「スペクタクル」という言葉を聞いたことはありますか?
素晴らしい舞台や映画などを褒める表現として使われる言葉で、英語の”spectacle”に由来しています。

カタカナ言葉の「スペクタクル」は、何かを目で見て強い印象を受けたときに用いられますが、英語も同じような使い方ができるのでしょうか?

今回は、視覚的に強く印象付けられたときの表現として使われる「スペクタクル」について、英語”spectacle”の正しい意味と使い方、言い換え表現を紹介していきます。

「スペクタクル」の意味

「スペクタクル」は、視覚的に強い印象を与えるようなものや光景などを指して使われるカタカナ言葉です。
芸能の業界用語として、大掛かりな場面や出し物、舞台、ショーなどを意味する場合もあります。
おもに演劇や映画などで用いられる言葉ですが、ため息が出るほどの壮大な自然の風景を見たときの強い印象も「スペクタクル」と表現します。

辞書では以下のように定義されており、美観や壮観、壮大な見世物を指して用いられることが多いです。

  • (目を見張るような)光景、美観、壮観
  • (大仕掛けな)見せ物、ショー
  • (複数形で)眼鏡

参考:Weblio英和辞書

”spectacle”の意味

”spectacle”の意味

”spectacle”は、「壮観」や「絶景」といった驚くべき出来事や目を見張るような光景を意味する名詞です。
大衆を惹きつける大きなイベントや観客の興奮を引き起こすようなパフォーマンスなどに対して用いられます。
たとえば、有名なサーカスやテーマパークショーは、”spectacle”の代表的な一例といえるでしょう。

辞書では以下のように定義されています。
複数形の”spectacles”は、眼鏡を意味する古い言い方ですが、覚えておくと役立ちますよ。

  • an unusual or unexpected event or situation that attracts attention, interest, or disapproval
    注目、関心、不評を集める、普通でない、予期しない出来事や状況
  • a public event or show that is exciting to watch
    見ていてワクワクするような公共のイベントやショー
  • glasses
    眼鏡

参考:Cambridge Dictionary

”spectacle”は、視覚に関する表現なので、舞台や映画などパフォーマンスの話題においては、物語や登場人物よりも目で見た部分(衣装や仕掛けなど)が重視されている傾向が強いと覚えておきましょう。

基本的に、絶景や美観に対して使われるときはポジティブな意味を持ちますが、意図せず注目を集めたり悪目立ちしてしまったりするような場合はネガティブな意味で捉えられることもあるので注意が必要です。
文脈によっては、世間から軽蔑されるような冷たい視線を集めてしまう「見せ物」と訳される場合があります。

”spectacle”の発音記号は /ˈspek.tə.kəl/ で、カタカナでは「スペッ(ク)タコウ」のように読みます。
「k」の音をはっきり言わないので、日本語のように「スペクタクル」と読まないように気をつけましょう。

”spectacle”は、「見ること」や「見物すること」を意味するラテン語の”spectaculum”(劇、光景)が語源と言われています。
もともとは「見せられるもの」という意味で、観客に見せる大きなイベントや公演、または見ごたえのある出来事などを指す言葉として使われていました。
後に、「公衆の軽蔑」「嘲笑」といったネガティブな意味を持つようになり、現在に至ります。

”spectacle”と”spectacular”の違い

”spectacle”は、しばしば”spectacular”と混同されてしまうときがあります。
”spectacular”は、目を見張るほど素晴らしい、壮観な、壮大な、といった意味を持つ形容詞です。
名詞の”spectacle”に由来しているので、視覚的に印象的だったもの、珍しくて驚くべきものなどを表現するときに使われます。

spectacle 名詞 … 目を見張るような光景、美観、壮観のこと
spectacular 形容詞 … 目を見張るほど素晴らしい、壮観な、壮大な
Aさん
The view from the top of this building is truly spectacular.
訳)この建物の屋上からの眺めは本当に素晴らしいです。
Aさん
They enjoyed the spectacular fireworks in the area.
訳)彼らは、そのあたりで見事な花火を見て楽しみました。

”spectacle”を使った例文

”spectacle”を使った例文を紹介します。
ポジティブな意味とネガティブな意味それぞれの使い方を確認してみましょう。

ポジティブな意味の”spectacle”

Aさん
I have never seen such an exciting spectacle.
訳)こんなに興奮するショーを今まで見たことがありません。
Aさん
The opera was a grand spectacle with elaborate costumes and sets.
訳)そのオペラは、凝った衣装と舞台装置を備えていて壮観でした。
Aさん
Viewing the great spectacles from the peak is always amazing.
訳)山頂から眺める絶景はいつだって素晴らしいものです。
Aさん
I could see the imposing spectacle of Mt. Fuji towering high from the plane window.
訳)飛行機の窓から、高くそびえる富士山の堂々たる姿が見えました。

ネガティブな意味の”spectacle”

Aさん
Don’t make a spectacle of yourself.
訳)自分を見せ物にしないように。
Aさん
She worries about becoming a spectacle.
訳)彼女は悪目立ちすることを心配しています。
Aさん
Their fight was an awful spectacle.
訳)彼らのケンカは、注目を浴びるほどひどい騒ぎでした。
Aさん
My son made a spectacle of himself yesterday.
訳)昨日、息子がバカな振る舞いをしました。

 

ちなみに複数形の”spectacles”は、「眼鏡」を意味する古い言葉で、”glasses”より形式ばった言い方になります。

Aさん
The old man put on his spectacles and looked at the picture.
訳)老人は、眼鏡をかけてその絵に目をやりました。
Aさん
I dropped my spectacles and broke them.
訳)眼鏡を落として、壊してしまいました。

”spectacle”の言い換え表現

”spectacle”の言い換え表現

”spectacle”は、同じような意味を持つ他の英語に言い換えられます。
”spectacle”の言い換え表現として使える類語を紹介します。

show

”show”は、日常的にとてもよく使われる表現で、「テレビ番組」「パフォーマンス」「イベント」などを意味する英語です。
日本語としてなじみのある言葉で、番組や演劇、ライブ公演、展示会など幅広いシーンで使われています。

Aさん
His tricks always manage to show us something unexpected.
訳)彼のトリックは、いつも予想外な展開を見せてくれます。

display

”display”は、「展示」「陳列」を意味する英語です。
店頭に商品をディスプレイする、美術館で絵画を展示するなど、ものを見せるために並べることを指して使われます。

Aさん
The display of art in the gallery was breathtaking.
訳)ギャラリーでの芸術作品の展示は、息をのむほど美しいものでした。

exhibition

”exhibition”は、「展示会」「展覧会」という意味を持つ英語です。
美術展や商品の展示会などを表現するときに用いられることが多く、作品の観賞や物販を目的とした催し物を指しています。

Aさん
He will visit an exhibition about ancient Egyptian culture and history.
訳)彼は、古代エジプトの文化や歴史に関する展示会へ行くそうです。

event

”event”は、「出来事」「行事」「事件」などを意味する英語です。
日本語でも「イベント」として日常的に使われており、公式な行事や催し物といった特別な出来事を表現するときに用いる表現です。

Aさん
We attended a music event last weekend.
訳)わたしたちは先週末に、音楽イベントに参加してきました。

 

まとめ

視覚的に強い印象を受けたときの表現として使われる「スペクタクル」について、英語”spectacle”の正しい意味と使い方、言い換え表現を紹介しました。

「スペクタクル」は、英語”spectacle”をカタカナ表記した言葉です。
「壮観」や「美観」といったポジティブな意味を表すときもあれば、「見せ物」のようにネガティブな意味を含む場合もあります。
文脈によって全く逆の解釈になるため、使い分けには注意が必要です。

”spectacle”の類語、”show”(ショー)や”event”(イベント)などは、日本語としてもなじみのある言葉なので、意味をしっかり理解して正しく使いこなせるようになっていきましょう。

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