「エゴサーチ」や「〇〇のエゴ」といった言葉や表現を聞いたことはありませんか。
「エゴイスト」は、自己中心的でわがままという認識を持っている人は多いですよね。
もちろん間違ってはいませんが、いざ「英語の”egoist”って本来はどんな意味なの?」と聞かれたら、パッと答えられないという人はたくさんいるのではないでしょうか。
今回は、そんな聞き慣れた「エゴイスト」について、英語の正しい意味と使い方を解説していきます。
エゴイズムとの違いや対義語も合わせて紹介していくので、ぜひ最後までチェックしていってください。
「エゴイスト」はどんな意味?
「エゴイスト」とは、自己中心的な人、利己主義者を指す英語”egoist”をカタカナ読みした言葉です。
自分の利益や欲求を最優先に考え、他人の感情や利益、ニーズは無視するような人物を指します。
常に自分本位で、周囲の人に横柄な態度、言動をとるのが特徴です。
協調性に欠けているので、他人に寄り添ったり相手の気持ちに共感したりもできません。
コミュニケーション力が低く、人間関係を上手に築けない傾向にあります。
辞書では以下のように定義されています。
- 利己的な人、利己主義者
- エゴイズムを信奉する人、主我主義者、唯我 (ゆいが) 論者、独我論者
参考:goo辞書
英英辞書には、”an egoist is the same as an egotist”とあったので、”egotist”を改めて調べてみました。
”egoist”と同じ意味の”egotist”は、以下のように定義されています。
”himself or herself to be better or more important than other people”と書かれていることから、他人よりも自分が大事であると考える利己主義な人を指しているとわかります。
a person who considers himself or herself to be better or more important than other people
自分が他人より優れている、あるいは重要であると考えている人
訳)ニックはとてもエゴイストで、他人の気持ちを全く考えません。
訳)上司は自己中心的な行動が原因で、しばしばエゴイストだと批判されます。
訳)マークは、自分の利益しか考えていないエゴイストだとレッテルを貼られました。
訳)エゴイストであることは、孤独と不満を招きます。
「エゴイズム」と「エゴイスト」は違う?
「エゴイスト」は、「エゴイズム」を貫く人物を指した言葉ですが、そもそも「エゴイズム」とは、どんな意味を持っているのでしょうか。
「エゴイズム」を辞書で調べると、以下のように定義されていました。
- 自分の利益を中心に考え、他人の利益は考えない思考や行動の様式
- 自我だけが確実に存在し、他は一切認識不能であるとする哲学の一説
参考:goo辞書
「エゴイズム」とは、自分自身の利益や欲求を最優先にする考え方や行動の仕方を表した言葉です。
英語の”egoism”からきていて、日本語では「自己利益主義」または「自己中心主義」とも訳されます。
同じ意味で混同されがちな「エゴイスト」と「エゴイズム」には次のような違いがあります。
- エゴイズム: 他人の感情や利益を一切顧みず、自分の利益だけを追求する思考、態度、行動様式のこと
- エゴイスト: エゴイズムを持つ人、自己中心的な人、利己主義者のこと
「エゴ」は略語なのか?
「エゴサーチ」や「〇〇のエゴ」のように、いろいろなところで使われている「エゴ」は、「エゴイスト」を略した言葉と思ってはいないでしょうか。
じつは、わたしたちが普段耳にする「エゴ」は、「エゴイスト」や「エゴイズム」を略した表現以外に、明確な意味を持つ哲学の言葉でもあります。
「エゴ」とは、心理学で人の心を3階層に分けた「イド・エゴ・スーパーエゴ」のうちの1つとして考えられ、認識や行動の主体となる「自我」を表します。
イド: 寝たい、食べたい、遊びたいなどの本能的な欲求に従う心の動き エゴ: イドとスーパーエゴを上手に調整し、人格形成を司る心の動き スーパーエゴ: 道徳的判断・倫理観・しつけ・社会のルールなどに従う心の動き |
「自我」を意味する「エゴ」は、意識や感情、行動の主体になる「自己意識」を指した言葉です。
そのため、ときに他者との差別化が強調され、「自分本位」や「自分勝手」などといったネガティブな意味で用いられることがあります。
インターネットやSNSで自分のことを検索する「エゴサーチ」は、「自我」の意味合いが強いです。
一方で、他人のことを顧みない人に「エゴだ!」と言うような場合は、「エゴイスト」を略した「エゴ」つまり「自分本位」のニュアンスを持っているといえるでしょう。
「エゴイスト」の類義語
「エゴイスト」のように、自分の利益だけを追求する人を意味する英語はほかにもいろいろあります。
自己中心的な態度や言動をする人を指した”egoist”の類義語をまとめました。
selfish
”selfish”は、”egoist”とほぼ同じ意味を持つ、自己中心的な行動や考え方を表した形容詞です。
訳)ミアは利己的で、いつも自分のことを最優先します。
訳)ダンの利己的な言動が、周囲に多くの問題を引き起こしました。
訳)ダンの利己的な言動が、周囲に多くの問題を引き起こしました。
self-centered
”self-centered”も、「自己中心的な」という意味で”egoist”と言い換えができる英語です。
”self”(自分)が”center”(中心)なので、覚えやすい単語ではないでしょうか。
訳)カイルは、自己中心的で、挑発的で、偏屈な人です。
訳)レイラは自己中心的で、他人のことを考えないことが多いです。
self-absorbed
”self-absorbed”は、直訳で「自分に夢中な」という意味になる英語です。
自己にばかり執着して、他人のことを一切考えない、無視するような人のことを指します。
訳)自己中心的な人にはイライラしますよね?
訳)フランクはとても自己中心的で、世界が自分を中心に回ってると思っています。
narcissist
”narcissist”は、「ナルシスト」として日本語でもよく使われている英語です。
自己陶酔や自己愛が極端に強い、自己評価が非常に高いなどといった特徴があります。
訳)ロバートはナルシストだから、周りのことにほとんど気がつきません。
訳)ナルシストにならないよう、他人のことを考えるように最善を尽くすべきです。
swellhead
”swellhead”は、誇大妄想を持った人や自己中心的な人を呼ぶときのスラング表現です。
自分を過大評価して他人を見下したり、自己顕示欲が極端に強かったりする人を揶揄して使われます。
訳)ヘンリーはいつも自分の自慢ばかりしている高慢なやつだ。
訳)昇進してからというもの、ヴィッキーは自惚れ過ぎている。
「エゴイスト」の対義語
「エゴイスト」の対義語は、「利他主義者」という意味を持つ”altruist”です。
”altruist”は辞書で、以下のように定義されています。
a person who cares about others and helps them despite not gaining anything by doing this
対価がないにもかかわらず、他人を思いやったり助けたりする人
訳)世界にもっと利他主義者が増えてくれればと思います。
訳)母はいつも自分より他人を優先する利他主義者です。
まとめ
カタカナ英語「エゴイスト」について、”egoist”の正しい意味と使い方、またエゴイズムとの違いや対義語などを解説しました。
自分の利益や欲求を最優先にした態度や行動を「エゴイズム」、「エゴイズム」思考を持つ、自己中心的で他人のことを全く気遣わない人のことを「エゴイスト」と言います。
言語や国籍にかかわらず、他者との円滑なコミュニケーションにはいつだって思いやりと気遣いが大切になります。
身勝手な「エゴイスト」にならないために、言葉の理解と正しい解釈を心がけていきたいものですね。
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