東京オリンピックから新たに追加されたスケートボード。ストリート文化からできたスポーツということもあり、スケートボードに関連する英語は学校では学べないスラングに近い単語も多いです。そのため、特にストリート文化が好きな人だと、スケートボードを通して英語を学ぶのも良いでしょう。ここではスケートボードに関連する英単語や例文を紹介します。
SkateboardとSkateboardingどっちが正解?
スケートボードのようなスポーツ名がそのまま動詞になっている単語は、名詞と動詞の使い分けが少し厄介です。そこで、場面ごとに応じた”Skateboard”という単語の使い分けについて説明します。まず、”Skateboard”という英単語は、名詞と動詞として使うことができます。名詞として使う場合はスケートボードで使用するタイヤの付いた板のことであり、動詞の場合はスケートボードをするという意味になります。サッカーなどのスポーツだと、「サッカーをする」と英語で説明するとき名詞として扱いますが、スケートボードはそのまま名詞にできるので、次のように訳します。ただ、競技としてのスケートボードは、”Skateboarding”という扱いになり、オリンピックでも英語では”Skateboarding”という名称になっています。
I played soccer yesterday.
訳)私は昨日サッカーをした。
I skateboarded yesterday.
訳)私は昨日スケートボードをした
ちなみにスケートボードと同じように、名詞と動詞両方で使うことができるスポーツの例としては、スケートやスキー、スノーボード等が挙げられるでしょう。
スケートボードのルール
スケートボードは、ストリートカルチャーとして広まった都市型スポーツです。スケートボードがオリンピックに初めて採用された前回の東京大会では、日本が金3個を含む5個のメダルラッシュに沸きました。パリオリンピックでもメダルが期待できそうですが、ルールを知らない人も多いのではないでしょうか。
スケートボードの競技は、「ストリート」と「パーク」の2種目があります。それぞれについて、特徴を見ていきましょう。
ストリート
ストリートは、街なかにあるような階段や手すり、縁石やベンチ、壁や坂道などを模した直線的なセクションを配したコースで行われます。選手たちは、手すりなどを模したコースを滑るように乗り越えていってカッコいいですね。
ストリートでは、直線的なセクションが中心です。選手は1人ずつ競技を行い、セクションを使いながらさまざまなトリックを繰り出します。トリックの難易度や高さ、スピード、オリジナリティ、完成度、そして全体の流れを見て審査員が総合的に判断し、採点します。
ストリートでよく使われるトリック
- スライド:縁石を模したレッジや、手すりを模したハンドレールでは、デッキ(板)を直接レールやレッジに当てて滑る技
- グラインド:デッキとホィール(車輪)をつなぐ金属部分のトラックを当てて滑る技
- オーリー:レールやレッジに飛び乗る際に、手を使うことなくボードとともにジャンプする技
パーク
パーク競技は、大きな皿や深いお椀をいくつも組み合わせたような、複雑な形をした窪地状のコースで行われます。複雑な形をした窪地上のコースでスケートボードをしていたら、それはまさに「パーク」競技です。
パークは、アール(湾曲)がついた曲線的な形状で行われる競技です。窪地の底から曲面を昇ると傾斜は急になり、上部は垂直もしくは垂直に近いです。
窪地を一気に駆け上がり、空中へ飛び出す美しいエア・トリックが、パークでよく使われるトリックです。
パークでは、持ち時間45秒のランを3本行い、その中で最も高い点数で順位が決まります。ジャッジ5人が100点満点で評価を行い、5人のジャッジの中で最高点と最低点を省いた3人の平均点が得点となります。
ストリートと違い、パークでは1度転倒してしまうとその瞬間に競技が終了となってしまうため、45秒間の持ち時間とはあくまでも最長で演技することのできる時間を意味しています。終わりのブザーが鳴った時にアールを上がっていればそこまでが得点になります。
スケートボードの採点基準
スケートボードでは、男子と女子で共通の採点基準となっています。そのため大胆な技を披露できる男子の方が高得点で、女子の方が低めの得点になる傾向があります。
後ほど、スケートボードのトリックを紹介しますが、同じトリックを決めても得点が違います。これは、それぞれの選手のスタイルや完成度などが違ってくるからです。ストリートとパークで、それぞれの採点基準を紹介します。
ストリート
ストリートには、主に4つの採点基準があります。
- 技の完成度
- 滑走の完成度
- 難易度
- 大きさ
ストリートでは、同じトリックを成功させても2本目以降の得点は低い傾向にあります。そのため、様々なトリックを盛り込んだ方が得点が高くなります。技の完成度に関しても、観客の受けが良くて歓声が上がっても、ジャッジの判定が高い評価を出してくれないと、あまり高い点数が付かないことがあります。
パーク
パークには、主に7つの採点基準があります。
- 入る角度
- 入るスピード
- 高さ
- スタイル
- 着地姿勢
- 着地のスピード
- コース全体を使って演技しているか
上記7つの採点基準に基づいて総合的に判断されます。ストリートより採点基準のポイントが多く、着地姿勢や着地のスピードもポイントになってきます。パークの場合、コース全体を使って演技しているかにも留意しなくてはなりません。また、同じトリックをおこなっても、追加得点は入らないため、エアー系とリップ系のトリックを組み合わせて演技をし、それらのトリックをバランスよく組み合わせることが重要になってきます。
スケートボードのトリック
次にスケートボードの主なトリックの系列を紹介します。
ストリート
レッジ系
スケートパークのステアやバンクの脇に設置されているブロックを使うトリックです。ブロックが設置されている場合に使えます。
レール系
ステアやスロープに取り付けられたレールを使用したトリックです。レール系のトリックは難易度の高いものが多いです。
ステア系
ステア Stairとは階段のことで、ステアを使うトリックです。
パーク
次に、パークで使われるトリックの系列を紹介します。
エアー系
斜面を使って空中に飛び出して行うトリックです。パークの演技で行われるエアー系のトリックは、よく見かけますね。
リップ系
リップ系のトリックでは、角の部分でグラインドやスライドを行います。
パークで、エアー系とリップ系を組み合わせるトリックについて、イメージが湧きましたでしょうか。
スケートボードの監督って英語で何て言うの?
スポーツ競技では、どのチームにも監督やコーチがいます。英語だと、スポーツによって監督の呼び方が異なることはご存知でしょうか。例えばサッカーだと”Head Coach”、野球だと”Baseball Manager”のように、同じ「監督」でも単語が変わります。スケートボードの場合はこの2つでもなく’Director’を選択することが多いです。どちらかと言うと、スポーツ界では、監督を英語に訳す場面で”Coach”や”Manager”が選ばれるのが一般的。それに対して、”Director”は映画監督のように、芸術的な役割を持つ場合に選ばれることが多いです。
スケートボードはスポーツではありますが、野球やサッカーのように勝ち負けがはっきりしている競技ではありません。フィギュアスケートのように、技の難易度や美しさなど芸術的な面を競うため、スケートボードの監督においては”Director”が選ばれていると考えられます。
用語を覚えて競技を楽しもう!
スケートボードは東京オリンピックから登場するスポーツで、遊びとしては世界中に浸透しているものの、競技としてはまだメジャーではなく、用語を知らない人も多いでしょう。そこで、オリンピックをはじめ、スケートボード競技をより楽しむためのスケーター独自のスラングを紹介します。
Gnarly
”Gnarly”はカタカナにすると「ナーリー」に近い音で発します。元々スケートボードはカリフォルニア発祥のスポーツです。”Gnarly”はカリフォルニアのサーファー界隈でよく使われているスラングで、1970年頃から、サーファーシーンで難しいトリックを決めた場面などで、「イケてる」という意味で使われています。元々スケートボードはサーファーの移動手段として広まった背景があるので、サーファー界隈のスラングがスケートボード界隈にも流れ込んでくることはよくあることです。
Did you get this gnarly bag?
訳)そのイケてる鞄はどこで買ったの?
現在ではただトリックを決めた場面だけでなく、日常生活の中でも若者が使っています。プラスの意味で使われる言葉であり、日本のスケートボーダー界隈でもよく使われるスラングなのでぜひ使ってみてください。
Shred
”Shred”は日本語で発音すると「シュレッド」のような発音になります。元々スノーボードをするという意味のスラングですが、スケートボードをするというように使うこともあります。また、こちらもGnarlyのように「イケてるね!」など相手を称賛するときに使われることが多いです。
Shred!
訳)イケてるね!
Dude
Dudeは日本語だと「お前」「奴」などという意味合いで親しい相手、特に男性に対して使います。スケートボーダーの間では、以下のように挨拶として使う場面も多いです。
Hey, dude!
訳)やあ!
また、”Suh, dude!”のように、他のスラングと組み合わせて使うこともあります。ちなみに”Suh”というのは、”What’s up.”の略称。どうしてこれが’’Suh”になるのかと言うと、”What’s up(ワッサー)?”から、”Sup(サップ)”になり、これが最終的に”Suh(サー)”に変化したと言われています。英語のスラングはこのように発音が面倒で短縮された結果全く違う表記になった単語が多く存在するので、調べてみると楽しいでしょう。
スケートボードのかっこいいの度合いは単語によって違う!
スケートボードのようなトリックを決める競技だと、すごいトリックが出た途端に「すごい!」「かっこいい!」と声をかける人がいます。スケートボードの場合、かっこいいの度合いによって、実は使う単語が変わるのです。この違いがわかると、スケートボード観戦も楽しくなるでしょう。
まずかっこよくて相手を褒めたい場合に使うのが”Cool!”です。かっこいいと相手に伝えたいときに日本語でもクールと伝える場面はあるので、こちらに関しては日本人でも使いやすいでしょう。次にトリックがかっこよく決まって感動した場面で使えるのが”Awesome!”です。カタカナ読みだと「オーサム」となります。私生活の中でも俳優などを見かけて”Awesome!”というように感嘆している人を見たことはないでしょうか。このように、心が動かされるほど感動した場面でAwesomeを使うのがおすすめです。
Awesome
訳)素晴らしい、素敵、すごい
Awesomeのさらに上の表現として”That’s sick!”が挙げられます。’”Sick”という単語が出てくると悪いように捉えるかもしれませんが、もちろんプラスの意味の言葉です。どうしてプラスの表現なのにSickを使うのかと言うと、Sickには「病みつきになる」という意味があります。したがって、「また見たい」などのニュアンスで”That’s sick!”を使うと良いでしょう。ただし、”That’s sick!”は相手に対して「キモッ…」というようなニュアンスで使われることもあります。日本人だとなかなかアメリカのように英語に抑揚をつけることに苦手意識を持っている人も少なくありません。そこで”That’s sick.”のテンションを間違ってしまうと、相手に失礼になるので、使う場面に注意してください。
That’s sick!
訳)また見たい / キモッ…
”That’s sick!”と同じようなニュアンスで使える表現には、”That’s DOPE!”という表現が挙げられるでしょう。日本でもスケートボードだけでなくブレイクダンスなどのストリート文化で相手がかっこいいトリックを決めた場面で「DOPE!」と声をかける場面があるので、こちらは割と日本人でも馴染みのある表現かもしれません。”DOPE”は「麻薬、まぬけ」のように、どちらかと言うとマイナスなイメージの単語です。しかし、”Sick”と同じ考え方で、スラングでは「麻薬のように中毒になるくらいすごい」のように捉えられています。
そして最上級の表現として紹介するのが”Killer!”です。「殺人犯」という意味ですが、スラングだと、「殺されそうになるくらいヤバい」というニュアンスで使います。”Killer”はストリート界隈だけでなく、アメリカの若い人たち全体に広がっているスラングで、日常生活だと、次のように使うこともあります。
The science exam was very killer…
訳)理科のテストが難しすぎてヤバかった…
ストリートスポーツは面白いスラングがたくさん!スケートボードを通してリアルな英語を学ぼう
いかがでしたでしょうか。スケートボードの種目、ルールや採点基準、トリックについても紹介しました。スケートボードの経験者や関心がある人だけでなく、今まであまり関心がなかった人も、スケートボードの試合をご覧になってみてはいかがでしょうか。
スケートボードのようなストリートスポーツは英語の教科書に載っていないようなスラングが用語として多く登場します。そのため、より現地の若者言葉などリアルな英語を身に着けたいなら、スケートボードを通して英語を学んでみるのもおすすめです。また、スケートボードをやっている人は実際に周りのスケーターに声をかける際に、ここで紹介した英語を使ってみてください。