パラリンピックで採用されているスポーツの中でも、アーチェリーは世界中に多くの競技人口を有する人気の種目の一つです。このアーチェリーは、もともと海外で生まれた競技だけあって、試合中に数多くの英語を耳にする機会があります。そこで、以下ではアーチェリーを通じて英語力をアップすることができるおすすめの方法を紹介します。

アーチェリーとはどのようなスポーツか?

まずはじめに、そもそもアーチェリーとはどのようなスポーツであるのかについて、その歴史とともに触れておくことにします。

アーチェリーの歴史

アーチェリーの起源は古く、紀元前2万年頃の旧石器時代に、人々が食料を得るために弓矢を使って狩猟をしたのが始まりであると言われています。その後、弓矢は狩猟だけでなく、戦争における武器として用いられるようになりましたが、16世紀になってスポーツとして発展を遂げることになります。きっかけとなったのは、当時のイギリスの国王であったヘンリー8世が開催した、アーチェリーのコンテストでした。その後、アーチェリーは、ヨーロッパを中心に人気が広がり、やがて世界中で試合が行われるようになっていきます。日本で本格的にアーチェリーの試合が行われるようになるのは、1950年代と比較的遅いのですが、それ以降、国内でも徐々に競技人口が増えていっています。

アーチェリーの用具

アーチェリーをする際に、まず必要になるのは、専用の弓と矢です。弓は英語でbow、矢はarrowというので、知らなかったという方はこの機会にぜひ覚えておきましょう。弓に張られた糸は弦(string)と呼ばれます。また、弦の返りから弓をもつ押し手の内側を保護するために、度革やプラスチック製のアームガード(armguard)というプロテクターを着用するケースが一般的です。それ以外に、矢を入れる矢筒は、クイーパー(quiver)という名称が付けられているので、併せて頭に入れておくと、観戦時により盛り上がれるようになるでしょう。

アーチェリーの競技

アーチェリーには、リカーブボウ、コンパウンドボウ、ベアボウという3つの競技があります。この3つの競技の違いは、使用する弓の形状の差にあります。リカーブボウ(recurve bow)、その名の通り弓のリムが反り返っているのが特徴です。これに対し、コンパウンドボウ(compound bow)は、化合物を表すcompoundという単語が用いられていることからも分かるように、リムが、ストリングを引くカムと呼ばれる滑車と接続されていて、より強い力で矢を飛ばせるようになっています。ベアボウ(bare bow)は、サイトやスタピライザーが設けられていない原始的な構造の弓です。なお、パラリンピックでは、これらのうち、リカーブボウとコンパウンドボウを使った競技が実施されます。いずれもルールは、数十メートル先に設けられた的を矢で狙い、当たった場所に応じて得られる得点を競い合うというシンプルなものです。はじめて見る方でもすぐに理解できる内容になっていますので、機会を見つけてぜひ観戦してみましょう。

アーチェリー用語から学ぶ英単語

アーチェリーには英語の学習に役立つ様々な用語が出てきます。ここでは、それらの中から代表的なものを取り上げて説明します。

監督

日本語で監督というと、スポーツのチームを率いて戦略や選手起用を決める総指揮官を意味します。アーチェリーでもチームに監督が存在するケースが一般的であり、英語ではhead coachと呼ばれています。このhead coachという呼び方は、アーチェリー以外にも様々なスポーツで用いられているのですが、イギリスのサッカーチームの場合はmanagerという単語が用いられるなど、必ずしも監督の英訳が常にhead coachではないという点に注意する必要があります。

コーチ

コーチは、日本語では、監督の指示を受けて選手に細かく作戦などを伝える人を指す言葉ですが、英語だと監督がhead coachと呼ばれるため、それを区別するためにassistant coachなどと呼ばれています。単にcoachと言っても十分に意味は通りますが、監督について言いたい場合に、coachだけではネイティブスピーカーには理解してもらえないかもしれません。正しくhead coachなどと言うようにしましょう。

チームリーダー

チームリーダーは、英語でも同じくteam leaderと呼ばれます。パラリンピックでも競技ごとにチームのリーダーが設けられるケースが一般的なので、アーチェリーチームのリーダーに注目して応援してみるのもよいでしょう。

マネージャー

マネージャーは、日本語ではチームのスケジュールの管理を担う役職ですが、英語でmanagerといった場合には、監督かそれに近い役職を意味することになります。もしマネージャーと言いたいのであれば、単にteam staffなどと言った方が意味が通じるでしょう。

トレーナー

トレーナーは英訳するとtrainerですが、日本語と英語とではややニュアンスが異なります。日本語のトレーナーは、選手のコンディション作りのサポートやメンタルケアなどを担いますが、英語のtrainerは、選手の指導を行う役割であるとされています。同じ意味で使われる場合もありますが、微妙に違うという点を頭に入れておく必要があります。

アーチェリーに関する例文

では、ここからはアーチェリーに関する英語の例文を見ていきましょう。

例文その1

Aさん
After playing as Paralympian in archery, she has worked as a head coach for a archery club in junior high school which she graduated from.
訳)パラリンピックのアーチェリー選手として活躍した後、彼女は、自身が卒業した中学のアーチェリー部の監督として働いています。

パラリンピックに出場した選手はParalympianと呼ばれます。一方、オリンピック選手は、Olympianですので、セットで覚えておくと使える英単語の幅が広がります。また、前述のように、監督はhead coachというのが正式ですが、部活の顧問というニュアンスであれば、managerと言い換えてしまっても構いません。

例文その2

Aさん
He practiced hard to get into the Paralympic archery event.
訳)彼はパラリンピックのアーチェリー種目に出るために厳しい練習を重ねた。

パラリンピックは、名詞として使う場合はParalympicsと複数形が用いられますが、「パラリンピックの」という形容詞として用いられる場合には、最後の「s」を取ってParalympicとなります。混同しがちなので、間違えないようにしっかり使い分けられるようにしておきましょう。

アーチェリーを見ながら英語力を鍛える方法

パラリンピックのアーチェリー競技を2か国語放送で視聴できる機会があれば、ぜひ英語で観戦してみると良いでしょう。その際、ディクテーションとシャドーイングという2つの学習方法を駆使することで英語力を鍛えられます。ディクテーションというのは、聞き取った英語の音声を書き起こしてみるという手法で、これにより聞き取れている音と聞き取れていない音が一目で分かるようになります。聞き取れなかった言葉は繰り返し聞いて頭に叩き込むようにすると良いでしょう。

もう一つのシャドーイングというのは、耳で聞いた音を即座に口に出して反復するというものです。ネイティブスピーカーの発音をできる限り真似て発声することによって、脳を英語特有の音に慣れさせるというのが、この学習法のポイントとされていますので、意味が分からなくてもなるべく聞こえた音を忠実に再現するよう努めましょう。なお、ディクテーションとシャドーイングは、どちらか一方だけやればよいというものではありません。英語力を着実にアップさせるためには、2つの学習法を組み合わせて取り組むようにしなければならないのです。

パラリンピックのアーチェリー観戦は英語力を鍛えるチャンス

以上で見てきたように、パラリンピックのアーチェリー種目を観戦する際には、ディクテーションやシャドーイングを駆使して英語力アップを図ることが可能です。競技で用いられる英単語を頭に入れておけば、より楽しみながら英語を学習できるようになりますので、もし観戦を予定している方はしっかりと事前に準備しておくようにしましょう。