶ内容を「予習」として簡易的に教えるのが主な内容だと言えるでしょう。
全体を講義として教えるわけではなく、生徒の様子を見ながら要所をついて教えることから、家庭教師も「チューター」と呼ぶことがあります。
英語の”tutor”はどんな意味?
前項でカタカナ英語の「チューター」の意味をお伝えしました。
ここからは、英語の”tutor”の意味と使い方をお伝えします。
カタカナの「チューター」と重なる意味の”tutor”
英語の”tutor”にも、前述したカタカナ英語の「チューター」と同じ意味や使い方をする場合があります。
新人研修
英語の”tutor”も、新入社員に業務内容を教える「新人研修」の場面で使われます。
前述したカタカナ英語の「チューター」の意味として挙げた、先輩社員が新入社員を伴って、仕事ぶりを見せながら業務内容を教えるようなイメージですね。
【例文】
- During my first week at the company, I had a tutor who helped me understand the software we use.
会社の初週に、使っているソフトウェアを理解するためのチューターさんがついてくれました。 - A senior employee, as my tutor, helped me understand the company’s reporting procedures.
先輩社員がチューターとして会社の報告手順を理解する手助けをしてくれました。
家庭教師
英語の”tutor”も、前述したカタカナ英語の「チューター」のように「家庭教師」を意味して使われます。
家庭教師は主に個別指導で勉強を教えますから、英語のtutorが持つ「個別指導」のニュアンスと合致して「家庭教師」の意味も含んでいるわけですね。
【例文】
- The tutor helped me prepare for the university entrance exams, focusing on math and science.
家庭教師の先生が、数学と理科に重点を置いて大学受験対策を手伝ってくれました。 - The tutor comes every weekend to help her prepare for the upcoming exams.
来る試験に向けて、家庭教師の先生が毎週末に来て彼女を手伝ってくれています。
英語のtutorの意味
上述したカタカナ英語の「チューター」の意味の他にも、英語の”tutor”は以下の意味で使われることもあります。
大学の個別指導教員
イギリスを始めとする一部の英語圏の大学では、ゼミの先生や授業ごとの講師の他に「個別指導教員」がいます。
「個別指導教員」は大学のチューターさんなので、もちろん学業面のサポートをします。
学生さんが履修する科目を助言したり、学習の進捗を共有したりと、具体的な学習だけでなく学生生活全般をサポートするイメージです。
また、履修科目の助言、学習の進捗を共有するプロセスで、学生が抱える個人的な問題などもアドバイスしたり、卒業後の進路についての相談に乗ったり、進学先や就職活動での推薦状作成を担当もするなど、チューターさんは「学生生活全般のサポート」をします。
こうしたチューターさんを”personal tutor”と呼びます。
【例文】
- My Personal Tutor helped me with both academic choices and personal issues during my time at university.
私のパーソナルチューターさんは、学業面の選択だけでなく、大学生活中の個人的な問題についてもサポートしてくれました。
動詞としての”tutor”
英語の”tutor”は、「チューターさん」という名詞の形だけでなく「教える」という動詞の形でも使われます。
「教える」を意味する英語には”teach”などもありますが、カタカナ英語の「チューター」などで前述した通り、授業や講義ではなく「個別指導で」教えるニュアンスで使われます。
【例文】
- She tutors her younger brother in math to help him with his homework.
彼女は弟に数学を教えて、宿題を手伝っています。
まとめ
この記事では、カタカナの「チューター」を英語の”tutor”の意味と使い方について解説しました。
ここまでお読みのあなたは、日本で使われるカタカナ英語の「チューター」と、本来の英語である”tutor”をそれぞれ適切に理解したり使い分けられるようになっているでしょう。
この記事でお伝えした内容があなたのお役に立てられれば幸いです。
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